「損確」とは
FXにおいて一時的ではなく、継続的に利益をあげるトレードをする為には「期待値の高い」トレードをする必要があります。
期待値を高める為には、様々な考え方や方法がありますが、「損確」もその1つです。
チャート分析に基づいたトレードプランの内、「ここを抜けてしまっては、期待が持てない」という価格を抜けた時に、不必要な損失を抑える為に含み益を確定させる行為が「損確」です。
まあ、いわゆる「損切り」のことですね。
資金管理の一部であり、継続的にFXトレードを続ける為に絶対必要な要素です。
トレードをする時にどの価格に損確を初期設定するか、ポジションを持った後にどのタイミングで損確を実施するかは、トレーダーのスタイルの違いにもよる所なので、絶対的な方法というのは存在しませんが、今回は基本的な考え方について紹介します。
「損確」の基本
まずは「押し目買い」の場面を見てます。(※以下、「戻り売り」についても同様です)
押し目買いとは、上昇トレンドの場面で上昇トレンドが継続する方向にポジションを取って、利益を狙う手法ですね。
簡単には、「上昇トレンド」というのは「買い注文」の方が人気が高い場面であり、価格が上昇しやすい傾向にあります。
しかし、価格は一直線に伸びていくわけではなく、「推進」と「調整」というリズムによって伸びていきます。
そして、上昇トレンドの中の「調整→推進」にリズムが変わるタイミングを狙って、買いポジションを持つのが「押し目買い」の基本的な考え方です。
さて、この押し目買いの手法のトレードプランの核(コア)になっているのは、「上昇トレンド」という背景です。
つまり、「上昇トレンドが継続するのであれば、再度価格が上昇するはず」という予測がトレードの根拠になっているんですね。
なので、逆を言うと買いポジションを持った後に「上昇トレンド」と呼べない状況になってしまったら、今回のトレードプランとしては想定外の状況であり「失敗」と言えます。
そんな失敗とも言える、想定外の状況になったにも関わらず買いポジションを持っている行為は「期待値の高い」行動とは言えませんよね?
なので、想定外の状況になったら、しっかりと次のトレードに資金を残す為に撤退をするのが「損確」なんですね。
ダウ理論ベースで判断するのであれば、上昇トレンドと呼べない状況というのは、トレンドの急所である「ダウ安値」を下抜けた時です。
この「ダウ安値」を下抜けてしまった状況というのは、やもすれば「下降トレンド」とも捉えられる状況です。
「下降トレンド」になっているのに、「買いポジション」を持っている行為というのは、期待値の高いトレードには繋がらなさそうなのは分かるかと思います。
そもそも、押し目買いというのは、この「ダウ安値」は下抜けずに上昇していくイメージが拠り所になっていますので、そのイメージが出来なくなったら、きっぱりと一度撤退するのが「資金を守る」ことになります。
「押し安値候補」に入れる判断
では、次にもう1つの損確のパターンを見てみます。
押し目買いをする時に、下降調整波の反転をある程度確認してから、買いポジションを持った時、「押し安値候補」というのが見えます。
「押し安値」というのは、上昇トレンドが継続した場合、一時的な下降である下降調整波を最終的に跳ね返した安値のことですね。
押し目買いエリアで上昇反発を確認した時点では、まだ高値を抜けたわけではないので、押し安値と確定したわけではありませんが、今出来ている安値が「押し安値」になるかもしれない「候補」というです。
この「押し安値候補」に損確を設定するのも1つの案です。
この押し安値候補に損確を設定することで、ダウ安値に設定する時よりも、
「損確幅」を狭くすることが出来ます。
損確幅を狭く出来るということは、損益率の高いトレードをしやすくなるというメリットがあります。
ですが、この押し安値候補はあくまで候補です。
なので、本格的な上昇が始まる前に、再度調整の為に下落して、押し安値候補を下抜けてしまう可能性があります。
押し安値候補を下抜けても、ダウ理論ベースでは上昇トレンドが終了と判断されるわけではないので、ダウ安値を抜ける前に本格的な押し目買い勢力が入ってきて、結局上昇再開して高値を抜けていく展開もあり得ます。
つまり、「ダウ安値」に損確を入れた方が「損益率は低くなるが、勝率は高くなる」。
そして、「押し安値候補」に損確を入れると「勝率は低くなるが、損益率は高くなる」。
ダウ安値と押し安値候補の損確における関係性はこんな感じでメリット・デメリットがあるということ。
メリット・デメリットなら、どちらに損確を設定しても同じかというと、厳密にはそうではありません。
状況によっては押し安値候補の「勝率が下がる」というデメリットを抑えることが出来るからです。
押し安値候補を使った方が良いと判断する為のポイントは「戻り深度」「チャートポイント」「形」です。
① 「戻り深度」
押し安値候補に損確を入れた方がダウ安値よりも勝率が下がってしまうのでは、基本的には「再調整」のパターンがあるからです。
この「再調整」のリスクをいかに抑えるかというのが、基本的にな考え方です。
そもそも、エントリーする時に「再調整」のリスクが低くなるまで待つという考え方とベースの部分は同じですが、今回は押し目買いで買いポジションを持つことがすでに前提であり、どこに損確を設定するのが効率的かという観点で見てみます。
そこで、「戻り深度」です。
戻り深度とは、推進波に対しての調整波がどのくらい深くまで調整に戻っているかという割合ですね。
ラプラスFXでは親波にFIBO(フィボナッチ・リトレースメント)を引いたりして、戻りの深さを判断します。
この戻り深度が浅い時に少し上昇反発することがあります。
浅いというのは、ラプラスFX的には「FIBO50%以下」という感覚です。
この戻りが浅い時の上昇反発がそのまま推進波を再開させて高値を抜けていくことももちろんありますが、確率としては高くはありません。
なので、「再調整」の展開に入る可能性が多分にありますので、「押し安値候補」に損確を入れておくと、再調整の展開に巻き込まれて損確するケースが増えてしまいます。
戻り深度が浅い時でも、多くの押し目買い勢力が入ってきて、推進波が再開していくのは、「モメンタム」が強い時です。
なので、モメンタムの強さとの兼ね合いはありますが、基本的にはFIBOで測って戻り深度が浅い時は、再調整の展開の可能性が高いことから、押し安値候補に損確を設定するのは慎重になるべきです。
逆を言うと、戻り深度が深い時に上昇再開を捉えた時などは、再調整の余地があまり残されていないことから、再調整のリスクを抑えられていると考えられるので、押し安値候補に損確を入れる為のポジティブな材料になります。
② 「チャートポイント」
次に考慮すべき要素は「チャートポイント」。
これは、その押し安値候補がしかるべきチャートポイントに支えられているという根拠・裏付けが乗っかているかという点です。
チャートポイントに支えられている押し安値候補と、そうではない押し安値候補ではやはり強さが違います。
また、すぐ下に「本命」のチャートポイントが存在する時などは、「結局そこまで到達する」といったことがよくあります。
これは、下降調整波の視点に立ってみると分かりやすいと思います。
下降調整波も時間軸レベルを変えてみれば、しっかりとした「下降トレンド」だったりします。
すると、下降トレンドも「推進→調整→推進・・・」のリズムで価格が伸びていきます(下落していく)。
そして、上位のしかるべき強いチャートポイントまでを利確目標や到達目標と考えている相場参加者が多いと、結局そのチャートポイントまで伸びることが多いんですね。
その過程で生まれる「調整」は、押し目買いを狙っている人からすると、「上昇反発」に見えますので、安易にこの反発から順調に伸びて上昇していくと考えてしまうと、下降調整波(下降トレンド)がまだ止まらずに「再調整」の展開で損確になってしまったりします。
逆に、上昇トレンドの押し目買い勢力が本格的に入ってきそうなサポート(チャートポイント)で反発して出来た押し安値候補というのは、そのまま押し安値になりやすいということですね。
下降調整波の視点から見ると、その時間軸レベルの相場参加者も「下降トレンドが伸びるのはそのサポートまでかな」と考えている人が多ければ、下降トレンドの勢いがそのチャートポイントへの到達を境に止まると考えられるからです。
なので、注目度の高いサポート(チャートポイント)での反発で出来た押し安値候補であるということは、ポジティブな「材料」なんですね。
③ 「形」
最後に考慮する材料が「形」ですね。
何の形かというと、下位レベルで見た時の上昇反発の形です。
早速、2つの画像を見てください。
どちらも、同じような上昇反発確認後の押し目買いの場面です。
2つの画像の内、上の画像は上昇反発をしていますが、下降調整波(下降トレンド)の急所であるダウ高値をまだ上抜けていないのに対して、下の画像はダウ高値を上抜けていますね。
同じ買いポジションを建てた押し目買いの状況ですが、下位レベルで見た時に、下降調整波がまだ継続中の状況と、下降調整波が転換して下位レベルでも上昇トレンドになっている状況では、大きな違いがありますよね。
もちろん、下降調整波が継続中の方が、再調整のリスクが大きいです。
なぜなら、下降調整波と言えど、下位レベルで見ればしっかりとした「下降トレンド」なわけです。
明確な転換シグナルが無い限り、下降トレンドが継続してもなんら不思議ではありません。
ですが、下降調整波の急所であるダウ高値を上抜いているのであれば、取引時間軸はそもそも上昇トレンドですので、取引時間軸・下位時間軸共に上昇トレンドで揃いましたので、そのまま上昇推進波が再開するイメージがより湧きますよね。
また、「ダブルボトム」などの形で下降調整波が反転していると、より相場参加者にも下降調整が終了したというインパクトが伝わります。
下降調整波側の視点から見ても、「ダブルボトム」のネックラインを上抜けてしまったら、なかなか売りづらいですよね。
また、押し目買いを狙っている人達も、ダブルボトムのネックラインを上抜ければ、「上昇再開するかも」と考える人が多くなりやすく、上昇推進波が本格化しやすくなります。
すると、そのダブルボトムの底の部分には戻ってこない展開が期待できますので、損確を押し安値候補に入れるポジティブな材料と捉えることが出来ます。
まとめ
FXの押し目買いを考えた時に損確は「ダウ安値」と「押し目安値候補」に入れる2つの考え方があります。
この2つの損確候補を使い分けることを考える時に考慮すべきポイントは「戻り深度」「チャートポイント」「形」の3つがあります。
戻りの深さはなるべくFIBO50%以上であり、注目度の高いチャートポイントまで引き付けている方が望ましいということです。
また、上昇反発の形も下位レベルで見た時に下降調整波の勢いがしっかり止まるように見える「形」であることが望ましいです。
それは、下降調整波のダウ高値を上抜いていたり、ダブルボトムのような「反転」のチャートパターンだったりですね。
下降調整波のダウ高値を上抜いていなくても、総合判断で押し安値候補に損確を設定したりすることもありです。
基本的には、上記3つのポイントを総合的に判断するわけですが、出来れば上記3つのポイントの内、最低でも2つは押さえた上で押し安値候補に損確を入れたいですね。
理想は、FIBO50%以上の戻りを確認して、本命のチャートポイントまで引きつけて、そこでしっかりと下位レベルで「トレンドの反転」を確認した上でエントリーして、損確を押し安値候補に設定することですね。
ですが、これは環境認識との兼ね合いもありますし、どの材料をどのくらい重視するかというのも、トレーダーによっても違います。
この考え方は、「押し目買い」の場面だけでなく、すべてのトレードプランにおいて言えることです。
重要なのは、他の相場参加者達の心理を想像してトレードプランを組むということです。
他の相場参加者の心理を想像すれば、今回の3つのポイントも自然と考えることになる点なんです。
トレードをする時は、常に色々な時間軸レベル、そして逆目線側に居る相場参加者達が何を考えているかを想像するということ癖にしたいですね。