そもそも「ナンピン」とは?
FXトレードの勉強をしていると「ナンピン」という言葉を聞いたことがあると思います。
漢字で書くと「難平」だそうです。
そもそもナンピンとは簡単に説明すると「ポジションを持っていて、含み損がある時に同じ方向のポジションを増やして、損失を平均化すること」です。
損失の平均化というのが分かりづらいですよね。
絵でも説明します。
「ドル円」で価格が上昇すると予測して105.500円の時に10ロット持ったとします。
予測に反して価格が下がってしまい含み損になっている時に、105.000円で追加で10ロット買い増すと、2つのポジションを合わせて考えると105.250円の買いポジションを20ロット持っているのと同じ状態になりますよね?
すると、本来500pointあった含み損の幅が250pointの含み損になり小さくなっているわけです。
これが「ナンピン」です。(※もちろん「売り」も逆に同様)
なので、ここから価格が250point上昇して戻すだけで、2つのポジションの合計の損益はプラスマイナス0になりますが、ナンピンしていなかったらまだ250point分の含み損を抱えている状態ですね。
ナンピンしていない場合は、105.500円に戻ってきて、やっとプラスマイナス0に回復するわけですが、ナンピンしていれば含み益が出ています。
価格が上昇していくのであれば、より安い所で買い増しをしているわけですから、有利なポジションを築けているわけですね。
じゃあ、ナンピンした方が良いじゃん!という単純なわけにはいかないのはさすがに想像出来ていると思います。
そうです、さらに予測が外れて逆行した場合ですね。
上の画像だと、ナンピンした方が含み損の幅が小さくなっているので勘違いしがちですが、ロットが倍になっているので、やはり含み損が大きいんですね。
当たり前ですが、ナンピンした後にさらに逆行してしまった場合は、ナンピンした場合の方が損失が大きくなってしまいます。
つまり、「諸刃の刃」ということです。
しかも、よく考えると「ナンピン」というのは必ず最初に建てたポジションより逆行している場面です。
価格の動きが逆行している中で、ただ考えなしにナンピンしていくのはとても危険だということがわかりますよね?
なので、一般的には「ナンピンは絶対にするな!」という人だっているわけです。
ですが、ナンピンは使い方によっては武器にもなります。
重要なのは、「良い」ナンピンと「悪い」ナンピンの違いが分かっていることです。
「悪い」ナンピン
まず最初に「悪い」ナンピンの例からです。
押し目買いの場面です。
上昇トレンドが継続するという予測の基、押しが入って上昇反転し始めたところで「買いポジション」を建てます。
この時に、押し目買いの根拠としては「上昇トレンドの継続」なので、ダウ理論ベースで「ダウ安値」を割ってしまうと、上昇トレンドが継続と言えなくなってしまうのでダウ安値に「損確」を設定します。
利確は置いておくとして、これが大まかな「トレードプラン」ですね。
さて、この押し目買いの場面において、予測が外れて価格が下がってきてダウ安値を下抜けてしまいました。
ですが、上位の環境を考えると「もう少し粘れば、やっぱり上昇する気がする」と思ったとします。
なので、ナンピンをしてさらに有利なポジションを築くことにしました・・・
これは「悪い」ナンピンですね。
そもそも、「上昇トレンドが継続する」という予測に「トレードをする程の自信」があったから、この場面を選択してトレードプランを組んだはずですよね?
上昇トレンドの急所であるダウ安値を割ってしまったのであれば、「上昇トレンドが継続する」という一番の根拠を失ったことになりますので、撤退をするべきです。
撤退するべきポイントだから、最初に「損確」を設定しているはずですよね。
撤退しなくてよいのであれば、「損確」を設定していることと矛盾します。
また、しっかりと「資金管理」をしているトレーダーであれば、当初の損確を基準にロット計算をしているはずなので、損確をずらしてしまっては許容損失割合を超えたリスクを背負うことになります。
もちろん、上手くいく可能性もありますが、さらに逆行した場合には買い増したした分の損失も増えますので、許容損失割合を大きく超えた損失をこの1回のトレードで出してしまうかもしれません。
最初に建てたトレードプランの「根拠」を失った状態であることと、「資金管理」が出来ていないということから、「悪い」ナンピンと言えます。
「良い」ナンピン
次は「良い」ナンピンの例です。
先程と同じ「押し目買い」の場面です。
ですが、今回は「ナンピン」の狙い方が違います。
サポート1とサポート2の押し目買いが入ってきそうな2つの候補があって、絞り切れない時にサポート1で反発があり、エントリーの形が出来たとします。
その時に、1回のトレードの許容損失割合の半分になるようにロット数を調整してエントリーをして「試し打ち」をします。
もちろん、半分とはいえ、このまま順調に伸びてくれた万々歳ですし、やはりサポート2まで調整が進んだら、ここで「ナンピン」です。
残しておいた半分をロット数を調整して投入します。
ポイントは、計画的なナンピンなので、資金管理がしっかりと出来ていること。
また、2つのポジションともに当初のトレードプランの中にあり、「上昇トレンドが継続する」という根拠の基に成り立っていることです。
「資金管理」と「トレードプランの根拠」を守った「計画的」なナンピンであれば「良い」ナンピンと呼べるのではないでしょうか。
もちろん、チャートの形次第ではナンピンまで計画済みだったとしても、ナンピンしない方が良い展開になっていることもあります。
ですが、重要なのはもしも「ナンピン」をするのであれば、当初のプランが崩れた状態でするのではなく、「資金管理」と「根拠」が守られた状態ですることが必要条件であるということなんですね。
まとめ
「下手なナンピンすかんぴん」なんて言葉がある通り、ナンピンで下手を打つとさらに損失が大きくなります。
ナンピンをする状況というのは、必ず最初に建てたポジションが含み損を抱えているわけで、「逆行」している場面です。
なので、計画外のナンピンというのは、単純に難しいはずなんです。
それを、「負け」を先延ばしにしたいという「プロスペクト理論」ともいえる「感情」に流されたナンピンをして、傷口を大きくするようなトレードをしていては、トレード成績の安定とは程遠いと言えます。
もしも「ナンピン」をするなら、必ず「資金管理」と「トレードプランの根拠」を守った「計画的」なナンピンでなければなりません。
「ナンピン」は上手く使えれば、利益を大きくしたり、チャートの展開に合わせて逃げることが出来たりします。
ですが、それらはあくまで「応用」であり、FX初級者にとって大事なことは「トレードプランの完遂」であり「資金管理」を守ることです。
基本的なトレードを繰り返しているうちに、チャートの形次第では「2段、3段構えで迎え撃ちたいな」という心理が湧いてくることがあるかもしれません。
その時に「資金管理」と「トレードプランの根拠」という重要なことを抑えていれば、自然と「良い」ナンピンのトレードをイメージするはずです。
もしも、「悪い」ナンピンをしてしまったり、したくなってしまうという方は要注意です。
FXで継続的に利益を上げ続ける唯一の方法は「トレード」を積み重ねることであり、「ギャンブル」をすることではありません。
「悪い」ナンピンはほとんどの場合「ギャンブル」になってしまいます。
これがギャンブルにならないのであれば、当初のトレードプランがおかしいので、それはそれで問題です。
「悪い」ナンピンをしてしまう要因の多くは「負けたくない」という「感情」です。
常に「論理的」に考えて、「費用」とも呼べる必要な負けがあることを理解出来ていれば、不必要な悪いナンピンをすることも無くなるはずですね。