「建値」に移すとは?
FXでは、エントリー後の「決済」のタイミング・判断は非常に難しい要素ですよね。
必ずこういった決済の仕方をしなくてはいけないという明確な答えが無いのが「決済」なのですが、その決済の分野の中の話で「建値に移す」という方法について聞いたことがあると思います。
建値とは、自分がエントリーした価格ですね。
つまり、「建値に移す」とは何をしているのかというと、ある程度順行して価格が伸びて含み益が出た時に、エントリー時に初期設定した損確の価格を建値に設定し直しているということです。
上の画像では、押し目買いのトレードプランで押し目買いエントリーした場面ですね。
ある程度、順行して含み益が出た後に、エントリー時に初期設定していた決済注文の価格を押し安値候補から、建値(エントリー価格)に変更したわけですね。
これが「建値に移す」という行為ですね。
この行為の狙いは何かというと、ある程度順行した後に予測外の戻しにあっても決済注文を建値に移しているので、どれだけ価格の動きが逆行しても、もう「損失」が出ないということです。
ある程度順行した後に、決済注文の価格を建値に移せば、この後どれだけ逆行してきても建値で決済され、もう負けはないので、安心ですね!!
、、、、
そうなんです、「建値に移す」という行為の根源にあるのは「安心したい」なんですね。
裏を返せば、「不安」に駆られてとった行動とも言えますよね。
建値に移せば、もう損失を出すことは無いぞと、、、
はたして、「建値に移す」という行為の狙いは分かりましたが、論理的な行動と言えるのでしょうか?
下の画像を見てください。
押し目買いエントリーした後に、ある程度順行したので決済位置を建値に移しました。
ですが、高値抜けする前に抵抗勢力の反発にあって、押してきてしまいました。
そして、建値まで押してしまったので、損失0で建値決済されましたが、その後サポートゾーンから高値抜けを期待する押し目買い勢力が入ってきて、結局高値抜けする展開でした、、、
こんな展開良く見ますよね?
もちろん、そのまま下抜けてしまって建値決済しておいて良かったというケースもあると思いますが、ここで重要なのは「論理的に判断が出来ているか?」ということです。
上の画像の例でいうなら、買いポジションを決済するのは「論理的に考えて買いポジションを持つ期待が持てなくなった」「立てていたシナリオが崩れてしまった」というケースですよね。
そもそも、高値抜けを期待して押し目買いエントリーしているのであれば、「建値まで戻ってきた」という材料はこのエリアでの上昇の展開を諦める大きな材料になっているのか?ということです。
そもそも、「建値」というのは自分がエントリーした価格というだけで、他の相場参加者のチャートには表示されませんし、自分にしか意味のない価格です。
自分にしか意味のない価格に到達したことを理由に買いポジションを諦めるのは論理的な行動と言えるでしょうか?
上の画像の例、建値がチャートポイントにはなっていないのであれば、建値まで戻したことはシナリオが崩れたと判断されるポイントではないですよね。
もちろん、ある程度順行して含み益が大きくなった時、損失をさらに限定したり、利益を確保したいという考えはありますよね。
そういう時は、上の画像のように意味のあるチャートポイントが出来上がってから、そちらに移すという方が論理的に考えた行動が出来ていると思います。
これは、結果的に建値付近に決済価格が移動しているので、もう損失が出ない状況を作り出せています。
ですが、建値決済に終わった時に持つ意味合いが先程とは全然違いますよね。
「ただ他の相場参加者が意識しない価格に到達しただけ」
と
「買い圧力が加わった実績である安値を下抜けてしまった」
では、買いポジションを閉じたという行動に対する根拠が違います。
根拠を持った行動を取り続けることは、長期的に見て利益を残すポイントになってきます。
重要なのは、ただ自分の不安を解消するということではなく、その決済行動はトレードの期待値を高める行動になっているのかどうか?ということですよね。
まとめ
今回は、決済の場面で決済注文の価格を「建値に移す」という決済方法について、少し深堀りしてみました。
割と、他の方のブログなんかでも「建値に移す」というワードは見かけたりしますが、個人的にはしっかり意味を考える必要があると思います。
もちろん、その建値がトレード上重要な意味を持つ価格になっており、他の相場参加者も意識しており、ポジションを閉じる根拠となり得る価格であれば、建値に移すのは1つの決済案だと思います。
ですが、大抵の場合、チャートポイントと自分のエントリー価格というのはずれていると思いますので、「建値に移す」というのは基本的には自分目線でしかない行為であり、論理的判断というよりも「損失を出したくない」というプロスペクト理論に陥っている可能性があります。
建値に移すよりも、出来るなら建値付近にある「微損」「微益」になるような範囲で意味のあるチャートポイントに対して決済注文の価格を設定する方が論理的な行動だと言えます。
もしくは、上で紹介したように新たに出来上がったチャートポイントを利用して決済位置を移していくというやり方の方が、論理的に考えられた行動になっていると思います。
実は、FX上級者の人でも、「建値に移す」という決済方法をしている人も居ます。
そんな人は、「この波形から建値まで戻ってきたら、ちょっとおかしいな、、、」みたいなことを経験から判断していたりします。
個人的には、そうだとしても、厳密には建値ではなく、下位レベルでも建値付近のチャートポイントを使った決済の方が良いと思いますが、あまり大差がないからみたいな理由だったりします。
ですが、トレード成績が安定していない人は、そういった判断が裏にあるわけでもなく、ただある程度含み益が大きくなった時にそれを失う不安感からプロスペクト理論に陥った「建値に移す」をしてしまっている可能性がありますので、やはり丁寧にチャートポイントを使って設定する癖をつける方がおすすめです。