FXチャート分析における「波レベル」
FXのチャート分析の基本は「トレンド(波)」と「チャートポイント(波止場)」の把握です。
そして、これらは時間軸レベルごとに存在する為に、期待値の高いトレードをする為には取引時間軸レベルだけでなく、上位時間軸レベルや下位時間軸レベルでもチェックをする必要があるんですね。
ここで話題となる「レベル」の話ですが、簡単に説明すると「波の大きさの規模」のことです。
「波」とは「高値・安値」の間の「価格の動き」のことです。
なので「波の大きさ」はチャートポイントの基本となる「高値・安値の大きさ」と比例してきます。
つまり、高値・安値を大雑把に認識すればする程、波も大きくなりますし、高値・安値を細かく認識すればする程、波も小さくなります。
さて、「時間軸レベル」という言葉としては、「時間軸が大きいチャートであればある程、認識する波レベルが大きくなり、時間軸が小さいチャートであればある程、認識する波レベルが小さくなる」という背景があります。
当たり前なことですが、同じトレーダーが確認する場合、「4時間足チャート」で認識する波レベルよりも「1時間足チャート」で認識する波レベルは小さくなります。
ここで、チャート分析をする時に意識するべき波レベルですが、ポイントが2つあります。
② 「フラクタル構造」を意識する
次は、この2つのポイントに対して詳しく見ていきます。
「波」の見方はトレーダーの自由
まず下の画像を見てください。
『EURUSD』の4時間足のチャートですが、みなさんはこのチャートを見てどのようなレベル感で「波」を認識しますか?
一度、上の画像を見て、波(※つまり高値・安値)を認識してみてください。
・・・
・・・
・・・
おそらく、このようなレベル感で認識した方もいると思います。
あるいは、もっと細かいレベル感で見た方もいるかもしれません。
あるいは、もっと大雑把なレベル感で見た方もいるかもしれません。
このくらい大きな波レベルで認識したということは、上の画像のような「高値・
安値」感でチャートを捉えたということです。
さて、どのくらいの波レベルが「正解」だったのでしょうか??
これは、どれも「正解」なんです。
というよりも、FXチャートで分析する時に「どの波をどの時間軸のチャートで確認するか」という違いなので、トレーダーの自由なわけです。
例えば、上の画像の4時間足のチャートで赤矢印の上昇波を確認するトレーダーもいると思います。
もし、4時間足のチャートでは、もっと細かい波レベルで認識しているトレーダーであれば、日足のチャートなど上位時間軸に上げた時に、上の画像と同じように1波で認識されます。
また、4時間足のチャートでは、大きな波の一部分に過ぎず波として認識されないトレーダーの場合は、1時間足などの下位時間軸に下げた時に、1波として認識出来るはずですね。
どの時間軸のチャートで、どの波を確認するかの違いなので、自分がチャート分析しやすいようにチャートを見ればよいわけです。
まあ、言わずもがなではありますが、あまりに大雑把に見たり、あまりに細かく見てしまうと、チャート分析がしずらいので、そのように波認識をするトレーダーはいないと思います。
さて、どの波レベルでチャートを見るかは自由であることを説明させていただきましたが、もう1つ意識したいポイントが「フラクタル構造」です。
「フラクタル構造」を意識する
「フラクタル構造」という言葉の説明は、下に紹介する記事を読んでみてください。
ここで意識して欲しいのは、「波の入れ子構造」についてです。
下の画像を見てください。
例えば、4時間足チャートにおいて、上の画像のような上昇を1波として認識するトレーダーの場合、この上昇波の反転を捉えたいなどの意図がある時、この上昇波の詳細が確認したいわけです。
その時に、この4時間足でも上昇波の詳細がうっすらとは見えますが、やはり下位時間軸のチャートの方が見やすそうだぞとなりますよね。
上の画像の上昇波のエリア(青い枠)の部分を1時間足に落としてみます。
1時間足に落としたことで、少し下位レベルの波が見えてきました。
もちろん、この1時間足のチャートでも下位レベルを確認出来そうですが、先程の4時間足のチャートで1波を認識していたトレーダーとしては、若干細かく見てしまっていそうですね。
なので、30分足まで落としてみます。
先程の4時間足チャートのレベル感と同じようなレベル感で下位レベルの波を捉えられている感じですね。
下位レベルを確認することで、上昇波のダブルトップのネックラインをしっかり確認することが出来て、このネックラインがトレンドの反転のキーであると他の相場参加者が判断したことが結果からも分かります。
さて、「4時間足→1時間足→30分足」とチャートの時間軸を落としたわけですが、波レベルを2つ下げたわけではないんですね。
波レベルというのは波の大きさの規模のことであり、フラクタル構造においては「波の入れ子構造」の段階レベルに該当します。
なので、1つの波を次に複数の波に分解できるレベルに達した時に波レベルが1段階下位に落としたことになりますが、それはチャートの時間軸をどこまで落としたかにはリンクしないということです。
1つの波は、複数の小さい波で構成されている。
これが、確認出来る次の波レベルに進んだ時に「1つ下位レベル、1つ上位レベル」という考え方ですね。
これは、対象とする波やトレーダーの波の見方によりますので、「4時間足で確認した波に対して1時間足で確認した波が必ず1段階下位レベル」とは限らないということですね。
そもそも、チャートシステムにもよると思いますが、時間足の刻み方は一定ではないですよね。
「5分足→15分足」は3倍、「1時間足→4時間足」は4倍、「1分足→5分足」は5倍、「4時間足→日足」は6倍。
ですが、約5倍くらいの時間軸スケールの変化で1段階次の波レベルが捉えやすくなることが多いので、目安にしてもらえればと思います。
もちろん、時間軸3倍のスケール変更で下位レベルの波をはっきりと確認出来るのであれば、それで良いということです。
重要なのは、どの時間軸のチャートなのかではなく「フラクタル構造」を意識して波を認識出来ているか?なんですね。
下位レベルを確認しやすいように時間軸変更した時に、たまたま今回は下位レベルがその時間軸だったという感じです。
まとめ
FXのチャート分析の基本は「トレンド(波)」と「チャートポイント(波止場)」の把握です。
この時に「波レベル」という考え方はマルチタイムフレーム分析をする上で重要になってきます。
FXチャートを確認する際に、どのような波レベルで認識するかはトレーダーの自由です。
ですが、重要なのは「フラクタル構造」を意識出来ているかです。
「4時間足」で確認した波の下位レベルを見る為には必ず「1時間足」に落として確認するのではなく、フラクタル構造を意識して、見やすい時間軸まで落とせばよいということ。
「1時間足」が見やすい時もあれば、「30分足」が見やすい時もあるでしょう。
フラクタル構造を意識出来ていないと、1段階下位レベルの波を分析しているつもりが、2段階下位レベルの波を分析しているなんてことも発生してしまいます。
この時、2段階下位レベルの波が反転しても、1段階下位レベルの波が波が反転しないかもしれないというリスクに気づいていないかもしれませんね。
チャート分析では、「自分は何を分析したいのか?何を分析しているのか?」をしっかり意識することが大事です。
なので、そこで自分が分析したいことと、実際に分析していることに齟齬があってはいけないですよね。
そうならない為にも「フラクタル構造」を意識して波を認識することは重要です。
また、フラクタル構造を意識してチャートを見ることによって、自然とマルチタイムフレーム分析の必要性に気が付きますし、それが期待値の高いトレードに繋がります。