そもそも調整とは
FXの価格の動きは基本的には「推進」→「調整」→「推進」のリズムで伸びていきます。
「推進」「調整」の概念について詳しくは、上の記事を読んでみてください。
一応、簡単に説明すると価格は方向感があっても一直線に伸びるのではなく、時々伸びしろを作る為に「調整」を挟みながら伸びていくということです。
「調整」はトレーダーごとの取引時間軸の違いや思惑の違いなどにより発生しますが、基本的にはトレンド方向に結局伸びていくという考え方です。
上昇トレンドの場合、取引時間軸の違いや思惑の違いから「一時的な下降調整波」が発生しますが、上昇トレンドという背景が変わっていなければ、また価格は上昇していくはずですね。
再度上昇していく上昇推進波に乗りたいと思っている相場参加者は多いはずなので、多くの相場参加者が「もう上昇が再開するだろう」「再開する上昇推進波に乗る為に買いポジションを持とう」という風に考えるようになったら、上昇推進波を発生させるような買い注文が増えてきますので「調整完了」です。
さながら、ジャンプをする前に膝を折り曲げてしゃがむような感じですね。
しゃがむことによって、次のジャンプ力を生みます。
しゃがむこと、つまり「調整波」によって、次の伸びしろを作っているんですね。
さて、調整波がどのような形になったら、「上昇が再開する」「買いポジションを持ちたい」と多くの相場参加者が考えるようになるでしょうか?
「調整」には大きく分けて2つの考え方が存在します。
それが「縦の調整」と「横の調整」です。
1つずつ見てみましょう。
「縦の調整」
上昇トレンドにおいて「調整」とは、あくまで一時的な下降調整波なので、上昇トレンドという背景が変わらなければ、また価格が上昇すると考えられます。
ただし、物の価格と同じように、人はできれば「なるべく安く買いたい」と考えます。
これは、FX相場でも同様です。
上昇トレンドの局面で「買う」ことを考えているトレーダーは、「なるべく安く買いたい」という心理と、「でも、価格が上昇していってしっまたら買いづらい(乗り遅れたくない)」という心理がせめぎあっているわけです。
そして、調整波がある程度進んで安くなってくると、「よし十分安くなったから買おう」という相場参加者が多くなって、買い注文が増えてきます。
そういった買い注文によって出来た陽線などが、「もう上昇が再開してしまうかも?今、買わないと乗り遅れる?」と考えるトレーダーの買い注文を呼び込みます。
そして、このような買い注文の勢力が本格化することで、上昇推進波が発生していきます。
つまり、「縦の調整」というのは「価格の調整」なんです。
上昇トレンドの局面においては、相場参加者の多くのが「十分安くなった」「もう上昇が再開する」と考える「価格」まで下降調整波によって下がることによって、多数決のパワーバランスが逆転することによって「縦の調整」が完了します。
「調整」というのは、基本的にはこの「価格の調整」である「縦の調整」の原理が強いです。
FX相場も「物の商売」と同様であり、基本的に「安く買って、高く売りたい」「高く買って、安く売りたい」という心理がトレードを支配します。
「横の調整」
さて、基本的には「縦の調整」である「価格の調整」が完了することによって、注文のパワーバランスに変化が起きて、推進波が再開していくことによって、トレンドはどんどん価格を伸ばしていきます。
ですが、どのくらい価格まで調整したら推進波が再開するのか?という考えは、その時の波の形や上位の環境、またトレーダーごとの考え方の違いなどによって、さまざまですよね。
なので、時には注文のパワーバランスが拮抗するような状態で膠着してしまうことがあります。
いわゆる「持合い」「揉む」「レンジ」と表現される状態ですね。
これは、「調整が完了したから、推進波が再開するだろう」と考える人達と、「いや、もう少し調整が進むだろう」と考える人達の勢力のパワーバランスが拮抗している状態です。
勢力が拮抗しているので、価格は大きく上にも下にもいかず、FXチャートでは「横」に伸びていくような展開になります。
こうなると、「上昇再開?」「調整継続?」か分からないので、価格に動きが出るまで待とうと考える人が現れますので拮抗状態に拍車がかかります。
この「横の展開」が続けば続く程、トレードを待っている人達が増えていくわけです。
また「横の展開」が続く程、この「レンジ」「持合い」に対する注目度が増しますので、一種の火薬庫のような緊張状態になります。
そして、しびれを切らした人達の注文が入ってきた時に価格が動き出します。
これは、価格の調整が縦に進んだから調整が完了して動き出したわけではないですよね?
ただ、拮抗状態のまま、「横」つまり「時間」が進んだことによって、価格が動き出したわけです。
つまり、「横の調整」というのは「時間の調整」なんです。
まだ縦の調整は十分には済んではいないけれど、横の調整が進んだことによって、「もう上昇再開」と考えた人達が増えたというわけです。
厳密には、レンジの状態になると、もっと他の要素も絡んでくるのですが、「時間経過」によって状況が変わり、推進波が発生するきっかけになっています。
ちなみに、「持合い」「レンジ」から上昇トレンド方向に価格が動きださずに、上昇トレンドとは逆の方向に価格が動き出す時もあります。
これは、環境認識次第ではありますが、上昇トレンドという背景が変わっていないのであれば、いわゆる「ダマシ」になりやすい場面ですね。
まとめ
FXにおいてトレンドによる価格の動きは「推進→調整→推進・・・」のリズムで伸びていく。
その「調整」には「縦の調整」と「横の調整」という概念がある。
縦の調整は「価格の調整」であり、横の調整は「時間の調整」。
基本的には縦の調整が済めば、注文のパワーバランスが変化して、推進波が再開しますが、拮抗してしまった時などは横の調整を経て、推進波が発生する。
調整波がどのようになったら推進波が再開するのか?という視点はチャート分析において重要なポイントですね。
その為には、他の相場参加者がどのように考えているかという想像力が大事だったりします。
さて、今回の話は「調整」に入った場面で「トレンドの背景が変わっていない」という前提の話です。
なので、そもそもトレンドの背景が変わる程のチャートポイントに到達している場合は、「推進→調整→推進」のリズムが変わる可能性があります。
なので、「環境認識(用語解説)」はやはり大事という話です。
また、そもそも「調整」の部分だって、時間軸を変えれば立派なトレンドだったりします。
なので、FXチャートをしっかりと「フラクタル構造(用語解説)」で認識することは、とても重要なんですね。
FXを勉強するにあたって、重要な要素というのはいくつもありますが、理解していく過程で分かりますが、どの要素も関連性があります。
それらを自然と関連付けて考察出来るようになってくると、チャート分析も明確になってくるはずです。