FXのチャートパターンから学ぶ「本質」【ダブルボトム編#1】

アイキャッチ画像トレード手法

「チャートパターン」とは

FXのチャートをずっと見ていると、「この形よく見るな」っていう形がいくつもあることに気づくと思います。

先人達も、もちろんその事には気づいていいて、それら代表的な形のものを「チャートパターン」と呼んでいます。

有名なものだと「ダブルボトム」「ダブルトップ」「ヘッドアンドショルダー」「フラッグ」「ウェッジ」なんかがありますね。

一般的な説明だと、「ダブルボトムの形になったら、反転のサイン」とか「フラッグの形になったら、トレンド継続のサイン」というのをよく目にします。

もちろん、統計的に見ても間違った説明ではありませんが、トレードに活かすという意味ではもう少し踏み込みたいところです。

何かのサインという「形」として覚えるだけではなく、「なぜその形になったのか?」にまで踏み込めば、チャートパターンの「本質」まで理解して使いこなせるようになります。

代表的なチャートパターンの本質の部分を少し見てみましょう。

「ダブルボトム」の場合

反転のサインとされるチャートパターン「ダブルボトム」を詳細に見てみましょう。

チャートパターン2

下降トレンドがサポートに当たって反発した場面。

このサポートがたいして強いものではない場合、この反発は一時的な「調整」ですよね。

下降トレンドが継続するのであれば、調整が完了したと判断されるレジスタンス付近から「戻り売り」勢力が現れて再度下降していきます。

チャートパターン3

そのままサポートを抜けて下降していけば、分かりやすく下降トレンドが継続という判断になりますが、一度反応したチャートポイントなので、抜けるとしても、再度反応することはよくあります。

チャートパターン4

再度、サポートに反発しても、また戻り売りが加わって、サポートを抜けていけば下降トレンド継続ですし、この形も実際よくあります。

ここまでは、「下降トレンドが継続する(戻り売り)」派のトレーダーからしても、特に問題のあるチャートの形ではありません。

ですが、ここでたいして強くないと思っていたサポートが実は強かった場合、話が変わってきます。

このサポートが実は強かった場合、このサポートでの反発を根拠にした「買い注文」が多く集まり、戻り売り勢力を上回ってしまうことがあるんですね。

そして、下降トレンド継続派のトレーダー達も、先ほどのレジスタンスで出来た戻り高値を抜けてしまった時に、「あれ?下降トレンドが継続するシナリオではない、やばいぞ」と判断するんです。

チャートパターン5

なぜ、このレジスタンスに出来上がった高値を抜かれた時点で、「あれ?下降トレンドの継続じゃないぞ」と判断されるのかについて、もう少し詳細に説明します。

そもそも、最初の戻り売りの形がダブルボトムの形になる程には下降が伸びずに、そこから高値が抜かれていたとしたら、どうでしょう?

チャートパターン6

同じレジスタンスで出来た高値を抜かれていますが、上の画像では先ほどのダブルボトムの時とは違い、下降トレンド継続が決定的に否定されていないんです。

それは、下降トレンド継続派のトレーダー達には、まだ下の画像のように見ることが出来るからなんです。

チャートパターン7

上の画像のようなシナリオが残っているから、レジスタンス①からの戻り売りが不発に終わっても、下降トレンド継続派は、まだ下降トレンド終了の判断を下さずにいたりします。

ですが、ダブルボトムの場合は違います。

ダブルボトムの形が作られる過程で、しっかりとした「戻り高値」が出来上がり、下降トレンド継続派の多くの目線が集まる重要な高値が出来上がってしまっているんですね。

その高値は、下降トレンド継続派のトレーダー達の「損確」の注文も多く集まっている、重要な「急所」なんですね。

ちなみに、この急所である高値を「ネックライン」と呼んだりします。

 

チャートパターン8

この「急所」が出来上がることで、下降トレンド派の多くは、その急所を「砦」として、その砦にみんな集まっているわけです。

そして、この砦を突破されてしまうことで、下降トレンド継続派が一網打尽にされてしまうことから、下降トレンドが「反転」することになります。

結果として、ダブルボトムという形になっていることが多いので、「反転」のサインとされるんですね。

ですが、その本質は「形」が出来上がる過程で、下降トレンド継続派にとっての急所である高値が出来上がり、その高値を抜けてしまうことで、下降トレンドが継続するシナリオが破綻するというものです。

ダウ理論の基本原則の1つである「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」と本質的には同じです。

ダブルボトムは、「明確な転換シグナル」が生まれる1つのシナリオなんですね。

さて、ダブルボトムのネックラインを抜けたにも関わらず、トレンドが反転せずにやっぱり下降が再開、なんて場面もありますよね。

もちろん、チャートは常にテクニカル分析通りに動くわけではないので、予測が外れることは特に不思議ではありませんが、本質を理解していないダブルボトムの認識の場合は下の画像のような場合もあります。

チャートパターン9

本質的な問題として、下降トレンド継続派のトレーダー達がそのネックラインを下降トレンド終了の急所と認識しているのか?という点ですよね。

上の画像などのように、対象とする下降トレンドに対して、ダブルボトムが小さい時など、ネックラインが急所となり得ていないかもしれないですよね。

では、下降トレンドに対してどのような大きさのダブルボトムなら機能するのか?という形にこだわるのではなくて、自分が下降トレンド継続派なら、どこを急所として見ているか?と想像してチャート分析をすることをおすすめします。

もちろん、数字的な目安もありますが、相場参加者の心理を想像する方がダブルボトムの「本質」を利用したトレードが出来るようになるはずです。

まとめ

ダブルボトムは「反転」のサインとされるチャートパターン。

ですが、本質としては「形」が出来上がる過程で、下降トレンド継続派にとっての急所である高値が出来上がり、その高値を抜けてしまうことで、下降トレンドが継続するシナリオが破綻するというものです。

ダウ理論の基本原則の1つである「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」と本質的には同じ。

ダブルボトムという「形」だけにとらわれずに、「本質」の部分を理解して相場参加者の心理を想像することで、チャート分析により良く活かせる。

スポーツの世界も同じだったりします。

チームスポーツには「戦術」というものがあります。

事前にチーム内で決めておいた動きをみんなで実行したりするのですが、サインを見て戦術を実行する時に、ただ単純に事前に覚えた通りの動きをしようとする選手と、その動き1つ1つの狙いまで理解したうえで動く選手とではクオリティーが違いますよね。

戦術の動きの1つ1つの狙いまで理解している選手は、相手の動きやシチュエーションにあわせて、自分の動きにアレンジを加えて、臨機応変に対応出来たりします。

いつだって、大事なのは「形」よりも「本質」の部分だったりしますよね。

また、こういった本質的なものに目を向けてFXの勉強をしていくことで、トレード技術の向上の成長スピードも違ったりします。

さて、今回のダブルボトムの場面を、「サポートからの上昇派」の目線で見てみても、また違った角度から「本質」が見えてきます。

そのお話は、また別の記事で。

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