FXのチャートパターンから学ぶ「本質」【ダブルボトム編#2】

アイキャッチ画像トレード手法

ダブルボトムを買い目線で見る

「反転」のサインとされる「ダブルボトム」のチャートパターンは有名ですよね。

他の記事で「ダブルボトム」が形成される過程を、主に「売り目線」側の視点から見ることで、チャートパターンに潜む本質を学び、「形」だけでなく「本質」まで理解した方がトレードにより良く活かせることを説明させていただきました。

今回、同じ「ダブルボトム」のチャートパターンですが、「サポートから買う側」の目線からも見ることで、また違ったものが見えてきます。

さっそく、見てみましょう。

ダブルボトム1

下降トレンドの波がサポートに到達した場面。

サポートが相場参加者に十分に注目されており、サポートでの反発を想定した「買い注文」が多く集まり、買い注文の量が売り注文の量を上回ると、価格が上昇して反発していきます。

このサポートからの反発というビジョンを相場参加者のかなり多くが共有しており、下降トレンドを一気に反転させていく場合は、「V字」を描いて反転していくパターンですね。

ですが、そこまでの一気の展開になる程にはサポートからの買いの反発が強くはない場合、それまでの下降トレンド継続派のトレーダーによる「戻り売り」が入ってきます。

ダブルボトム2

下降トレンド継続派にとっては、サポートからの反発はあくまで一時的な「調整」であるというイメージなんですね。

FX用語解説「エリオット波動」
ラプラスFXの用語解説。「エリオット波動」について説明。有名なテクニカル分析ですが、波の数え方や、波動の型よりも、「推進と調整」「第3波」「フラクタル構造」という本質をトレードの考え方に取り入れたい。

なので、また下降が再開したら、下降トレンドの波に乗って、ぐいぐい下に伸びていくというイメージなので、その波に乗りたい、逃したくないというトレーダーが「レジスタンス」などから戻り売りで入ってきます。

それらの売り注文の量がまた買い注文の量を上回ると再度、下降していきます。

戻り売りで下降してきた波が再度サポートに到達した場面が下の画像。

 

ダブルボトム3

前回も反発上昇している実績があるサポートであり、再度反発上昇することを期待値した買い注文が集まり、売り注文の量を上回ると、反発上昇していきます。

このサポートに初回反発した時には買えなかったトレーダーの中にも、前回の反発上昇した実績からこのサポートの存在を確認して、それこそダブルボトムの形になるのをイメージして買うトレーダーもいます。

このサポートが弱く、下降トレンドの勢いの方が強かった場合は、サポートでの買い注文が集まらず、サポートを下抜けていく形になり下降トレンド継続が明らかな展開になりますね。

さて、上の画像の時点では「下降トレンド継続派」にとっても、「サポートから反転上昇派」にとっても、ある意味「順調」と言える絵なんですよね。

下降トレンド継続派にとって、再度サポートで反発しても、一時的な調整に見えているだろうし、サポートから反転上昇派にとっては、再度サポートで反発して、このサポートが注目されていることが再度証明された場面。

ある意味、下降トレンド継続派とサポートから反転上昇派の戦いが拮抗しているんですね。

そして、この拮抗が崩れるのが次の場面。

サポートからの買いの上昇が戻り高値を上抜けてしまった時、つまり「ダブルボトム」が完成した場面ですね。

ダブルボトム4

他の記事にも書きましたが、戻り売り勢力が再度サポートに到達することによって、「ネックライン」が出来上がっていたというのがポイントだったんですね。

この下降トレンド継続派の急所となっているネックラインを上抜けることで、下降トレンド継続が強く否定されることになります。

そして、この時に形として「ダブルボトム」になっているので、「反転」のサインとされるんですね。

他の記事にも書きましたが、「反転」のサインとなる本質は「形」ではなく、その形が形成される過程で下降トレンド継続派の急所が出来上がり、そのネックラインを上抜くことで、下降トレンドの継続が否定されるという部分にあります。

なので、ダブルボトムという形だけでなく、その本質にも目を向けることで、トレードにより効率的に活かせるようになります。

どのタイミングで買うか?

さて、他の記事で「下降トレンド継続派」の目線に主に注目した時は、どのようなストーリーがあって、下降トレンド継続派の多くが諦める展開になるのかというダブルボトムの「反転」の本質に触れました。

今回は、ダブルボトム形成時に「サポートから反転上昇派」のトレーダー達はどのようなタイミングで買いに入ってくるのかに、より注目してみようと思います。

ダブルボトムが形成される過程で買いに入るタイミングはもちろん色々ありますが、大きく分けて3つです。

ダブルボトム5

まず赤丸①のタイミングですね。

サポートに初回到達時に買いで入る人達が最初の反発を作ります。

もちろん、この買いにはそれまでの下降トレンドに乗っている人達の利確も含まれます。

また、同じ赤丸①でも細かいタイミングや判断の仕方もトレーダーによって違います。

サポート到達前に見切りで買う、サポート到達と同時に買う、サポートでヒゲになってから買う、下位に落として最低限の反転を確認してから買う、と色々あります。

ただし、それらすべてサポート①の初回の反発から乗るという大きなイメージは同じですね。

赤丸①のタイミングで買うメリットとしては、「V字」で反発していくような展開になっても取れるという点ですね。

デメリットは、このサポートが本当に相場参加者から注目されているのか?という実績が乏しいことですね。

また、下降トレンドが強ければ、戻り売りが入り、再度下降してくるという展開も予想されますよね。

赤丸①で買う人は、「このサポートは注目されているか?」「戻り売りが入ってくる」という不安はありつつも、このサポートからの反転上昇の展開に自信を持っているので、V字の展開も逃さずに積極的に買いにいく人だと言えますね。

次に、赤丸②のタイミングですね。

戻り売りにより下降してきて、再度サポートに到達するタイミング。

赤丸①により、自分がサポートだと思っていたチャートポイントがしっかり他の相場参加者にも注目されて機能したという実績が出来上がっているのが赤丸①と違う点ですよね。

また、戻り売りでの到達後なので、反発上昇後にまた戻り売りがあっても、次の戻り売りは少なくとも1つ下のレベルの戻り売り勢力と言えます。

ダブルボトム6

また、赤丸②での反発が始まれば、チャート上に有名なダブルボトムの絵が見えてくるので、反転の展開が期待できるとも言えます。

デメリットとしては、赤丸①でV字のパターンで反転していった場合や、戻り売りの勢力が微妙に弱くて、サポートまで届かずにそこから再度上昇して反転していってしまうパターンでは、エントリー出来ずにトレード機会を失うことになります。

また、赤丸②まで待ったとはいえ、まだネックラインを割っていないので、下降トレンド継続派をまだ倒したわけではないということ。

最後に、赤丸③のタイミング。

ネックラインを割って、ダウ理論的には下降トレンドの崩壊が確定するタイミングです。

赤丸①②と違い、下降トレンドの急所であるネックラインを割ってダブルボトムが完成したタイミングなので、下降トレンド継続派の多くを倒した後、より慎重なエントリーと言えます。

ただし、デメリットとしては、反転の確認をした代償としてサポートからはかなり離れてしまっているので、損確幅が大きくなりがちだということですね。(※損確の設定の仕方次第ではありますが、、、)

今回の3つのエントリーすべてが「同じサポートからの反転上昇」を根拠としたトレードとするならば、サポートを下抜けてしまってはシナリオ外になるので、サポート抜けで損確をするべきですよね。

同じサポートに損確を設定するのであれば、赤丸①②と比べて、赤丸③がエントリーした時に損確幅が大きくなりがちなのが分かりますね。

また、損確幅がダブルボトムの大きさに影響を受けるので、場合によっては初期想定の損益率が割りにあわず、トレードを見送るということもあり得ます。

また、損確の位置は下位の時間軸を使うことで、もっとタイト(狭く)に設定することも出来ますが、その場合は損確の強度が下がるというデメリットになります。

ダブルボトム7

以上3つのタイミング以外にも、もちろん買うタイミングはありますが、大別するとダブルボトムが出来る過程では上記3つの狙いのどれかにはなると思います。

そして、その3つのタイミングそれぞれにメリットとデメリットが存在するということなんですね。

つまり、「同じサポートからの反転上昇」というイメージでも、トレーダーごとのスタイルの違いや好みによって買うタイミングが変わってくるんです。

色々なタイミングで入ってくる買い勢力と下降トレンド継続派の勢力が戦う展開が段階的に進んで、最後には「ネックライン vs サポート」という図式になり、ネックラインを上抜き買い勢力側が勝利することで、ダブルボトムという「形」が結果として完成するんですね。

ダブルボトムというのは、あくまでトレンドが転換する時に起きる攻防の1つの抽象的な「形」であるということ。

でも、本当に目を向けたいのは、

なぜそういう形になることが多いのか?

どういった勢力がどのような思惑で入ってくるのか?

なぜトレンドの「転換」のサインとなり得るのか?などの点です。

「ダブルボトム」というチャートパターンという知識について、「ダブルボトムの形が出来上がったら反転」という認識と使い方だけでは、もったいないということ。

ダブルボトムの形成におけるストーリー展開や「反転」の本質まで理解することで、チャートの見え方が変わるはずです。

時によってダブルボトムの二番底(※サポート2回目)から狙って買いに入ったり、ダブルボトムのネックラインを割ったけど飛び込まずに様子を見たりということが出来るようになると思います。

まとめ

トレンドの「反転」のサインとされる「ダブルボトム」のチャートパターン。

今回は、「買い目線」側の視点からもダブルボトムが出来上がる過程を見ることで、よりダブルボトムというチャートパターンの本質が見えてきたと思います。

サポートに対して色々なタイミングで入ってくる買い勢力と、下降トレンド継続派の攻防の形が「ダブルボトム」であるということ。

下降トレンドがサポートに到着した時に、「V字」のような一気の展開でトレンドが反転することも、もちろんあります。

ですが、多くの場合、トレンドが転換する前には、買い側と売り側の攻防があって、その決着がついた時にトレンドが転換していきます。

その攻防の「形」の1つが「ダブルボトム」というわけですが、そのダブルボトムが形成される過程で、売り側と買い側の両方の思惑を想定出来ることになることが「本質」を捉えるということです。

FXの価格は多数決の原理で動きます。

なので、なるべく多数決の優勢側につくことが期待値の高いトレードをするコツになります。

その為には、両陣営の思惑を想像しながら、チャート分析をすることが大事になってくることが分かると思います。

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