「ワイルダーの定義」とは
FXのテクニカル分析の1つに「ワイルダーの定義」という考え方があります。
ワイルダーとはJ.W.ワイルダーのことで、「RSI」というオシレーターを開発した人と説明した方がピンと来る人が多いかもしれませんね。
簡単に説明すると、そのワイルダーさんが定義した「トレンド相場の定義」が「ワイルダーの定義」です。
以下、上昇相場について解説しますが下降相場についても同様です。
早速、上昇相場におけるワイルダーの定義を見てみます。
『上昇相場①』
ちょっと文字だけだとイメージがつかみづらいので、画像でも見てみます。
下の画像を見てください。
ローソク足で見ると分かりやすいですね。
ですが、、、あれ?ちょっと違和感がありますよね?
そうなんです。
「ワイルダーの定義」はそもそもFXの為に考えられた定義ではないんですね。
当時の株式相場なんかをテクニカル分析する為に考案されたものなので、前々日のローソク足と前日のローソク足の間に「窓」が空くことがあるという想定がされているんですね。
FX相場にあてはめると、「前々日の終値>前日の安値」も無くはないですけど、始値を1ポイントも下げずに陽線が確定した場合だけですね。
つまりまったく下ヒゲが無い時ということですね。
この「上昇相場①」の定義の中には「窓」がある程度想定に含まれている定義になりますので、あまりFX相場を考察するのには向いていないと思いますので、ワイルダーの定義の「上昇相場①」はスルーしておきます。
考察したいのは、次の「上昇相場②」のワイルダーの定義です。
『上昇相場②』
さっそく、これもローソク足で見てみましょう。
ローソク足で見てみるとこんな感じです。
さて、今回のワイルダーの定義はFX相場でも頻繁にあるケースですので、ローソク足をFX相場風にしてみてみます。
違和感のない、いつものローソク足になりましたね(笑)
FX相場のローソク足の並びで見ても、ワイルダーの定義「上昇相場②」のケースは当てはまるケースがだいぶありそうです。
前段の「前日安値<前々日終値」は「窓」が空いているかどうかという想定に近いので、ここはそこまで深堀しなくても大丈夫ですね。
重要なのは、上昇相場が継続する可能性が高いとジャッジをするトリガーになっている「当日終値>前日安値」という条件ですね。
ワイルダーは当日のローソク足の実体が前日のローソク足の下ヒゲの上で確定するのか?下で確定するのか?という要素を重要視したということです。
「前日安値」は何を意味するのか?
ワイルダーが重要視した「当日終値>前日安値」について深堀します。
そもそも、「前日安値」とはどんな意味を持っているのか?
ローソク足の中を下位レベルに分解してみてみましょう。
下位レベルで見てみると、上の画像の例だと、「前日安値」は下位上昇トレンドの「ダウ安値」になっているんですね。
もちろん、ローソク足の形や中の下位レベルの形次第で「ダウ安値」という定義には当てはまらないこともあるはずですが、少なくとも上昇トレンドの最中に形成された注目度の高い安値(サポート)であることが多いんですね。
ワイルダーの定義「上昇相場②」が崩れてしまっている場面を見てみましょう。
上の画像の通り、上昇相場②のワイルダーの定義が崩れてしまっている時というのは、ダウ安値を下抜けた状態で終値が確定しているということなんですね。
つまり、ダウ理論ベースで考えても上昇トレンドが終了していると判断される場面です。
ダウ安値、よしんばこれがダウ安値と定義されるものでなかったとしても、サポートではあるので、このサポートで買いが入らずにサポートされず下抜けてしまったという「買い勢力にとって負の材料」であることは間違いないですね。
少なくとも、「前日安値というサポートで買いが入らずに下抜けて確定した」という、この負の材料をワイルダーは重要視して、このように上昇相場を定義したのだと思います。
さて、気づいた方もいると思いますが、上で解説したケースには微妙なケースがありますよね?
下の画像を見てください。
上の画像の例は、ワイルダーの定義「上昇相場②」の条件を満たしていますね。
ですが、下位レベルで見てみると一度ダウ安値を下抜けていいます。
最終的にはサポート付近で買いが入って、ダウ安値よりも上で終値が確定しています。
つまり、上位のローソク足レベルでは下ヒゲで確定したという風に見えますし、下位レベルではダウ理論ベースでは人によっては上昇トレンドが終了したと判断出来る場面ということですね。
これは、どちらの見方が正しいという話ではなくて、両方の見方・材料が存在する状況ということです。
ちなみに、ワイルダーさんは日足を想定しているから、日足のローソク足の終値の確定を重視したのかなと思います。
ワイルダーの定義をFX相場で、また他の時間軸のローソク足に当てはめて使うなら、上のような微妙なケースではやはり微妙なジャッジになります。
まとめ
「ワイルダーの定義」を深堀りしてみると、ワイルダーさんは「注目度の高いチャートポイントを抜けていないかどうか?」を重要視して相場を定義していることが分かりますね。
この考え方は現代のFX相場でも十分通用する考え方ですよね。
もちろん、細かい違いはありますが、根幹の部分はダウ理論と共通していると感じられます。
両者とも、「上昇相場であれば守られるであろう安値(チャートポイント)に着目して、そこが守られている状況なのかどうか」という目線で相場を分析しようとしているところは、同じような考え方と言えます。(※下降相場も同様)
さて、ワイルダーの定義の本質とも言える部分を理解したところで、実際のFXチャートを見ると、そんな単純なローソク足の並びばかりではなく、判断に迷うようなローソク足の並びが多いことに気づくと思います。
次回は、ワイルダーの定義でFX相場を判断する時に迷うような複雑なローソク足の並びについて見てみようと思います。