「ワイルダーの定義」をトレードに活用
「ワイルダーの定義」について、過去2回に渡り深堀してみました。
現代のFX相場でもその考え方の本質は十分通用しそうだと分かっていただけたかと思います。
「ワイルダーの定義」を実際にチャート分析に活用している人も多くいると思いますが、今回はFXトレードにどのように活用できるかという点について書きたいと思います。
まず、おさらいですが、ワイルダーの定義とはJ.W.ワイルダーさんが「上昇相場」「下降相場」について定義したものです。
つまり、「トレンド」ですね。
逆を言うと、ワイルダーの定義を満たさなくなった時は、「トレンドの終了」とみなすことが出来そうですよね。
あくまで「トレンドの終了」なので、「トレンドの転換」と完全にイコールなわけではありません。
ですが、この辺りはダウ理論ベースでも同様の考え方です。
ダウ理論ベースでもダウ安値・ダウ高値を抜けたからといって、トレンド転換というわけではないですからね。
ただし、「材料」とは捉えられますし、環境的にその後上昇波・下降波が発生するのでは?と期待が持てる場面であれば、トレンドの発生を予測することにもつながります。
少し、まとめますと「ワイルダーの定義」の考え方を用いることによって、「トレンドの終了≒トレンドの転換」と捉えられる場面において、トレードに活用出来るのではないかということです。
具体的に「押し目買い」の場面を実際のFXチャートで確認してみます。
M15レベルで上昇トレンド中に「押し目買い」が狙えた場面ですね。
だいたい上の画像の青色枠あたりで押し目買いの買いエントリーが出来たかなと思いますが、「ワイルダーの定義」を活用すると、どのタイミングで買いエントリー出来たでしょうか?
少し上の画像を見て考えてみましょう。
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はい、では下の画像を見てください。
FIBO61.8%に届いた大きな陰線の後、この陰線の幅の中で横の展開になってますね。
つまり、はらみ足(インサイドバー)になっているわけです。
このはらみ足を上抜けて終値をつけた陽線のタイミングでワイルダーの定義が崩れているとみることができます。
つまり、この陽線の終値が確定したタイミングで買いエントリーというのが、ワイルダーの定義を活用して考えられる押し目買いエントリーのタイミングですね。
前の記事にも書きましたが、青枠の中でもワイルダーの定義が崩れている足がありますので、その小さな材料を根拠に買いエントリーすることも出来なくはないですが、「小さな材料」であることを理解しておきましょう。
さて、もう1つ例を見てみます。
上の画像は、先ほどの続きの場面で、やはり押し目買いが狙えた場面ですね。
押し目買いエントリーをするなら、青色枠の中辺りだと思いますが、ワイルダーの定義を活用するなら、どのタイミングで押し目買いエントリーできるか、また考えてみましょう。
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では、見てみます。
上の画像で示した陽線が直前のはらみ足を上抜けて終値をつけていますので、このタイミングでワイルダーの定義が崩れたと判断して、押し目買いエントリーすることが出来そうですね。
ちなみに、この陽線は下位レベルのダウ高値も同時に上抜けているので、ダウ理論ベースでも同じタイミングでの買いエントリーの案はありそうですね。
一応、下位レベルでも見ておきます。
下降調整波の下位レベル(青色)のダウ高値を同時に上抜いているのが分かりますね。
なので、この陽線が確定した時には、ワイルダーの定義が崩れているのと同時に、ダウ理論ベースでも下位レベルで下降トレンド(下降調整波)の終了を捉えているわけですね。
「サイズ感」に注意
さて、ワイルダーの定義を押し目買い・戻り売りのエントリータイミングに使うという例を紹介しましたが、少し注意点があります。
それが「サイズ感」ですね。
先ほど紹介した押し目買いの例の2パターン目と同じ場面を今度はM1レベルで見てみます。
同じようにワイルダーの定義を活用して押し目買いのエントリーを考えてみると、FIBO50%まで引き付けた後だけで考えても、上の画像の青〇印の分だけワイルダーの定義が崩れているポイントがあるんですね。
ざっ目についた分だけ印をつけたので、もっとあると思いますが、もしも愚直にすべてのタイミングで買いエントリーをしていたら、ちょっと厳しいだろうな、、、というのが分かると思います。
つまり、分析する「サイズ感」を小さくし過ぎた為に、「本当に小さな買い材料」を拾ってしまってるわけですね。
この本当に小さな買い材料は、取引対象であるM15レベルの上昇トレンドの再開を捉えるには、小さ過ぎたと言えます。
さて、もう1枚見てください。
今度は、同じ押し目買いの場面をH4レベルで見た場合です。
はらみ足を終値を上抜けて確定したタイミングでワイルダーの定義が崩れたと判断すると、押し目買いのエントリータイミングとしては、やはり遅い感じがしますね。
そもそも、上位レベル(H4レベル)なので、上位レベルの小さな材料でも取引時間軸レベル(M15レベル)では十分な材料であると考慮するなら、はらみ足の中でワイルダーの定義が崩れている場面がありますので、ここを押し目買いエントリーの候補とすることも出来そうです。
ですが、やはりM15レベルでワイルダーの定義を活用して判断したタイミングと比べると遅いタイミングになっていることが分かると思います。
この通り、分析するサイズ感が小さすぎると、過剰に材料を拾ってしまい、タイミングが早過ぎますし、サイズ感が大きすぎるとタイミングが遅すぎてしまうという感じですね。
ですが、デジタル的にこのサイズ感が良いとすることは出来ませんので、ずれるとするならサイズ感は大きい方にずれた方が良いです。
チャートの形次第ですが、上位足で判断してもタイミングが遅すぎないこともありますし、何より上位足も味方に付いているというメリットが大きいからですね。
ただし、環境次第では下位レベルの小さな材料で積極的に仕掛けたいという場合もあると思いますので、サイズ感が小さいことが絶対悪というわけでもありません。
小さい材料を根拠にして、コストを小さくして仕掛けるということは損益率型になることをしっかり理解していれば大丈夫です。
まとめ
「ワイルダーの定義」をFXトレードに活用する具体例を紹介しました。
今回は、押し目買いの場面におけるエントリータイミングについての活用でしたが、もちろん戻り売りでも同様です。
また、エントリータイミングだけでなく、環境認識にも活用できますよね。
「サイズ感」の話も重要です。
チャート分析全体に言えることですが、「そもそも自分は何を分析したいのか?」を見失わないように要注意です。
ただルールをチャートに当てはめて機械的に判断しようとすると、上手くいきません。
上記のサイズ感の話で言うなら、本来は「下降調整波(下降トレンド)の終了」に関する材料を判断したいはずなのに、サイズ感を小さくしすぎた結果、「下降調整波を形成しているさらに下位の下降波の終了」を判断するような材料を捉えることになっています。
もちろん、そのこと自体を自分で理解したうえでトレードをしているなら構いません。
ですが、「本当に小さい材料」を自分が分析したいものを判断するうえで「十分な材料」だと思っていると、「あれ?」となるわけです。
これがエントリータイミングであれば、不要な負けが増えたりしますし、環境認識であれば、上位の方向感を捉え損ねることが増えたりするわけですね。
機械的にチャート分析するのではなく、慣れない内は「今、自分は何を分析したいのか?」をしっかり考えながら、分析するようにするとそういったワナに陥りづらくなります。