「エリオット波動」とは
「エリオット波動」とは、ラルフ・N・エリオットという人物が提唱したテクニカル分析(用語解説)です。
本来、株式投資に対しての分析方法ですが、有名なテクニカル分析なので、FX相場においても世界中で使用されています。
「エリオット波動」という単語を聞いたことがある人や、なんとなく知っている人は、結構多いかと思いますが、エリオット波動の詳細を正確に理解している人はほとんどいません。
有名な部分だと、
「1波→2波→3波→4波→5波で上昇して、A波→B波→C波で下降する」
この周期の大小が組み合わさって、相場は出来上がっている。
おそらく、エリオット波動を知っているという人も、この辺りですよね。
実は、エリオット波動の詳細には、正確な波の数え方のルールだったり、「I波動」「P波動」「Y波動」などの波動の型だったり、「ランニングコレクション」「イレギュラーフラット」などの調整の型だったりと、色々あるんです。
しかし、ラプラスFXでは「エリオット波動」の細かい所は置いておきます。
大事なのは、「エリオット波動の本質」の部分を、トレードに活かせるかどうかなんです。
というわけで、エリオット波動の本質の「推進と調整」「第3波」「フラクタル構造」の部分に焦点を当てていきます。
この3つはすべて、FXトレードにおいて継続的に利益をあげる為に、とても重要なポイントです。
「推進」と「調整」
まずは、エリオット波動で一番有名な部分を見て見ましょう。
このように、「1波→2波→3波→4波→5波で上昇して、A波→B波→C波で下降する」の周期を基本として、相場が出来上がっているというのが、エリオット波動の理論のベースの部分ですね。
ここで、「波の数」は一度置いておきます。
大事なのは、「推進」と「調整」という考え方です。
(※エリオット波動理論において、正確には「修正」かもしれませんが、「修正」という言葉よりも、「調整」という言葉の方がしっくりくるので、ラプラスFXでは「調整」という呼び方を採用してます。)
波は上昇トレンドであっても、一直線に価格が上昇していくのではなく、「推進」と「調整」を繰り返しながら波は進んでいくという考え方ですね。
では、なぜ「推進」と「調整」を繰り返すのか?そもそも「調整」って何?って感じですよね。
まずは、下の画像を見てください。
多数決の原理で、「価格は上昇していく」という意見が優勢になることで、価格は上昇していきます。
しかし、相場には色々なトレーダーが参加しています。
見ている時間軸が違ければ、値動きに対しての考え方、トレードの仕方も違います。
なので、上の画像のように、価格がある程度動くことで、またその動きに対しても、様々な思惑が発生します。
始めは、「価格が上昇していく」派が多数派だったので、価格が上昇していきましたが、途中で多数派から降りる人達(利確する人達)が現れるんですね。
また、この途中で多数派から降りる人達の動きを予測したり、乗っかるように、新規で売ろうという人達も現れます。
これらの勢力が大きくなって、元の「価格が上昇していく」派を上回ることによって、今度は価格が下降することになります。
この動きが「調整」です。
この動きを「調整」と呼ぶのは、あくまで「一時的に価格は下降してはいるが、この後も価格は上昇していくという見方が本筋」という背景があることが前提です。
なぜ、「調整」の動きが発生したかというと、そこには価格がある程度動いたことで、「十分伸びた」「伸びしろはもうない」という考え方があるんですね。
なので、もう一度価格が推進していく為には、この伸びしろを作る為に「調整」が必要なんですね。
この「伸びしろを作る」というのが、「調整」の本質だと言えます。
さながら、高くジャンプする為に、膝を折ってグっと沈みこむような動きのようですね。
「結局、価格は上昇していく」という流れが本筋であるなら、また「伸びしろ」が出来れば、「買い注文」が集まり、また多数決のバランスが変わって、上昇が再開するはずですよね。
この「伸びしろが出来た」と相場参加者の多くが認識して、多数決のバランスが反転して、上昇が再開する場面を、「調整が完了した」と呼んでいます。(※もちろん、下降トレンドでは「下降が再開」という感じで同様です)
そして、本来は少数派である勢力が一時的に大きくなっているだけの「調整波」よりも、本来の多数派である「推進波」の方が、注文が集まりやすい。
なので、「推進波」は「調整波」に比べて勢いが出やすいんですね。
上位の環境において、トレンドが継続するという前提条件があれば、
・推進波が調整波よりも伸びやすい
・調整が完了した後に、推進波が発生する
この点を意識して、トレードプランを組み立てたいですね。
「第3波」
エリオット波動を知っている人の中には、「第3波が一番伸びるから、第3波を狙う」っていう説明を聞いたことがあると思います。
エリオット波動理論の波の数え方のルールの中に、「第3波が推進1波・3波・5波の中で一番短くならない」というルールがありますので、これに基づいた説明だと思うのですが、、、
大事なのは、「なぜ第3波が一番伸びやすいのか?」ですよね。
波を数えて、「1波、2波、だから、次の3波を狙う」という感じでは、本質を捉えていないんですよね。
第3波が一番伸びやすいとされているのは、「トレンドが発生したと認識された後、最初の推進波だから」なんですね。
下の2枚の画像を見てください。
この画像と、同じような場面の画像がこちら。
違いが分かりますでしょうか?
画像のような波の数え方だと、伸びる第3波の場所が違いますよね。
先の画像だと、左側の下降トレンドのダウ高値をしっかり第1波で抜いているので、下降トレンドが崩壊しています。第3波で高値を更新した時には、上昇トレンドが確定しています。
後の画像だと、第1波ではまだダウ高値を抜いておらず、第3波の始点のあたりでは、まだ下降トレンドの状態です。第3波が高値を抜いて、初めて下降トレンドの崩壊が確定します。
先の画像の第3波と同じ条件になるのは、後の画像では第5波の所になります。
そもそも、後の画像の波の数え方は、エリオット波動理論の正確な波の数え方ではないと思いますが、なんとなく波を数えて、「1、2、ここが第3波だ」なんて、エントリーしていると、本質から外れてしまっている可能性があるんです。
エリオット波動理論の推進1波・3波・5波を言葉で説明すると、こんな感じです。
推進1波 本当にトレンドになるか不明な時期から勝負に出る「先発隊」
推進3波 トレンドが確定してから、追随してくる「本隊」
推進5波 トレンドがだいぶ伸びた後に、遅れてやってくる「遅刻隊」
推進1波をトレードで取ろうとすると、まだ直前の反対トレンドが継続してしまうリスクがありますね。
推進5波には、エントリーしたけれど、もう燃料切れで全然伸びずにすぐに反転してしまうなんてリスクがありますよね。
こう見ると、推進3波がどれだけ美味しいのかが分かります。
相場の格言に「頭と尻尾はくれてやれ」というのがありますが、まさに「1波」と「5波」には手を出すなということなんですね。
ラプラスFXとして、トレードの考え方に組み込んで欲しいのは、「波を数えて第3波を取る」という事ではなくて、もっと本質を捉えて欲しいんです。
「トレンドの発生を確認してから、素早くトレンドフォローをする」
こんな感じですね。
実際のチャートを見れば、分かりますが、実際の価格の波は、上の画像の概略図のように綺麗ではありません。
なので、波の数え方だって、そもそも人によって違ってくるところではありますが、第3波の本質を捉えようとする意識があれば、自分が乗った波が伸びることが多くなってくるはずです。
「フラクタル構造」
さて、エリオット波動理論から吸収したい3つの要素の最後は「フラクタル構造」です。
エリオット波動理論のベースに、「1波→2波→3波→4波→5波で上昇して、A波→B波→C波で下降する」というのがありますよね。
これは、大きく捉えれば、「1波→2波→3波→4波→5波」という1つの大きな推進波であり、「A波→B波→C波」は1つの大きな調整波である、とも見えますよね。
また、推進1波自体だって、細かく見れば、「1波→2波→3波→4波→5波」で出来上がっているとも見れるわけです。
小さな波が組み合わさって、大きな波のように見えるわけで、またその波ですら、さらに大きな波の一部の波でしかないってことです。
このような構造を、「フラクタル構造(用語解説)」と言います。
実際のチャートは、このように綺麗なフラクタル構造になってはいないものの、「大きな波は小さな波に分解できる」という構造は、たしかに存在しています。
「小さな波の組み合わせで大きな波が作られている」という認識でも、もちろん構いませんが、このフラクタル構造を意識して、チャート分析をすることは、とても重要なポイントです。
「フラクタル構造」の解説は、以下のページでもう少し詳しく解説しているので、そちらに譲るとします。
FX相場のチャートがフラクタル構造になっていることから、マルチタイムフレーム分析(用語解説)が重要になってきます。
FX初級者の人は、まずはチャートをフラクタル構造に捉えて、見ることが出来るようになることが先決ですね。
まとめ
「エリオット波動」は、有名なテクニカル分析ですが、波の数え方や波動の型よりも、「推進と調整」「第3波」「フラクタル構造」という本質的な部分を、トレードの考え方に取り入れることをラプラスFXでは推奨しています。
この3つの要素は、FXトレードで継続的に利益をあげる為には、どれも欠かすことの出来ない重要なポイントです。