「新型コロナウィルス」によるマスク価格の昇降
2020年の新型コロナウィルス感染拡大に伴い、日本国内ではマスクを購入する人が急増し、生産量や輸入量が追いつかずに、マスクが品薄になりました。
マスクが品薄になると当たり前ですが、マスク自体の価格が高騰しましたね。
これは「需要と供給」のバランスに伴うことなので、自然の現象です。
マスクを買いたいと思う人が大勢いるが、提供できるマスクの量は少ない。
そうなると、マスクを買いたい側は「高くても買いたい」となりますし、マスクを売る側も「高くても売れるので、高く売る」という傾向になります。
この原理によって、マスクの価格も高騰していきました。
ただ、しばらくしてやっと生産量と輸入量が増えたのか、マスクの在庫が増えてきたようです。
そうなると、店頭に並べば瞬くまに売り切れていたマスクが、あちらこちらで売れ残っている状態になります。
すると、店側も売り切れるようにとマスクの価格を下げ始めるわけです。
そのエリアの店舗間では価格競争が起きて、マスクの価格が下がり続けます。
そういった状況を目にしたり、また情報をニュースなどで知った購入者側は、「ならば、もう少し価格が落ちたら買おうかな」と考える人も出てきます。
同じマスクなのに、「前は高くても買いたい!」から「もう少し価格が下がったら買おう」に心理が変化したわけです。
これは、「状況・背景」が変わったことによる、購入者側の心理の変化ですよね。
さて、新型コロナウィルスの影響によるこのマスク価格の昇降の話は「FX」の価格の動きと通じるものがあります。
次は、FXチャートと照らし合わせて考察してみます。
FXの価格の動きと原理は同じ
新型コロナウィルスの影響によるマスク価格の昇降を、FXチャートの概略のように考察してみます。
まずは、下の画像を見てください。
新型コロナウィルスのニュースが世間に出始めて、すぐにはマスクが品薄になったわけではありません。
ですが、連日の報道などに将来の不安を感じた人達がマスクを買い始めます。
そして、マスクを買う人が増えて需要が高まり、徐々にマスク価格が上昇し、普段のマスク価格の相場を越えてくる頃には、「上昇トレンド」であることが明確になります。
この頃になると、普段のマスク価格の相場を越えているにも関わらず、それでも「高くても買いたい」という人達がいますので、さらにマスク価格が上昇していきます。
つまり、上昇トレンドの原動力は「買いたい」という人の「心理」ということ。
これは、FXにおいても上昇トレンドで価格が上昇していく原理と根本は同じです。
価格が上昇していくと思っていて「買いポジションを持ちたい」と考える人が多ければ多い程、FXでも上昇トレンドは強くなります。
ですが、マスク価格もFXでも上昇トレンドは永久には続きません。
マスク価格でいえば、生産量が増えたり、輸入量が増えたりして、店側の在庫が増えたという「状況の変化」が起きました。
この状況の変化によって、マスク価格の上昇は止まり、また「在庫が売れ残ったら嫌だから、安くしても売り切ろう」という店が現れますし、そういった状況を見て「在庫が増えてきたのなら、もう少し価格が安くなったら買おう」という感じで「高くても買いたい」という人が減りますので、マスク価格が下落していきます。
こういった「心理」の変化は、最初は定かではありませんが、「あれ?最近、マスク1箱4000円で売られていたのが、3000円に安くなっている」という事実などから、明確になります。
これが「下降トレンドへの転換」ですね。
この下降トレンドへの転換を生んだ要因は「状況・背景の変化」です。
マスク価格の話の「店側の在庫が増えた」という状況の変化は、FXで言えば厳密には「ファンダメンタルズ要因」です。
ですが、FXチャートの小さい時間軸においては価格の動き(トレンド)が「チャートポイント」に到達したことでも相場参加者にとっては「状況・背景の変化」として「心理」に変化を及ぼします。
「このチャートポイントまでは、価格が上昇すると思っていたけど、このチャートポイントで価格が反発して下降しそうだな」という感じですね。
FXではこのような「テクニカル分析」でトレードをしているトレーダーが多く存在しますので、テクニカル要因も「背景・状況」の変化となり得ます。
ちなみに、ここまでの話でマスク価格に2回「トレンド」が発生しています。
最初は、新型コロナウィルスの発生という状況の変化によって「上昇トレンド」が発生します。
その後、「店側の在庫が増えた」という状況の変化によって「下降トレンド」に転換します。
これらは、「普段のマスク相場の上限を越えた(高値を越えた)」や「最近、1箱4000円で売られていたのに1箱3000円に安くなった(安値を割った)」という事実でトレンドが発生・転換したと判断されます。
トレンドが発生・転換したと判断する明確な事実ということですが、これはまさにダウ理論の基本原則の1つ「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」という部分ですね。
実際に、今回のマスク価格の上昇と下降は、TVニュースなどでも報道され多くの人の心理が関わった、まさに「トレンド」と言えます。
さて、マスク価格の次の展開を予測してみます。
マスク価格が下降トレンドに入ったので、「高くても買いたい」という人が減り、さらに価格は下がっていきます。
マスク価格が普段の価格まで戻ってきた時に、またマスクが買われて一時的に上昇するかもしれませんが、以前程の人気はありませんので、すぐに普段のマスク価格の相場に落ち着くのではないでしょうか。
もしくは、別のパターン。
マスク価格の下降トレンドの途中でチャートポイントに到達するという展開。
つまり、「中国からの輸入がストップ」「国内のマスク生産量の低下」などの事実が発生して、店側の在庫がまた無くなった時には、これはまた「状況の変化」ですよね。
こういった状況の変化が起きれば、再度マスク価格が上昇していく可能性は残っています。
もちろん、こんな展開になって欲しくはないですが、、、
まとめ
新型コロナウィルスの影響によって起きたマスク価格の上昇と下降。
この上昇も下降も、原動力は「人の心理」。
「高くても買いたい」「売れ残ったら嫌だから、安くしても売ろう」という、関わった人達の心理が価格を動かしているわけです。
これは、FXでも同じです。
FXの通貨ペアは「多数決の原理」で動きます。
なので、「買いたい」という人が多ければ価格は上昇しますので、やはり相場参加者の心理が価格を動かしていると言えます。
そして、この「心理」は「状況・背景」が変われば、影響を受けて変化します。
マスク価格であれば「マスクの在庫が増えた」という状況の変化によって、「売れ残るのは嫌だから安くしても売り切ろう」「マスクの在庫が増えたなら、もう少し安くなってから買えばいいや」という感じで「心理」に影響を及ぼして、価格が下がる要因になります。
FXでも小さい時間軸であれば「チャートポイントに到達した」という状況の変化によって、「このチャートポイントまでは価格が上昇すると思ったけど、ここから反発して下降しそうだから、売ろう」という感じで、やはり「心理」に影響を及ぼします。
今回のマスク価格の上昇と下降という現象は世間的にもとても大きな現象でした。
それだけに、「トレンド」とは関わっている人の心理そのものなんだなと実感できるものでもありました。
FXの価格も相場参加者の「心理」が動かしている以上、チャートを通していかに他の相場参加者の心理を想像するかどうかが重要なわけです。
FXのチャート分析の本質もやはり「相場参加者の心理を把握する」という部分にあります。
そして、FXチャートを通して精度良く他の相場参加者の声を聴く為には、「ローソク足」というテクニカル分析をメインに据えることをラプラスFXでは推奨しています。
ローソク足を推奨している理由は、上の記事に書いていますが、「相場参加者の声に耳を傾ける」という意識が大事なわけです。
FXには「他の人達が何を考えているか?」に自然と気を配れるような「空気を読める人」が向いてます。