「再調整」を避けるコツ
FXの王道のトレード手法である押し目買い・戻り売りを狙ったトレードで、よくある負けパターン「再調整」。(以下、押し目買いについて書きますが、戻り売りについても同様)
「調整」「再調整」については下の記事を読んでください。

この「再調整」の負けパターンを少しでも減らす為のコツを紹介いたします。
まず先にトレード成績が安定しないトレーダーの押し目買いの仕方を見てみましょう。
上昇トレンド中に押し目買いを狙うのはFXでは王道ともいえるトレード手法なので、この考え方自体に問題はありません。
ですが、上の画像のように、根拠が乏しい場面で少し上昇したからといって、伸びていくイメージを持って、すぐに買いエントリーを繰り返すようなトレードをしていてはトレード成績は安定しないでしょう。
では、どのような点を意識すれば、「再調整」に巻き込まれるリスクを減らせるのか?
「再調整」を避ける2つのコツを紹介します。
①「反転」を確認する
「再調整」を避けるコツの1つは「反転を確認する」ということです。
何の反転を確認するのか?
基本的には、「調整波」の反転ですね。
なので、上昇トレンド中の押し目買いを狙っているのであれば、一時的な「押し」である「下降調整波」の反転を確認するのが、「再調整」のリスクを減らすコツです。
なぜなら、上昇トレンドの目線から見ると、一時的な「押し」かもしれませんが、「下降調整波」も目線を変えれば立派なトレンドだからです。
なので、少し上昇しただけで、下降調整波が止まったと判断するには、リスクが大きい可能性があるんですね。
下降調整波も目線を変えれば「トレンド」なので、やはり明確な転換シグナルがないと、継続すると考えるのが自然です。
そこで、下降調整波の急所である「ダウ高値」を上抜くのを確認してから、エントリーすれば、下降調整波の反転を捉える可能性が高まります。
少なくとも、下降調整波がそのまま継続して損確するような負けパターンは減らせますね。
下降調整波の形によっては、ダウ高値の場所が遠くて、ダウ高値の上抜きを確認してからだと、損確幅が広がり過ぎてしまう場面などもあると思います。
その時は、その波レベルのトレードを見送ったり、損確位置を変えたり、さらに下位足を使って早目に判断したりと、さまざまな考え方がありますが、別の記事に譲るとします。
まず、考え方として知って欲しいのが、下降調整波の反転を確認したり、少なくとも反転の可能性が高まったという根拠を十分に集めてからエントリーすることで、「再調整」の負けパターンを減らせるということです。
②「引き付ける」
先に紹介した「反転を確認する」というコツですが、反転を確認した後にも、上昇トレンドの上昇推進波が伸びていく為には、まだ「敵」が残っているんです。
それが「下降調整波」を親とした「戻り売り勢力」なんです。
下降調整波も「トレンド(波)」ですので、少なからずこの波を親とした「戻り売り」を考える人達がいるんですね。
上昇推進波 押し目買い勢力 VS 下降調整波 戻り売り勢力
こんな構図です。
この戻り売り勢力を倒してこそ、初めて上昇推進波が伸びていきます。
もちろん、この戻り売り勢力と戦わずに早めに手堅く利確するという判断もありです。
ですが、押し目買い勢力が予想よりも弱いと、手堅い利確にすら届かずに失速なんてことになります。
なので、なるべくこの押し目買い勢力が強い場面でトレードをする方が期待値が高いトレードに繋がるのは分かるかと思います。
では、どんな場面だと押し目買い勢力が強まるのか?
それが、「②引き付ける」のコツと関係しているんです。
そもそも、前提条件として環境認識の基、上昇トレンドが継続する場面の話です。
上昇トレンドが継続するという見方を相場参加者の多くがしているにも関わらず、押し目買い勢力が弱くなるのは、「調整が不十分」だと判断されているからですね。
つまり、上昇トレンドであれば、押し目買いを考えていても「もう少し安くなるだろう」「もう少し安くなったら買うんだけどな」と考える人達が多いと、押し目買い勢力にも勢いが出ないんですね。
逆を考えると、「もう十分安い価格まで下がった」「もうこれ以上は安くならないから、ここから上昇し始めたら乗り遅れそう」と考える人達が多くなれば、押し目買い勢力に勢いが出るんですね。
なので、「引き付ける」というのは、相場参加者の多くが「十分安い価格まで下がった」「調整十分」と判断されるであろう、なるべく安いサポートまで引き付けるということです。
相場参加者の多くが「十分に安い」「調整十分」と判断される価格まで下がってからの上昇であれば、下降調整波の戻り売り勢力との戦いの構図になっても、上の画像のように勝利する確率が高まります。
上の画像を見て、「あれ?下降調整波の形が変わっているので、反転を判断する急所の高値の位置が違うのでは?」と思った人、センスが良いですね(上から目線ですいません笑)
その通り、下降調整波が浅いサポートとの戦いに勝利した形跡が残ったので、厳密にはこちらの高値が下降調整波のダウ高値です。
ですが、環境認識の基で上昇トレンドが継続する確率が高いという判断次第では、本命と思われる十分に安いサポートまで引き付けたのであれば、下降調整波の下位レベルの反転でも、十分に期待値の高いトレードが出来るエントリーとなりえる場面もあるということです。
そのくらい、「引き付ける」というコツは大事だったりします。
実際のチャートで確認
再調整の負けパターンを避けられる「反転を確認する」「引き付ける」というコツについて、実際のチャートでも確認してみましょう。
まずは、FX初級者がやってしまいがちなエントリーから見てみます。
上昇トレンド中なので、「買う」という戦略自体は悪くない考え方なのですが、ただ少し上昇しただけなどの、根拠が乏しい場面で買いエントリーを繰り返していると、何度も「再調整」に巻き込まれてしまい、上昇推進波の本命を捉えるのに、費用がかかり過ぎてしまいます。
上の画像の場面では合計「4回」のエントリーが必要でした。
もちろん、この後それまでの負け分をペイ出来るだけの利益を出せているのであれば、それでも構わないのですが、やはり費用はなるべく抑えたいですよね。
まずは「反転を確認する」というコツを使用してみます。
先ほどの画像と同じ場面を見てみます。
「反転を確認する」というコツを意識するだけで、上昇推進波を捉えるのに4回必要だったエントリーが2回になりました。
つまり、「再調整」に巻き込まれる2回分の負けを無くせたことになります。
これだけでも、トレード成績には大きな影響がありますね。
ですが、「引き付ける」のコツも併せて意識することで、もう少し減らすことも可能です。
上の「反転を確認する」というコツの1回目の損確になってしまっているところですが、押し目買いの親とする左の上昇推進波に対して、戻りの深さは「FIBO38.2%」に到達はしているものの、「FIBO50%」には到達していない程度の深さなんです。

簡単に言うと、今回は「調整十分」と判断出来る程の「深さ」ではなく「浅い」と判断されたということ。
もちろん、トレンドのモメンタムが強い時には戻りが浅くても「調整十分」と判断されて、推進波が再開することがあります。
その辺りは環境認識で判断出来るかもしれない要素ではありますが、「再調整」をなるべく避けるという観点から考えると、なるべく十分な深さまで引き付けた方が再調整の負けパターンを減らすことが出来ます。
ラプラスFXでは基本的には「FIBO50%以上」まで調整が進むのをしっかり待つことをお勧めしています。
「引き付ける」ことのデメリットとして、慎重になり過ぎて「トレード回数」が減ってしまうというのがありますが、まずはトレード成績を安定させることの方が先決ですね。
先ほどの画像と同じ場面を「引き付ける」のコツも踏まえて見てみます。
上の画像の場面であれば、「反転を確認する」と「引き付ける」のコツを併せて意識することで、1回のエントリーで上昇推進波の再開を捉えられたと思います。
今回の「再調整」を避けるコツというのは、言い換えると「トレードの期待値を高める根拠」だったりします。
「買う」ことを考えているのであれば、下位ポジションを建てた後に、価格が上昇するということを裏付ける情報・根拠が揃っている方が望ましいですよね。
価格が上昇することを裏付ける根拠を確認するというのは、多数決の優勢側であることを確認するようなものです。
また、反対勢力との戦いという構図になっても、援軍が増えやすい「状況」でもあります。
これは、FXのどんなトレード手法にも共通する考え方だったりします。
なので、押し目買いの場面でも「反転を確認する」「引き付ける」という根拠を増やした状態になるまで、しっかり「待つこと」がトレードの期待値を高めることになります。

しかし、根拠を増やそうと待ち過ぎてしまうと、タイミングを逸してしまうだけでなく、損益率的に有利なトレード環境とは言えなくなってしまうのも、また事実なんですね。
なので、チャートの環境にあわせて、毎回絶妙な所を探るのがトレーダーの腕の見せ所だったりします。
ですが、トレード成績の安定しない方は、「しっかり待てない」傾向にありますので、まずは「反転を確認する」「引き付ける」というコツを1つずつでも構わないので意識することで、トレード成績が安定してくると思います。
まとめ
FXの王道のトレード手法である押し目買い・戻り売りを狙ったトレードで、よくある負けパターン「再調整」。
「再調整」を避けるコツは「反転を確認する」と「引き付ける」。
反転を確認せずに、ちょっとした上昇で押し目買いしていくのは、まだ「反撃の狼煙」が上がっていないにも関わらず、一人で大勢の敵に向かっていくような感覚です。
上昇トレンドの取引時間レベルから見ると、一時的な押しに過ぎない下降調整波も下位からすると立派なトレンドだったりします。
なので、下降調整波のダウ高値を抜いて「反撃の狼煙」が上がったのを確認してからエントリーすると、不用意に下降調整波に巻き込まれる事故が減るはずです。
また「反撃の狼煙」が上がったにも関わらず、予想以上に「押し目買い軍」が集まらないケースでも「再調整」に巻き込まれます。
このケースは、押し目買いを考えてはいるけど、「反撃の狼煙」に対して、「もう少し下がるのでは?」「まだ調整不十分」と考える相場参加者が多いことが要因の1つです。
なので、親の上昇推進波に対してFIBO50%以上深いところや、本命のサポートまで引き付けてからの「反撃の狼煙」には、多くの相場参加者が賛同して駆けつけて、押し目買い勢力の勢いが強くなります。
もちろん、FIBO50%の深さに戻っていなくても、推進波が再開するケースは多々ありますし、「調整」は縦(価格)の調整だけでなく、横(時間)の調整でも、十分と判断されて推進波が再開するケースもあります。
そのような場面も、将来的にはトレード出来るようになるのが理想ですが、トレード成績が安定しない方は、まずは根拠が十分揃ったと判断出来る状況まで「しっかり待つ」ことから始めると良いと思います。
押し目かい・戻り売りに関わらず、FXのどんなトレード手法も基本的にはどのくらいの「根拠」でトレードの期待値が高まったと判断するかが鍵だったりします。
そして、FXには判断が易しい場面もあれば、判断が難しい場面もあります。
なので、判断が易しい場面まで「しっかり待つ」ことがトレード成績を安定させるコツだったりします。
もちろん、トレーダーによって「判断が易しい」とする場面が違うのですが、これを見つけたり、判断出来るようになることがトレードの技術なんです。
それには正しい「知識」を基に、正しい「努力」をして、「知識」を「技術」に昇華させる必要があります。
その道は地味だし、一見遠回りに見えたりしますが、実は近道だったりします。