「波及」とは
FXのチャート分析において「波及」という概念があります。
② 「波及」が届かないという現象が発生する
③ 各時間軸のトレンド状況が複雑な状態は、「波及」の途中の場面だったりする。
トレンドの転換は、必ず小さい時間軸から大きな時間軸へと「波及」するように発生します。
これには例外はなく、「先に上位時間軸の方から転換する」なんてことは絶対にありえません。
「波及」という概念を持って、チャートを見ると各時間軸の間が力を及ぼしあっている関係性だったり、「動き」のイメージが出てきます。
詳しくは、下の記事を読んで見てください。
さて、今回は「波及」が実際にFXのチャートで起きている場面を取り上げて解説していこうと思います。
実際のチャートで見る「波及」
実際のFXのチャートで「波及」を見てみましょう。
早速の下の画像を見てください。
下降波がサポートに到達して、反転していく様子ですね。
小さい時間軸レベルから「ピンク色」「青色」「緑色」というレベル感で波が認識出来ます。
サポートに到達した後の波を追って見てみると、「ピンク→青→緑」という順番で「トレンドの転換」を確認出来ます。
つまり、小さい時間軸から大きい時間へと「反転」が波及していっているわけです。
緑色レベルの波認識だと、実はそもそも下げトレンドではなかったりするので、厳密には「反転」ではありませんが、緑色レベルの高値を上抜けたということで、左側の緑色レベルの下降波を「親」とした戻り売り勢力が失敗に終わったと判断出来るタイミングという意味では同様ですね。
さて、上の画像の中の「戻り売り勢力」という視点を加えて、もう一度見てみましょう。
サポートに到達して反発上昇してきた勢力によって、最初に「ピンク色」レベルの波が反転します。
しかし、青色レベルではまだ反転していませんので、青色レベルの波において、下降トレンドが継続するイメージを持っているトレーダーの戻り売り勢力が入ってきたりします。
その後、サポートからの上昇力が強く、青色の戻り売り勢力をも飲み込んで上昇していき、「青色」レベルの波も反転します。
ですが、「緑色レベル」上の画像だと左側の下降波をすべてで1つの波として認識するようなレベル感での戻り売り勢力がまだ残っています。
なので、高値を抜けるまでの間にそういった戻り売り勢力などの売り注文により、所々で下降波が形成されています。
ですが、結局は「サポート」からの上昇勢力の方が強かった為に、「緑色」レベルの高値も上抜けて、緑色レベルの戻り売りという目線も無くなりました。
さて、次はもう少し視点を広げてみます。
先程の画像の場面は「M5」のチャートでしたが、「M15」のチャートで同じ場面を見てみます。
実は、上位で見るとこのように、上昇推進波の「押し目買い」の場面だったわけです。
なので、上の画像の中で見た「戻り売り勢力」は、この上昇推進波の「押し目買い勢力」と戦っていたわけです。
そして、結果的に上昇推進波の上昇トレンド継続と考える相場参加者が多かったので、「押し目買い勢力」が勝つ形で緑色レベルの高値を上抜けていったわけですね。
ですが、こういった「押し目買い」の場面でも、時間軸レベルを変えれば「下降トレンド」が存在するわけで、押し目買いが成功するには、そういった目線の戻り売り勢力を倒す必要があるということです。
そして、上の画像の場面では「押し目買い」側の相場参加者が多かったので、「上昇への反転」が小さな時間軸から大きな時間軸へとスムースに波及していったわけですね。
上位の環境が違えば、当たり前ですが、この辺りのパワーバランスが変わってきます。
なので、もっと「押し目買い」側の相場参加者が多ければ、戻り売り勢力はもっと弱く、一気に上昇していく展開にもなります。
また、逆に「戻り売り」側の相場参加者が多ければ、「上昇反転」の影響の波及が途中で止まってしまい、押し目買いが失敗に終わることだってあります。
次は、この「波及が届かない」ケースを実際のFXチャートで見てみましょう。
上の画像も、先程と同じように「サポート」に到達してからの「上昇反転」の場面です。
サポートからの上昇勢力によって、「ピンク色」レベルの波においては反転しました。
ですが、青色もしくは緑色レベルではまだ反転していませんので、戻り売り勢力が入ってきます。
そして、今回はこの戻り売り勢力が強くて、「上昇反転」が青色レベルまで「波及が届かない」という結果でした。
上昇反転の「波及が届かなかった」ということは、この場面においては「押し目買い勢力」よりも「戻り売り勢力」の方が強かった、そのように捉えた相場参加者が多かったということです。
なので、むしろ下降波において「波及」は強く起きているんですね。
上の画像の通り、「上昇反転」の波及は青色レベルに届かなかったが、その後の「下降反転」は青色レベルにまで波及したわけです。
このようになった要因は、この場面において、この時間軸レベルでは「下降していく」と考えた相場参加者が多かったということです。
FXの価格は常に「多数決の原理」で動いていますので、価格の動きが全てを物語っています。
なぜ、「戻り売り勢力」の方が強かったのか?
実は、戻り売り勢力が根拠としている青色もしくは緑色レベルの下降波は、「上位の強いレジスタンス」に当たって発生した波だったからなんですね。
つまり、戻り売り勢力には、バックに「上位のレジスタンスの反発」という強力な味方がいたということです。
この時間軸レベルにおいて、青色レベルでは「サポートゾーン」を抜けるまでは上昇トレンドです。
このチャートだけ見ると、青色レベルにおいては、上昇が「推進波」という見立てで問題なかったのですが、上位のレジスタンスに到達した時に、「背景」が変わったということなんですね。
結果としては、同じような時間軸レベルの「サポートゾーン」と「レジスタンスゾーン」の攻防になったわけですが、「レジスタンスゾーン」には「上位のレジスタンス」という強力な味方が付いていたから、「戻り売り勢力」が強かったんですね。
これに気づく為には、「環境認識」をする他ありません。
波がどこまで波及するのか?については、やはり上位のチャートを確認するのが重要ということです。
まとめ
実際のFXチャートにて「波及」という概念について、見てみました。
波及は、必ず小さい時間軸から大きい時間軸へと起きるということ。
そして、段階的に発生するので、その間には「逆目線」の勢力が入ってきたりすることが多いということ。
そして、「逆目線」の勢力の方が強かった場合には「波及が届かない」という現象が発生するということ。
「波及が届かない」というのは、あくまで自分の目線からの話であって、逆目線からすると「波及していっている」状態だったりします。
このチャートポイントからの上昇・下降はどこまで波及していけるのか?
これを判断する為には、やはり「環境認識」をすることが重要ということですね。
この「波及」という概念は、「決済」の場面でも考え方を整理出来たりしますので、それはまた別の記事で書いておきます。
「波及」という言葉や概念でなくても、波の力の及ぼしあいだったり、波が段階的に伸びていく時の展開が自分なりにイメージ出来ている人は、そのイメージの仕方でよいと思います。
FXのチャートは「フラクタル構造(用語解説)」になっていますので、波の認識レベルを段階的に区切って「波及していく」という風に考えることで、頭の中が整理しやすくなる人は、どうぞ参考にしてみてください。