FXの「アービトラージ」をおすすめしない「4つ」の理由

アイキャッチ画像トレード手法

「アービトラージ」とは

アービトラージ」とは「裁定取引」「サヤ取り」なんて呼ばれている取引方法の一種です。

同一の価値を持つ金融商品が複数存在する場合、一時的に価値に歪みが生じた際に、割高になっている金融商品を売り、割安になっている金融商品を買うことによって、価値の歪みが解消された時に、反対取引を行うことによって、利益獲得を狙う取引方法です。

様々な金融市場で行われているアービトラージですが、基本的にはFXではメジャーな取引方法ではありません。

そもそも、本来の意味であるアービトラージをすることは、FX業者間による提示レートの誤差を突くような取引になるので、規約上で禁止されていることが多いです。

ただし、本来の意味のアービトラージではありませんが、「スワップアービトラージ」と呼ばれる取引方法があります。

日本において、FXのアービトラージと言えば、おそらくこのスワップアービトラージを指すことが多いかと思います。

FXの取引は、2か国間の通貨をペアで取引するものなので、各国の政策金利の状況などにより、「金利差」が生じます。

昨今の日本は「超低金利政策」を実施中なので、基本的に「日本円(JPY)」を売って、日本よりも金利の高い他国の通貨を買うポジションを取ると、金利差を調整する分として、FX業者が定めたスワップポイントがLot数に応じて、例えば「1Lotあたり、1日10円」という風にもらえたりします。

基本的に、スワップポイントはポジションを日を跨ぐにように保持していた場合にのみ付与されます。

そして、このスワップポイントは逆に「金利差」が発生している場合、つまり「日本(JPY)」を買って、日本円よりも金利が高い他国の通貨を売るようなポジションを取っている場合は、逆にFX口座から引かれてしまいます。

アービトラージ1

さて、例えば米ドル円などの買いポジションを日をまたいで保有すると、確かにスワップポイントが手に入るかもしれませんが、それよりも為替変動分の方が大きかったりします。

「8円」のスワップポイントの利益があっても、「-100円」の為替損があれば、1日トータルで全然マイナスですよね。

そこで、為替変動分のリスクを無くす為に、「両建て」という考えが出てきます。

米ドル円のポジションを同じLot数だけ「買いポジション」も「売りポジション」も持つということです。

これなら、価格がどちらに変動しても、両方のポジションの損益を合計すれば、為替変動分では利益も出ませんが、損も出ません。

しかし、同じFX業者で両建てしても、基本的にはスワップポイントも合計すると、マイナスになってしまいます。

そこで、スワップアービトラージの考えです。

別々のFX業者の「買いスワップ(A社)」「売りスワップ(B社)」を組み合わせてスワップポイントが合計でプラスになるように両建てでポジションを保有するという取引方法なんですね。

 

アービトラージ2

上の画像のように、スワップポイントというのは、同じ通貨ペアでもFX業者によっても違うんですね。

例えば、とある通貨ペアのスワップポイントの各FX業者の状況が上の画像の通りであれば、買いスワップポイントはC社が有利な状況で、売りスワップはD社が有利な状況です。

C社で買いポジションを100Lot建てて、D社で売りポジションを同じく100Lot建てれば、スワップポイントが合計すると「(10円-6円)×100Lot=400円」になりますので、1日あたり400円の利益を手にする計算になります。

両建てしているので、価格がどちらに変動しても、為替差損は出ない計算になりますので、スワップポイントの合計がプラスであれば、スワップポイント分が日を跨ぐごとに増えていくはずですね。

さて、これがFXのスワップアービトラージという取引方法です。

ですが、個人的にはこのスワップアービトラージをあまりおすすめしていません。

次は、スワップアービトラージをおすすめしない理由を紹介します。

スワップアービトラージを実施することを考えている人も、ぜひデメリットやリスクをしっかり把握しておきましょう。

アービトラージをおすすめしない理由

理由① スワップポイントは変動する

FXでスワップアービトラージをするにあたって、把握しておかないといけないリスクとして「スワップポイントは変動する」というものがあります。

どのタイミングでどのくらい変動するのかは、FX業者によります。

ですが、当初は「買いスワップ」と「売りスワップ」の合計がプラスになるはずだったのに、スワップポイントが変動してしまったことによって、合計がマイナスになれば、利益を得るどころか損失が増えていくだけになります。

これでは、スワップアービトラージで利益を得ることはできません。

なので、FXでスワップアービトラージを実施する時は、常にFX業者のスワップポイントの変動に意識を払わないといけません。

 

理由② スプレッドがかかる

理由①「スワップポイントが変動する」でこう思った人はいませんかね?

スワップポイントが変動するのではれば、常に複数のFX業者のスワップポイントを調査して、一番有利な状況になるように、ポジションを持てばよいのでは?

これが現実的には難しいんですね。

というのも、FXではポジションを建てるのに「スプレッド」がかかるのが基本です。

例えば、米ドル円のスプレッドが0.3銭だとした時、1万通貨のポジションを建てるだけで「30円」かかります。100Lot建てたするなら「3000円」かかるわけです。

そして、FXのスワップアービトラージは両建てするわけなので、2倍かかりますので、6000円かかります。

上記のスワップ合計が1日「400円」の利益だとしても、15日かかる計算になります。

上記の計算のまま、順調に行って、15日以降からやっとスワップポイントで利益が出始めるわけです。

なので、そんなにコロコロとFX業者を変えてスワップアービトラージを仕掛け直すわけにはいかないんですね。

 

理由③ 価格急変時のリスク

FXのスワップアービトラージでは、スワップポイントの合計が多くないと、あまり意味がありませんので、必然的にマイナーな通貨ペアを使うことになると思います。

また、スワップポイント自体は小さいので、利益を増やそうとするなら、建てるポジションも多くしないといけません。

すると、低レバレッジに抑えて両建てするには、必要な証拠金がかなり必要になります。

証拠金を少なくして、かつLot数を上げようとすると価格変動に対するリスクに弱くなります。

マイナーな通貨ペアは突然の大きな価格変動などがあります。

そいういった時に、強制ロスカットされてしまうと、為替変動のリスクを抑えるプランが崩れてしまい、多大な損失が発生する可能性があります。

 

理由④ 取引技術とは呼べない

スワップアービトラージを個人的におすすめしない最後の理由は、そもそもスワップアービトラージという取引方法は、FXの取引としては異質過ぎるという点。

このスワップアービトラージを続けていて、FX業界の変化により、スワップアービトラージが出来ない環境になってしまったとして、ほとんど何も「取引技術」といえるものが自分に残りません。

個人的にはスワップアービトラージに時間を費やすくらいなら、テクニカル分析を勉強して、「為替差益」で利益をあげられる「技術」を身につけた方が有益かなと思います。

FXのトレードで通用する取引技術の多くは、他の金融商品でも通用するはずです。

FXのトレードが出来ない環境になるようなことは、おそらく無いとは思いますが、万が一の時にも自分に「トレード技術」が残る分、テクニカル分析による「為替差益」を狙う方が、後々のことを考えても個人的にはおすすめです。

まとめ

FXにおける「アービトラージ」についての解説でした。

スワップアービトラージには、スワップポイント変動や価格急変のリスクがあるということ。

そして、スワップアービトラージが出来ない環境になってしまった時に、およそ「トレード技術」というものは自分には残らないということ。

もちろん、FXのスワップアービトラージを実行しても、絶対に利益をあげられないというつもりはありません。

ですが、スワップアービトラージを実行する時は、十分に上記のようなリスクに注意を払う必要があります。

また、せっかくFXに注目したのであれば、おそらく生涯にわたって収益を上げられる技術であろう「トレード技術」を手に入れる方が個人的にはおすすめということ。

ですが、ここで注意なのは、「トレード技術」をおすすめするものの、簡単に手に入るものではありません。

「技術」と呼んでいる通り、「知識」という性質のものではないからです。

「知識」ももちろん重要ですが、その「知識」を「技術」に昇華させるのにやはり「努力」は必要です。

この必要な努力の量に個人差はありますが、そもそも努力をする覚悟のない人には、FXで為替差益を狙ってトレードをする道はおすすめしません。

「ギャンブル」にはなっても、「トレード」にはならないからですね。

一時的に利益をあげることはギャンブル取引でも可能ですが、いつかは資産が減りだします。

継続的に利益をあげ続ける為には、論理的に考えることが必要であり、期待値の高いトレードを積み重ねる必要があります。

論理的に考えるのは得意だな

なんだ努力をすればいいだけじゃん

って思った人は、FXに向いてると思います。

そんな方には、スワップアービトラージよりも、ぜひテクニカル分析の勉強をおすすめします。

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