FXで長い時間軸の方が強い『理由』を理解すれば、トレードの考え方が分かってくる

アイキャッチ画像トレード手法

「長い時間軸」の方が強い理由

FXでは環境認識(用語解説)が重要であることは、このサイトのみならず、多くの人が伝えていることですよね。

「環境認識」とは、簡単には「上位時間軸のチャートを確認すること」です。

では、なぜ「上位時間軸」のチャートを確認することが、期待値の高いトレードに繋がるのか?という話を、今回は少し違う視点でお届けしようかなと思います。

まず、「環境認識」の目的に、自分が取引時間軸で立てようとしているトレードプラン(用語解説)が、上位時間軸のチャートにおいて、どのような状況にあるのかを把握するというのがあります。

状況を把握する目的は色々ありますが、そもそも「なぜ、上位時間軸を気にするか?」というと、「長い時間軸の方が強い」というのが大きな理由の1つなんですね。

まず、FXの通貨ペアの価格は「多数決の原理」で動きます。

「買い注文の人気が売り注文の人気より大きければ、価格は上昇する」といった感じですね。

FXの価格を動かす4つの力とは
FXの価格を動かしているのは、4つの力。FXの価格を動かしている力を知ることで、価格の動向を予測する精度も上がります。「相場参加者の心理を読む」という意識はやっぱり大事だということ。

そして、その注文の人気の偏りが、価格の動きである「波(トレンド)」を作ります。

その波1つ1つが「相場参加者の心理」の表れであり、「意思・声」と言えます。

上昇トレンドは「価格が上昇するだろう」という相場参加者の意見の方が多いということです。

ですが、ここでFXが難しいのが、通貨ペアにおいて「価格」は1つであるにもかかわらず、複数の時間軸のチャートが存在することから、時間軸ごとに「トレンド」が存在するということなんですね。

そして、この違う時間軸レベルの「トレンド」が戦うことがあるんですね。

理由1

上の画像のように、下位時間軸では「下降トレンド」、上位時間軸では「上昇トレンド」ということが、FXのチャートではしばしば発生します。

そして、多くの場合が上の画像のように、短い時間軸が長い時間軸に負ける形で、トレンドが反転してしまうんですね。

さて、なぜ長い時間軸の方が強いのか?

これは、先ほど説明した「価格」を動かす原理がヒントになっていたんですね。

おさらいです。

価格は、「多数決の原理」で動きます。

なので、価格の流れであるトレンドは「相場参加者の意思」なわけです。

ではここで、「1分足」のローソク足1本と、「日足」のローソク足1本では、どちらの方が集まっている注文の数が多いでしょうか。

簡単ですね、「日足」が1本形成される間に集まっている注文の数の方が、圧倒的に多いですよね。

それは、つまり「多数決」に参加している人数が多いということです。

それだけ、たくさんの投票を集めて決めた結果には、比例して「信頼度」が高くなりますよね。

だから、長い時間軸の方が強いんです。

例えば、「ドル円はこれから上昇するか?下降するか?」という多数決を3人で取った場合に、「2人が上昇するという意見で多かったですよ」という情報があったとします。

もう1つ、「ドル円はこれから上昇するか?下降するか?」という同じ多数決を100人で取った場合に、「80人が下降するという意見で多かったですよ」という情報があったとします。

さて、どちらの情報を信じますか?

この情報だけを基にトレードをしなくてはいけないのであれば、ほとんどの人が100人の多数決の結果の方に乗っかりますよね?

これが、長い時間軸の方が強いという、原理の根幹です。

分母が多い情報の方が、信頼度は高くなり、人を引き付けます。

「より多くの人達はこう言ってますよー」って感じです。

価格が多数決の原理で動く以上、「数は力」です。

ですが、実は根本のイメージを掴んで欲しい為に、今の例えには重要なファクターをあえて省いていたんです。

それが「時間」「背景」です。

「時間」と「背景」

3人の多数決の結果を得るには「短い時間」しかかかりませんが、100人の多数決の結果を得るには「長い時間」が必要なんですね。

ここで、「短い時間」の多数決の結果と「長い時間」の多数決の結果の関係性がつかめるようなモデル図を紹介します。

FX長い時間軸が強い理由2

 

上の画像において、左側の小さなローソク足は「短い時間軸」のローソク足ですね。

なので、そのローソク足に含まれている相場参加者の意見の数も少なくなります。

そして、「短い時間軸」のローソク足が複数集まって、「長い時間軸」のローソク足が作られますので、長い時間軸のローソク足に含まれる相場参加者の意見の数は多くなります。

長い時間軸のローソク足は、短い時間軸のローソク足に含まれる相場参加者の意見の「集合」なわけです。

ここで「集合」としての結果だけ見れば、長い時間軸において「上昇」という意見が多いという信頼度の高い情報となります。

さて、ここで「時間」「背景」の話です。

上の画像では、「集合」としては「上昇」という結果になっていますが、最後の「短い時間軸」の多数決では「下降」という結果になっているのが、少し気になりませんか?

「時間」の経過という概念が無ければ、単純に「少ない分母を切り取った際に発生した確率論から発生するブレ」と判断できるかもしれませんが、実は「多数決」を取るにあたっての「背景」が変わっていたんですね

もう一度、下の画像を見てください。

理由3

先程の画像には無かった「レジスタンス」が1本描かれるだけで、少し違って見えてきますよね。

レジスタンスに到達する前の多数決と、レジスタンスに到達した後の多数決は、同じ「短い時間」の多数決だとしても、「背景」が違います。

質問している内容は同じ多数決かもしれなけいけど、「背景が違う」状態での多数決なので、本来は「結果」を同じようには扱えないですよね?

例えば、世論調査で1月から11月までの間、毎月の与党支持率が「70%」だったとします。

しかし、11月末に「与党」のもの凄い不祥事が発覚して、12月の与党支持率が「10%」まで低下したとします。

それでも、その年全体としての平均の与党支持率は「65%」です。高い支持率だったと言えますね。

どうですか?違和感を感じませんか。

さて、この結果を基にして、前年が高い支持率だったので、次の年も与党は高い支持率を得られるだろうと予測することは、精度の高い予測と呼べるでしょうか?

本来であれば、1月から11月までのデータと、12月のデータを分けて考えるべきですよね。

なぜなら、「背景」が変わっているから。

そして、これはFXでも同じです。

また、「ドル円がこれから上昇するか?下降するか?」の多数決の例で考えてみます。

1時間の期間を設けて、100人に投票してもらいました。

結果は、「80人」が「下降する」という意見でした。

前出の例と同じですね。

前出の時は、この多数決の結果を基にトレードするのであれば、たいていの人が「売り」を選択するだろうという話でした。

今回は、「時間」「背景」が明らかにされます。

実は、この投票の締め切り10分前にドル円に関する「ある情報」が発表されてたらしいんです。

そして、この情報が発表されてから締め切りまでの間に投票した「10人」の内「9人」が「上昇する」に投票していたということだったんです。

どうですか?

「100人」の結果として見れば「80人」が「下降する」という意見は信頼度があり、乗っかりたくなります。

ですが、「ある情報」が発表されてからの最後の「10人」の投票の内、「9人」が「上昇する」に投票していたとしたら、、、

ちょっと、悩みませんか?

というか、多数決の「背景」を変えてしまった「ある情報」が気になりませんか?

そうなんです、この「ある情報」というのが、先程の画像でいえば「レジスタンスに到達した」という情報なんですね。

さて、もっと正確に分析したい人にとっては、このレジスタンスはいったいどんなレジスタンスなのか?ということが気になりますよね。

はい、繋がりました。だから、上位時間軸のチャートを確認するんですね

視野を広げて、上位時間軸のチャートまで確認することで、到達したレジスタンスが「少し押しが入る」だけの強さのレジスタンスなのか、「取引時間軸の波を反転させる」だけの強さのレジスタンスなのか、これを確認したいから、上位時間軸のチャートを確認するんですね。(※上位を確認する理由はもちろんこれだけではありません)

理由4

もちろん、上位時間軸を確認する理由はこれだけではありませんし、チャートポイントの強さも「可能性」の域は出ません。

ですが、その「可能性」を把握して、トレードをするのとしないのでは、チャート分析の精度には差が出るんですね。

簡単にまとめると、長い時間軸は「情報を構成する分母の大きさ」から「信頼度」が高い。

短い時間軸は「情報を構成する時間が短い」から「鮮度」が高い。

つまり、「背景」が変わらない限りは、基本的には長い時間軸の情報が短い時間軸の情報よりも信頼度が高い、つまり「長い時間軸の方が強い」ということ。

しかし、「背景」が変わった場合、より早く反映させている短い時間軸の情報の方が鮮度が高いので、結果として「短い時間軸の情報の方が正しかった」、ということになる可能性があるということ。

でも、これは「短い時間軸の方が強かった」というよりも、実は「背景」を変えた要因である「より長い時間軸」の力をバックにつけた「短い時間軸 + より長い時間軸」「長い時間軸」を倒したという図式だったりします。

理由5

上の画像のようなケースを想定する為にも、「さらに上位時間軸のチャートを確認する」必要があるんですね。

もちろん、到達したレジスタンスが弱いと判断される場合には、そのまま上位時間軸が下位時間軸を倒す形で、レジスタンスを上抜いていくイメージになりますよね。

すべては予測や可能性の域を出ませんから、自分の予測を裏付ける「確認」をどのくらいするのかという点も、効率の良いトレードをする為には重要なポイントなんです。

その為には、下位時間軸の情報の鮮度の高さが役に立ったりしますが、どのくらいの「確認」をもって決断するかは、トレーダーの腕の見せ所だったりします。

まとめ

FXの通貨ペアの価格は、「多数決の原理」で動きます。

なので、価格の流れであるトレンドは「相場参加者の意思」なわけです。

より長い時間軸の情報の方がより多くの相場参加者の「意見・声」を集めているので、「信頼度」が高いと言えます。

ですが、より多くの情報を時間をかけてまとめているので、より短い時間軸の方が情報の「鮮度」は高いと言えます。

特に、「背景」が変わる場面では、長い時間軸の情報をそのまま信頼してよいのか?短い時間軸の情報の鮮度をより重視するのか?は、「背景」を詳細に知る必要がありますね

なので、この「背景」を詳細に分析する為に、さらに上位の時間軸のチャートを確認する、つまり「環境認識」が重要になってくるんです。

また、効率の良いトレードをする為には、時にはより早い判断を求められます。

その為に、鮮度の高い情報を知る為に、下位の時間軸のチャートを確認したりします。

このように、取引時間軸のチャートだけではなく、上位や下位の時間軸を確認するマルチタイムフレーム分析(用語解説)が、期待値の高いトレードをする為には重要だということが分かるかと思います。

「背景」が変わる場面は頻繁に訪れます。

ほんの少しの影響なのか、大きな影響なのか、を判断するには複数の時間軸のチャートを統合的に分析する必要があるので、やはり「経験」が必要です。

「知識」を基に、こういった「判断」をより精度よく出来るようになる為に、デモトレードを繰り返すなどの「努力」という過程を経て、「トレード技術」と呼べる領域まで昇華させることが重要だと、改めて書かせていただきます。

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