「伸ばす」「伸ばさない」は人によって違う
FXトレードにおいて「永遠の課題」なんて言われることもある「利確」に関しての話です。
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」
は、かの有名なシェイクスピアの悲劇「ハムレット」に登場する名台詞。(※誤訳ではないかという話もあるが置いておきます)
FXでいうなら「伸ばすべきか、伸ばさないべきか、それが問題だ」という感じですね。
利確に関して、手堅く利食っておくか、ホールドして伸ばすのか、悩む場面が多いですよね。
これは、FXの世界に身を置くほとんどの人間が直面している課題だとは思います。
さて、そもそも何を基準にして「伸ばす」「伸ばさない」という判断をしているのでしょうか?
そうなんです、特にこれと決められた基準なんて無いんですよね。
なので、自分が「手堅く利食った」トレードを「伸ばしたね~」と思う人がいれば、自分では「だいぶ伸ばした」と思ったトレードを「手堅く利食ったね」と思う人が居るということです。
まず、この話をする時に重要な前提条件として「伸ばす」「伸ばさない」という基準は自分だけのモノであるということ。
なので、この利確を伸ばす、伸ばさない問題の話をするうえで、勝手に1つ基準を作りたいと思います。
トレードの損益率が「1付近以内」に収まる利確を「伸ばさない・手堅い」利確として、損益率が「1以上」になる利確を「伸ばす」と定義します。
まずは「手堅い」利確がおすすめ
さて、ここでトレード成績がまだ安定していない人向けの話です。
しっかり環境認識をしていれば、基本的には「伸びる」ことが期待できる場面でトレードをしているとは思います。
ですが、トレード成績が安定するまでは、あえて損益率が「1付近以内」に収まるようなところに利確を設定してトレードをしていくことをおすすめします。
損益率が極端に小さくなるのは数学的にも厳しいので、おおよその目安として「0.8~1.2」という幅に収めるイメージです。
これは、数学的にも損益率を抑えることで潜在的に勝率が高まることが期待でき、勝ち癖をつけることが出来るからです。
もちろん、上位レベルのチャート分析の予測も精度が高ければ、利確した後に伸びてしまってもったいなかったなという場面もあるとは思います。
ですが、思いのほか伸びずに手堅く利確しておいた良かったという風に助られる場面もあると思います。
トレード成績が安定していない内は、どちらかというと後者の助けられる場面が多いのかなと思います。
また、損益率型のトレードをしていくよりも、勝率型のトレードをしていくことで、「勝つ」という経験を安定して積み重ねることが出来るので、自分が習得したいトレードをブレずにやりとげ易くなります。
損益率型のトレードだと、どうしても連敗が増えたりします。
そうすると、負けを取り返そうとトレード判断がブレてしまい、期待値が高まっていないトレードをしてしまったり、、、
すると、ブレていなければそのトレードの考え方で問題無かったのに、このトレードの考え方自体が間違っているのでは??と迷子になったりしてしまう原因にもなりかねません。
なので、トレード成績が安定していない内は、なるべく「勝率型」のトレードを心掛けることが、安定して成長するコツだったりします。
ここで、1つ勘違いして欲しくないのが損益率が「1付近」のトレードを心掛けるというのは、損益率が「1付近」の利確しか狙えないような難しいトレードをすることではありません。
しっかり環境認識をして「損小利大」のトレードが期待できるような場面を選んで、あえて「勝率型」のトレードをするということです。
損益率が「3」「4」と期待できるようなトレンドフォローのトレードプランを組めそうなんですけど、あえて「1付近」に損益率を抑えることで、潜在的に勝率を高めるのが狙いなんです。
「伸ばした方が良かった」という経験
さて、トレード成績が安定してくる頃にはこういう思いが自然と湧いてくる場面が多いと思います。
「やっぱり、伸ばした方が良かったな~」
こういう感覚が増えてきたら、そろそろ損益率を「1付近」に縛ったトレードを解禁しても良い頃かもしれません。
ですが、ここで要注意です。
人の性格にも寄りますが、中には自分に都合の悪いことはあまり記憶に残らず、都合の良いことばかり記憶してしまう人がいます。
「失敗」は忘れて「成功」だけを覚えているような性格の人で、タイプとしては「自信過剰」な傾向がある人です。
ある意味羨ましい、才能ともいえる性格ではありますが「FX」においては、少し注意が必要です。
「伸ばした方が良かった」ことが本当に多かったのか?
これを数学的に裏付けるデータがあれば、感覚ではなくて論理的に判断が出来ますよね?
なので、損益率を「1付近」に縛ったトレードをしている時から「仮想利確」のデータを取っておきます。
「仮想利確」のデータというのは、「実際」に利確したトレードデータとは別に、「もし手堅く利確せずに伸ばしていたなら」という仮想の利確に基づくトレードデータです。
トレードをしている時に事前に「チャート分析的に伸ばすなら、ここまで伸ばせそう」という「仮想利確ライン」を決めておきます。
実際の利確が終わった後も、チャートをフォローして「仮想利確」に届いたのか、届かなかったのか?仮想利確まで到達したなら、仮想利確によって損益率はいくつ増えていたのか?などのデータを収集します。
これらのデータを数学的に分析することによって、「自分が伸ばした方が良い」と感じた時の信頼度を論理的に導くことが出来ます。
上記で集めたデータを数学的に分析して、「伸ばした」場合と「伸ばさなかった」場合のトレード成績があまり変わらないのであれば、それは「伸ばした方が良い」という分析がまだあまり当てにならないことを意味しています。
「伸ばした」場合の方がデータ上成績が良くなるのであれば、「伸ばした方が良い」という感覚をデータが裏付けていることになりますので、チャート分析を信じて利確を伸ばすトレードを増やしていくことで、トレード成績を向上させることが出来るかもしれません。
「仮想利確」のデータ取得に関しては「仮想利確の場合の損益率・勝率」が最低限分かれば良いと思いますが、細かく考えれば「消極決済」や下位レベルの判断を交えたりと様々な決済バリエーションがありますよね。
チャートポイントに到達した際に「積極的」に決済する方法とは違い、「安値・高値を抜けてしまったから決済」という感じに「消極的」に決済する方法だってあるわけです。
例えば、上位や上上位まで強い上昇トレンドが出ているので、基本的に取引時間軸レベルのダウ安値に損確を移しながらホールドするなんていう消極決済を選択していた時にどんどん波及して大きく伸びたりすることもありえますよね。
なので、積極決済に限らず「手堅く利確せずに状況に応じて伸ばしていたら、ここで利確していた」という風にデータの取り方には自分なりに応用を効かせることが出来ます。
重要なポイントは、「損益率1付近」を狙った勝率型のトレードから、「伸ばす」トレードを組み込んでいく力が自分にはあるのかどうかを「データ」を持って冷静に判断するということです。
まとめ
FXの利確に関する「伸ばすべきかどうか」という問題について、1つの解決方法の話。
まずは「損益率1付近」に収める「勝率型」のトレードを基本として、仮にチャート分析を基に伸ばした場合はトレード成績はどうなっていたのか?を「仮想利確」としてデータを取得しておき数学的に分析することで、論理的に判断をするという方法です。
伸ばした場合の利確の仕方には様々な方法があると思いますので、自分の利確方法にあわせてデータのとり方は応用を効かせることで、そのデータを基に「自分の伸ばす力」を客観的に捉えることで「伸ばすべきかどうか」問題に1つの答えが出せるかもしれません。
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」
「ハムレット」を読んだことはないのですが、ハムレットはこの問題にどのような答えを出したのか、少しだけ興味が出てきました。
「伸ばすべきか、伸ばさないべきか、それが問題だ」
FXトレードを考える上でのヒントにはならないような気はしますが、、、暇があったら読んでみようかなと。
暇があったら。