相場の格言「頭と尻尾はくれてやれ」の本当の意味とは!?

アイキャッチ画像トレード手法

相場格言「頭と尻尾はくれてやれ」

相場の格言で「頭と尻尾はくれてやれ」というのを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

これは、トレンドフォローにおいて例えば「押し目買い」を狙う時に、欲張って「大底」から入って「天井」まで取ろうとするようなトレードは、そんなに上手くいかないよっていう話ですよね。

頭と尻尾1

上の画像のように、トレンドの「最初(頭)」から「最後(尻尾)」まで全部根こそぎ取ってやろうというような狙いのトレードが「頭と尻尾はくれてやれ」とは逆の「頭も尻尾も喰ってやれ」トレードですね。

上の相場格言「頭と尻尾はくれてやれ」というのは、このようなトレードはうまくいかないことが多いので止めて、「頭と尻尾はくれてやれ」そして「胴体」だけ狙うのが良いよという意味なんですね。

頭と尻尾

でも、なぜ「頭」と「尻尾」は狙わない方がよいのか??

これを本質的に理解していないと、結局この格言「頭と尻尾はくれてやれ」をなんとなく理解出来ていても、実践出来ていなかったりします。

この格言「頭と尻尾はくれてやれ」について「一般論のイメージ」「トレードにおける論理」の2つの角度から考えてみましょう。

流行の始まりと終わり

FXの通貨ペアの価格は、多数決の原理で動きます。

つまり、「買い注文」の量が「売り注文」の量より多ければ、価格は上昇しますし、逆もまた然り。

FXの価格を動かす4つの力とは
FXの価格を動かしているのは、4つの力。FXの価格を動かしている力を知ることで、価格の動向を予測する精度も上がります。「相場参加者の心理を読む」という意識はやっぱり大事だということ。

そして、トレンドとはその注文の人気の偏りです。

「買い注文」の方が人気がある傾向が「上昇トレンド」であり、「売り注文」の方が人気がある傾向が「下降トレンド」です。

トレンドフォローでトレンドを意識して押し目買い・戻り売りを狙うというのは、簡単に言うと「流行りに乗っかる」のと同じなんですね。

「流行」といえば、2019年に「タピオカドリンク」が流行りましたね。

もしも、このタピオカドリンクの流行を狙って、タピオカドリンクのお店を出してもうけようと考えた時、出店のタイミングって難しいですよね?

SNSで「タピオカドリンクがおいしい!!」って、誰かに1回投稿されただけで、「これは流行するはず!」と判断して、タピオカドリンク店を出店するのは時期尚早ですよね?

たぶん、こんな感覚では2019年よりもっと前に出店してしまって、流行を掴んではいないはずです。

タピオカドリンクが流行ると思って、タピオカドリンク店を出店したのに、結局流行にはならずに全然売れなかったら大変ですよね。

やはり、SNSで1日に何回も投稿されるなど、ある程度「流行しだした」という確認をしてから、出店するべきですよね?

これが「頭はくれてやれ」ということ。

また、出店後にある程度のピークを過ぎて売り上げがだいぶ落ちてきても「もう一度、タピオカブームが再燃するはず」とだらだらと出店し続けるのはどうでしょう?

もちろん、タピオカブームが再燃する可能性も0ではないですし、ブームが再燃する期待を持つ根拠があれば話は別ですが、、、一過性の流行を狙ったプロジェクトであれば、ブームを過ぎたのであれば見切りをつけて、その時間と資金を別に使った方が良いかもしれませんよね?

これが「尻尾はくれてやれ」ということ。

頭と尻尾3

「流行りに乗っかる」という行為で一番美味しいのは、「胴体」の時にしっかりとお店を出してもうけることです。

しかし、「流行」というものは一番最初と最後の部分をビタッと判断するのは難しいんですね。

しかも、「頭」と「尻尾」にはリスクがあります。

「頭」には「流行らずに終わってしまう」というリスク、「尻尾」には「すでに流行が終わってしまっている」というリスク。

なので、なるべく「胴体」の部分を捕まえる為にも、「頭」の部分では「本当に流行り出したのか?」、「尻尾」の部分では「もう流行りは終わるかもしれない」という慎重さが必要だということなんですね。

トレードにおける論理

FXを「いかに多数派に身を置けるか」というゲームとして捉えたときに、「周りの流行に乗れるかどうか」が鍵になるわけです。

そして、移り変わる「流行(トレンド)」を捉える為には「慎重さ」が必要だということを説明したわけですが、実際のトレードにおける論理からも考察してみましょう。

「押し目買い」の場面を想定してみます。

頭と尻尾4

一時的な「押し」である下降調整波の勢いが弱まって、少し上昇し始めました。

この場面で「上昇し始めたので、もう下降調整波が終わって、上昇推進波が発生するかもしれない。乗り遅れないように買いポジションを建てよう」と考える人もいますよね。

もちろん、この考え方が常に悪いわけではありませんが「結局下降調整波が継続して、上昇推進波はまだ発生しない」というリスクがあることを承知しておかなければいけません。

頭と尻尾5

これが、前出の「頭」を取りにいった時のリスクですね。

「流行(トレンド)」が発生すると見切り発進したけれど、流行が発生しなかったパターンです。

上の画像では、「上昇し始めた」けれど、よく見ると下降調整波の急所である「ダウ高値」を上抜けてはいなかったので、上昇推進波が発生すると判断するには早過ぎたと言えますよね。

さて、下降調整波の急所であるダウ高値を上抜けた場面ではどうでしょう?

頭と尻尾6

下降調整波の急所である「ダウ高値」を上抜けたので、下降調整波が終了して上昇推進波が発生するとたしかに考えられます。

ですが、「慎重」に考えてみるとどうでしょうか?

下降調整波も「調整波」とはいえ、立派な「トレンド」だったりします。

ということは、下降調整波を親波とした「戻り売り」で下降トレンドをイメージするトレーダーが居てもおかしくないですよね?

頭と尻尾7

「戻り売り」を考える相場参加者が多ければ、下降波は強くなり、押し安値候補を下抜けていく展開になるかもしれません。

その場合も「結局、流行が発生しなかった」という「頭」のリスクになります。

ですが、やはり上昇トレンドの再開を期待する相場参加者の方が多かった場合、この「戻り売り」はそんなに人気が出ずに強い下降波にはならないですよね。

そして、この下降波が止まって、再度上昇し始めた時に、それまで慎重になっていた多くの相場参加者も「いよいよ上昇推進波が発生しそうだ」と思うわけです。

実際に、多くの相場参加者がそのように考えることによって、買い注文が増えて上昇推進波が本格化していきます。

この流れがエリオット波動理論とリンクしているんですね。

FX用語解説「エリオット波動」
ラプラスFXの用語解説。「エリオット波動」について説明。有名なテクニカル分析ですが、波の数え方や、波動の型よりも、「推進と調整」「第3波」「フラクタル構造」という本質をトレードの考え方に取り入れたい。

「頭」を取りに行くリスク覚悟の勝負師達で構成される「第1波」、逆目線の抵抗による「第2波」、そして大勢の人達が動き出す「胴体」になる「第3波」

なので、エリオット波動理論でいうところの「第3波を狙え」というのは、相場格言の「頭と尻尾はくれてやれ」と本質的には同じなんですね。

頭と尻尾8

FXは多数決の多数派にいかに身を置けるかどうかというゲームです。

なので、多くの相場参加者がわらわらと流行を作る時に、そちら側にポジションを取れるかどうか。

重要なのは、いかに「本隊」に加われるかなんですね。

もちろん、「先発隊」から参加していれば、利益も多くなるメリットはありますが、「本隊」が来ないかもしれないというデメリットがあるわけです。

重要なのが流行(トレンド)の胴体である「本隊」に加わることであれば、「本隊」が出発するタイミングを狙うのが効率的ではないか?というのが、相場格言「頭と尻尾はくれてやれ」の言いたいことなんですね。

さて、ここまでは「頭」の部分にフォーカスしていましたが、「尻尾」についても考察してみましょう。

「尻尾」の部分は、エリオット波動理論だと「第5波」に相当する場面ですね。

ラプラスFXでは「遅刻隊」と呼んでいる部分です。

推進1波 本当にトレンドになるか不明な時期から勝負に出る「先発隊」

推進3波 トレンドが確定してから、追随してくる「本隊」

推進5波 トレンドがだいぶ伸びた後に、遅れてやってくる「遅刻隊」

タピオカドリンク店を出店する話だと、もうすでにTVなどでタピオカドリンクが流行っているというニュースが流れてから何か月も経ってから、出店を出すようなグループが「遅刻隊」。

いわゆる「流行の後追い」です。

もちろん、その後も流行が続いてくれればよいですが、やはり流行はある程度続けば続く程に「流行が終わる」というリスクが増えていきます。

頭と尻尾9

FXでもある程度推進波が伸びると「もう含み益もだいぶ大きくなったから、このくらいで良いかな」と利確を考える相場参加者が増えます。

なので、トレンドは伸びれば伸びる程、トレンドが終了するリスクが潜在的に増大しているわけです。

目標としている本命のチャートポイントがまだ先だとしても、手前の本命ではないチャートポイントで思いのほか利確する相場参加者が多かったりして、またその動きに反応して利確する相場参加者が現れたりして、トレンドが伸びなかったりするリスクがあります。

頭と尻尾10

流行(トレンド)の勢いが止まってきた時には、それ相応の要因があったりします。

その要因が強かった場合には、第5波が思いのほか伸びないことがありますので、伸びると思ってホールドしていると、せっかくの含み益が消えてしまったり、、、

もちろん、流行(トレンド)が盛り返して継続という展開も十分あり得ます。

「尻尾をくれてやれ」の部分はFXトレードの「利確」の話だったりします。

「利確に答え無し」の通り、毎回最適な利確をすることは非常に難しいことです。

なので、どこまでを「胴体」と捉えるか、どこからを「尻尾」と捉えるか、また「尻尾」をリスク覚悟でどのくらい取りにいくのか?などは、トレーダーのスタイルの違いだったりします。

これは、「頭」の部分でも同じですね。

どこまでが「頭」で、どこからを「胴体」を捉えるのか、また「頭」をリスク覚悟でどのくらい取りに行くのか?はトレーダーによって違いがある部分ですね。

ただし、大事なのは「胴体」を捉えるということであり、「頭」と「尻尾」は無理しないという考え方ということ。

それが相場格言「頭と尻尾はくれてやれ」の言いたいことだと思います。

まとめ

今回は、相場の格言「頭と尻尾はくれやれ」についての考察でした。

FXトレードは様々な要素を統合的に判断して、期待値の高いトレードを積み上げていく必要がある難しい作業ですよね。

ただでさえFXトレードは難しいのに、「大底から天井まで」狙うような、ことさら難しいトレードを毎回狙っていては、そりゃ上手くいかないよって話だったりします。

逆を言うと「頭と尻尾も喰ってやる」トレードで上手くいっている人は、それで良いわけです。

また、色々なトレード手法があるので、すべてのトレーダーに当てはまる格言というわけでもないです。

そもそも、FXチャートにおいて、どこが「頭」でどこが「尻尾」と捉えるかも、トレーダーによって違ったりします。

ただし、トレード成績がまだ安定していない人で、トレンドフォローをイメージしてトレードしているのであれば、「頭と尻尾はくれてやれ」をイメージすることでトレード成績が安定するきっかけになるかもしれないですね。

格言のポイントは「慎重さ」だと思います。

「頭」と「尻尾」に潜むリスクをうまく回避する慎重さが必要ではあるのですが、慎重過ぎてもいけないのがFXトレードの難しいところですよね。

慎重になりすぎては、「頭」のリスクを回避出来ても肝心の「胴体」も喰い損なってしまったり、「尻尾」のリスクを避けようとし過ぎて「胴体」をだいぶ食べ残してしまったり、、、

この辺りがFXは「経験」が必要だと言われるポイントでもあると思います。

なので、デモトレードを繰り返すことなどで、自分なりの感覚を磨いて「技術」として習得することをおすすめしています。

ちなみに余談ですが、タピオカドリンクが流行り出した時に乗り遅れて「今更タピオカドリンクを飲むのもなぁ」なんて思っている感じは、FXトレードで押し目買いを狙っていたのに乗り遅れて、ただただ伸びていく陽線を見つめている感じにちょっと似ているような・・・

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