「トレンド」と「勢い(モメンタム)」
FXで「上昇トレンドが出ている」っていう説明と、それとは別に「上げの勢いが強い」っていう説明をされたとします。
チャートの形の詳細は違えど、トレーダーであれば、どちらの説明でも「価格が上昇している場面」を思い浮かべますよね。
たしかに「価格が上昇している」という点で、2つの説明は似ているのですが、微妙に伝えたいことが違うはずなんです。
ちなみに「勢い」は英語では「モメンタム」ですが、「トレンド(Trend)」と「モメンタム(Momentum)」という違う言葉を使っているのに、まったく同じことを表現しようとしている、という方が不自然ですよね。
もしFXでトレードの成績が安定していないのであれば、この両者を微妙にごちゃ混ぜにしていることが、トレードの成績が安定しない要因の1つかもしれません。
さて、「トレンド」と「モメンタム(勢い)」はどのように違うのか?
まずトレンドとは「傾向」です。
上昇トレンドであれば、「買い注文の方が人気がある」という傾向があると言い換えられます。
「買い注文の量が売り注文の量より多い」傾向があるということ。
それに対してモメンタム(勢い)とは「大きさ・強さ」です。
「上げの勢いが強い」とは、「買い注文の量が売り注文の量より多い」だけでなく、その「差が大きい」という意味です。
では、「大きい」とはどのくらいから大きいのか?というと、それは人によって違います。
多くの場合、過去の経験や周りのローソク足と比べて大きいという、「相対的」な意味を指しているとは思いますが、その判断基準は人によって異なります。
ですが、「勢い」という言葉が伝えたいことは、「買い注文の量が売り注文の量より多い」ことよりも、その「差が大きい」ということを伝えたいはずなんですね。
FXのチャートでトレンドを判断したある期間において、「トレンド」という概念は、フラクタル構造的に見た時に「陽線」なのか?「陰線」なのか?にフォーカスしていると言えます。(※「フラクタル構造的に見る」とは、今回の場合では「上位の時間軸で見た時」の意)
また、同じように「勢い(モメンタム)」という概念は、「大きい足」なのか?「小さい足」なのか?という点にフォーカスしていると言えます。
さて、「トレンド」と「モメンタム(勢い)」という概念に違いがあると分かったところで、FXのトレードの考え方にどのように活かすのかについて見てみましょう。
FXトレードにおいての考え方
FXのチャートにおいて「上昇トレンド」と判断された期間があるとします。
上昇トレンドであれば、「買い注文の人気がある」「陽線が多い・大きい」「価格が上昇する」傾向があるわけです。
なので、上昇トレンド中に「買う」という行動は論理的に期待値が高いトレードに繋がるんですね。
ですが、「上昇トレンド」だから、ただ買えばいいというわけではないんです。
厳密に言うと「不十分」ということです。
まず、上昇トレンド期間の陽線と陰線を比較してみると、「陽線の方が多い・大きい」というデータ傾向になってるはずなんですね。
そうでないと、「上昇トレンド」にはなりませんよね。
そして、陽線が連続していたり、大きい陽線がある部分というのは、周りと比べて速く価格が上昇しています。
「勢い(モメンタム)」があるということです。
つまり、「モメンタム」という概念は、「トレンド」の中に内包されていると言えます。
言い換えるとトレンドの中に「勢いがある部分」と「勢いがない部分」があるということ。
「上昇トレンドだから」という理由だけで買うと、この「勢いのない部分」をトレードしてしまうリスクがあるということです。
「勢い(モメンタム)」という考え方を持っていれば、「ただ買う」のではなく、「勢いがある部分を買う」という狙いが出てくるわけですね。
なので、勢いが出る部分を狙ったトレード手法である「押し目買い・戻り売り」がトレードの王道と呼ばれるんですね。
ただし、実際のチャートは上の画像みたいにシンプルであることは少ないので、抽象的なものを具体的なものに落とし込む必要はあります。
その時に、「勢い(モメンタム)」という考え方は、トレードの質を高めるうえで、トレードをする「タイミング」を考えることに繋がるんですね。
「上昇トレンド」なので「買い」に目を付けたところまでは悪くないんです。(※もちろん、環境認識次第ですが、、、)
では、「どこから上げの勢いが出るのか?」というところまで、意識を持てればトレードの質がさらに高まります。
勢いの出るタイミングの話まですると話がとっちらかってしまうので、別の記事に譲ります。
まとめ
FXにおいて「トレンド」とは「傾向」であり、「勢い(モメンタム)」とは「大きさ・強さ」です。
そして、トレンドという概念の中に、勢い(モメンタム)という概念は内包されている。
言い換えると、トレンドの中に「勢いがある部分」と「勢いがない部分」があるということ。
なので、期待値の高いトレードをする為には、「勢いがある部分」をなるべく捉えられるような「タイミング」まで意識してトレードをしたいわけです。
チャート分析をする際に、「上げるのか?」「下げるのか?」だけでなく、「どこから上げの勢いが出るのか?」「どこから下げの勢いが出るのか?」というところまで考えるようにしたいです。
なので、ただ単に「上昇トレンド中」というようなトレンド判断ではなく、「推進波」と「調整波」という考え方が必要になってきます。
トレードの成績が安定していない人は、「方向」と「勢い」の両方に意識を払ってチャートを見るようにすると、トレードの成績が安定するかもしれません。
ちなみに、余談ですがインディケーターに「モメンタム」というものがあります。
暇な人で詳細が知りたい人は、調べれば記事が出てきますのでどうぞ。
世の中には、チャートを様々な角度で分析しようと、色々なインディケーターがありますが、個人的にはこの「モメンタム」というインディケーターも正直「?」なインディケーターの1つです。
チャート分析の基本は、「トレンド(波の流れ)」と「チャートポイント(波止場)」を把握することです。
その為には、情報を加工していない生の情報であるローソク足の分析を重視するのが、1番の近道だと個人的には思います。