「水平線」で環境認識 ①
FXのチャート分析をするにあたり一番オススメしているテクニカル分析が「ローソク足」です。
そして、「水平線」はそのローソク足による分析の「補助線」なんです。
なので、「ローソク足による分析」も「水平線による分析」もラプラスFX的にはほとんど同じようなことを指している感覚です。(もちろん厳密には違いますが、、、)
今回は、水平線を基本とした「環境認識」の話ですが、前段として下の記事の話を知っている前提ですので、読んでみてください。
さて、早速下の画像を見てください。
「1分足」のチャートです。
緑色レベルの波において、左側からの上昇トレンドのダウ安値となる水平線を下抜けて、ダウ理論ベースでは下降トレンドに転換したとも捉えられる場面。
その下降推進波を親波として、「戻り売り」を狙うトレードプランについての考察です。
エントリー手法などについては今回は置いておいて、「環境認識」という点でこのトレードプランを評価してみます。
そして、下降推進波がダウ安値の水平線を下抜けたことによって出来た「ダウ高値」の水平線の評価に注目してみます。
この戻り売りが成功する為には、上昇調整波が「ダウ高値」の水平線を上抜ける前に下降推進波が発生して、下に伸びていく展開でないといけませんね。
上昇調整波がそのまま上に伸びていき、ダウ高値の水平線を上抜けてしまえば、基本的には損確するべき展開です。
なので、上位時間軸において、この「ダウ高値」が「どういった高値なのか?」を分析して評価するのが環境認識の中でも重要な点になってきます。
早速、上位時間軸のチャートで環境認識をしてみます。
「M5」のチャートで見てみると、トレードプランを考えている場面の上位の環境はこのような状況です。
まず、上位レベルだとダウ安値をまだ下抜けておらず、上昇調整波が継続中のように見えるということ。
そして、さらに上位(上上位)の戻り売りが入ってきた場面であり、取引時間軸に出来たダウ高値の水平線は、上上位の「戻り高値候補」の水平線であるということですね。
なので、上上位においての戻り売り勢力によって出来た、取引時間軸の下降推進波が本格化して波及していき、戻り高値候補が戻り高値となるような展開が期待できるかどうかというのが重要なポイントなわけです。
構図としては
取引「下降」 & 上上位「下降」 VS 上位「上昇」
という感じ。取引時間軸に対して上位時間軸はトレンドが逆らっています。
ですが、取引時間軸側には、上上位時間軸の戻り売り勢力という味方がいるので、この味方の援護によって、上位を倒せるかという考え方ですね。
要は、この上上位の戻り売り勢力の援護が強いのかどうか?これは、上上位の戻り高値候補が本当に上上位時間軸レベルの人達にとって、「有力な候補」なのか?という評価をするべきということです。
この戻り高値候補が有力な候補であれば、上上位時間軸の戻り売り勢力が本格的に入ってくることが期待できます。
そこで、先に上で紹介した記事にも書きました3つのポイント「戻り深度」「チャートポイント」「形」で評価してみます。
まず親波に対しての戻り深度は「FIBO50%」に到達していないので、「浅い」という評価。
上の画像からは分からない要素で申し訳ありませんが、さらに上位のチャートで見ても注目度の高いチャートポイントに当たっているわけでもありません。
また、上昇調整波のダウ安値を割ったり、ダブルトップを形成しているわけでもなく、この時点では上昇調整波の「反転」を期待できる波の形でもないです。
以上の点から、「戻り高値候補」が本命であるという見方は難しく、戻り高値候補の水平線を上抜けてしまっても不思議ではないというのが、環境認識です。
つまり、上上位の援護はあまり期待できないということ。
それなのに、上位のトレンドと逆らった場面で戻り売りをするのは、期待値の高いトレードプランと言えるのでしょうか?
実際にチャートを進めて、先の展開を見てみましょう。
やはり、上上位からの戻り売り援護が弱く、上位の上昇調整波(上昇トレンド)を倒す程の売り勢力が集まりませんでした。
上昇調整波の上位レベルの急所のサポートゾーンを下抜けることが出来ずにサポートされてしまい、結局そのまま再度上昇していき、ダウ高値(取引)・戻り高値候補(上上位)を上抜ける展開でした。
途中で、微益や微損で撤退できていればいいですが、ダウ高値までホールドしていれば、ダウ高値抜けで損確せざるを得ない状況ですね。
なので、今回のトレードプランについて、水平線を基本として環境認識した場合の大きなポイントは、
①上位のトレンドに逆らっている
②上位のトレンドに逆らっているが、上上位の援護もあまり期待できない
というものです。
なので、単純に考えてもあまりこのトレードプランの環境は良くないという言えますよね。
取引時間軸・下位時間軸でのエントリー手法や決済テクニック次第では、微益が出せたりしているかもしれませんが、こういう環境化でトレードを続けるのは「期待値の高い」トレードに繋がっているとは言えないですね。
「水平線」での環境認識 ②
さて、先ほどの場面をもう少し進めてみます。
取引時間軸のトレードプランの大枠は先ほどと同じですね。
左側の上昇トレンドの急所であるダウ安値の水平線を下抜いた下降推進波を親波とした「戻り売り」を狙ったトレードプランです。
なので、環境認識でも同じように、この下降推進波の頭である「ダウ高値」が上位にとってどのような高値なのか?という点に注目してみます。
「M15」のチャートです。
まず、戻り深度はFIBO61.8%以上なので、十分深いと言えます。
また、注目度の高いレジスタンスとFIBO61.8%が重なるようなところで、上ヒゲをつけて反発下降しているので、まずまず強いチャートポイントに支えられていると言えます。
M15のチャートで見ても、上昇調整波のダウ安値の位置は変わらず、やはり上昇調整波のトレンド転換を確認できる波の形になっています。
ダウ理論ベースでは、取引時間軸も上位時間軸も「下降トレンド」でトレンドもそろっています。
厳密には、上昇調整波を親波とした押し目買い勢力が敵対勢力として残っています。
取引「下降」 & 上位「下降」 VS 上昇調整波に対する押し目買い勢力「上昇」
「戻り深度」「チャートポイント」「形」の3つのポイントもほぼほぼ抑えており、トレンドに関しても上位に沿っている環境ということですね。
さて、先の展開を見てみます。
売りエントリー後は、上位の戻り売り勢力の力もあり、下降推進波が本格化してきました。
上昇調整波を親波とした押し目買い勢力がサポートゾーンから入ってきて、抵抗にあいますが、再度戻り売り勢力が入ってきて安値まで到達しました。
エントリー方法などには今回は触れていませんが、少なくともダウ高値(取引)・戻り高値候補(上位)を上抜けずに下に伸びていきましたので、「戻り売り」を狙ったトレードは基本的には上手くいっていると考えられますね。
今回のトレードプランについて、水平線を基本として環境認識した場合の大きなポイントは、
①「戻り深度」「チャートポイント」「形」において良い環境
②上位のトレンドにも沿っている
という環境でした。
トレードプランだけ見ると、先ほどと同じような「戻り売り」ですが、水平線を基本とした環境認識をしてみると、全然環境が違いますよね。
今回の話は、水平線・ダウ理論ベースでの環境認識の一部ではありますが、これだけでも期待値の高いトレードをする為のポイントがつかめるのではないかと思います。
まとめ
今回は、水平線を基本とした環境認識の話。
他の記事にも書いた、損確を設定する際に「戻り深度」「チャートポイント」「形」の3つに注目すると効率の良い損確を設定できるという話が「環境認識」にも適用できるということです。
FXチャートはフラクタル構造になってますので、各時間軸での波の動きが互いに影響を及ぼしあっています。
なので、マルチタイムフレーム分析をする必要があります。
ですが、時間軸が違うというだけで、どの時間軸レベルのチャートでも分析する時の考え方のベースは同じです。
それが取引時間軸であれば「トレードプラン」になりますし、上位時間軸であれば「環境認識」になりますし、下位時間時であれば「タイミング」という呼び方になるだけで、チャート分析の基本は同じです。
もちろん、「トレードプラン」「環境認識」「タイミング」で考える要素は厳密には違ってくる部分はありますが、チャート分析ということに違いはありません。
水平線を基本に考えるというのは、「ローソク足」の分析を重視してチャート分析をするということです。
チャート分析の基本はやはり、「トレンド(波の流れ)」と「チャートポイント(波止場)」の把握と分析です。
分析の過程でポイントになるとこりにある価格に「水平線」を補助線として引いておくんですね。
なので水平線を引くのも、まず「分析」ありきということ。
自分の考えや分析なく、ただただ水平線を色々引いてしまうと、「チャート分析したつもり」の水平線だらけのチャートになってしまいます。
そういう人は、「水平線を引いたけど、この後どうするの?」という感じになってしまいがちですね。
自分は何をしたいのか?をしっかり整理をしながら、水平線を引いたりチャート分析を進めることは、精度の高い分析にも繋がりますし、トレード技術の向上にもつながります。