「チャートパターン」とは
FXのチャート分析において「チャートパターン」という要素があります。
一般的にチャートパターンとは、FXチャートの形によく見る「形」であり、統計的にその形から「トレンドの転換」だったり「トレンドの継続」だったりの「サイン」として認識するというものです。
簡単には、「チャートにこの形が現れると、この後はこうなることが多い」というパターン集という感じですね。
ただ単にチャートパターンを「形」だけで覚えてチャート分析に組み込むのは、少しもったいないんですよね。
なぜその形になったのか?その形になった後は、なぜその展開になることが多いのか?を本質的に理解しておいた方が、他の場面でもチャート分析に活かせます。
今回は、色々あるチャートパターンの中から「ヘッドアンドショルダー(H&S)」と呼ばれるチャートパターンについて見てみます。
ヘッドアンドショルダー(H&S)の場合
チャートパターンの「ヘッドアンドショルダー(H&S)」は一般的に「反転」のサインとされています。
なぜ、「反転」のサインとされているのか?詳しくみていきます。
上の画像は、上昇トレンドがレジスタンスに到達した場面。
このレジスタンスで一旦利確するトレーダーなどが現れると、一時的な押しである下降調整波が発生します。
ですが、上昇トレンド継続派が存在していれば、この押しに対して「押し目買い」を狙う勢力が発生します。
そして、このレジスタンスからの売り勢力がそこまで強くなかった時には、この押し目買い勢力によって発生した上昇波がまた高値を越えていきます。
しかし、この時に高値を大きく更新できずにまたすぐに調整に入ってしまう時があります。
これは、色々な理由があります。
すぐに次のレジスタンスが存在していたり、レジスタンスゾーンの中だったり、元のレジスタンスに対して上位時間軸で上ヒゲが形成されていたり、、、「天井圏」と認識される要素が強かったということですね。
「高値をあまり更新出来なかった」という事実。
また、この事実が「天井圏」で発生したということもあり、「そろそろ上昇トレンドは終了かな?」と考える相場参加者が増えると、利確する相場参加者が増えたりして下降調整波が強くなったりします。
もしも、下降調整波が弱くて、「いや、まだまだ上昇トレンドは継続する」と考えている相場参加者が多いのであれば、戻りがある程度進んだところで押し目買い勢力による上昇波が発生して、上昇トレンド継続の展開になったりするはずですよね。
なので、この「あまり高値を更新できなかった」「戻りが安値付近まで深く戻ってきた」という事実は「上昇トレンドが終了するかも?」と考える「材料」になっているわけですね。
ですが、ダウ安値を下抜けるまではダウ理論ベースでは「上昇トレンド」という認識です。
なので、やはり安値付近で下降調整波の勢いが無くなったり、安値付近から押し目買いする勢力が発生して、再度上昇波が発生したりします。
この上の画像のような形あたりから、いわゆる「ヘッドアンドショルダー(H&S)の絵」というのが見えてきます。
つまり、朧気ながら「ヘッドアンドショルダー(H&S)」の形がチャート上にイメージ出来てしまうということ。
またヘッドアンドショルダーになってもおかしくない「天井圏」というチャート分析があると、先のレジスタンスの注目度が上がって強化されたりします。
すると、ダウ安値付近からなんとか上げてきた上昇波は、この注目度が上がったレジスタンスを越えられなかったりします。
そして、次の下落が始まってしまうと、今度は再度買い上げるだけの上昇トレンド継続派が残っておらずに、ネックラインを抜けてしまう展開に。
天井圏で「ヘッドアンドショルダー(H&S)」の絵が見えてくると、ヘッドアンドショルダーのチャートパターンを意識したトレーダーによる戻り売りも発生するので、より戻り売り勢力が増したりします。
そして、ダウ安値(ネックライン)を下抜けることで、ダウ理論ベースでは上昇トレンドの終了と判断されますので、「反転」のチャートパターンである「ヘッドアンドショルダー(H&S)」が完成します。
ちなみに、「ヘッドアンドショルダー(H&S)」の名前の由来は、このチャートパターンの形が「頭と2つの肩」に見えるからなんですね。
また、安値が段違いになっている形も「ヘッドアンドショルダー(H&S)」のチャートパターンとして認識されますが、この時に2つの安値を繋いだラインを「ネックライン」とする考え方もあります。(というか、こちらの考え方の方が一般的ですかね、、、)
「ヘッドアンドショルダー(H&S)」が「反転」のサインのチャートパターンと世間的に認識されている理由は、ダウ理論の基本原則の1つである「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」と本質的には同じです。
レジスタンスに到達した上昇トレンドがなんとかトレンド継続させようと押し目買いで踏ん張ってみたけど、上昇トレンドの急所であるダウ安値を下抜けてしまい「トレンド反転」が決定的になったという「シナリオ」なんですよね。
「天井圏到達」「あまり高値更新出来なかった」「戻りが深い」「ショルダーから戻り売りが入った」という流れの中で、ネックラインが上昇トレンドの「急所」であるという注目度が高まっているわけです。
なので、ネックラインを抜けた時には「上昇トレンドが終了」と判断する相場参加者が多くなるんですね。
もちろん、「反転」のチャートパターンとして「ヘッドアンドショルダー(H&S)」が有名になっていることも、反転の展開になっていくことを後押ししていると思います。
まとめ
FXにおいて「反転」のサインである「ヘッドアンドショルダー(H&S)」のチャートパターンについて詳しく見てみました。
「天井圏到達」「あまり高値更新出来なかった」「戻りが深い」「ショルダーから戻り売りが入った」という流れの中で、ネックラインが上昇トレンドの「急所」であるという注目度が高まる。
そして、その急所であるネックラインを抜けることで多くの相場参加者が「反転」と認識する。
もちろん、下降トレンドにおいても同様です。
簡単に説明してしまうと「トレンドがチャートポイントに到達して、トレンド継続しようと踏ん張ったけど、反転してしまった」シナリオの時の形なんですね。
その展開の中で徐々に「トレンドが終了して反転するのでは?」と考える「材料」が増えていき、トレンド反転を判断する価格として「ネックライン」に注目度が高まっていくわけです。
同じ「反転」のチャートパターンの「ダブルトップ・ダブルボトム」と比べて、ややトレンド継続派が強かった時のパターンとも言えますね。
ダブルトップ・ダブルボトムの時は、「高値・安値更新出来ず」→「ネックライン割れ」という展開ですが、「ヘッドアンドショルダー(H&S)」はややトレンド継続派が多かった為「高値・安値を少し更新」→「踏ん張った」→「けどネックライン割れ」という感じで少し踏ん張った為に高値・安値がダブル系よりも1つ多いわけです。
どちらにも言えるのは、シナリオの過程で「急所」といえるネックラインに注目が集まり、そこを抜けることで「反転」と考える相場参加者が増えるんですね。
ダウ理論の基本原則の1つである「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」と本質的には同じです。
「ヘッドアンドショルダー(H&S)」という展開によって「明確な転換シグナル」を相場参加者の多くが共通で認識するようになるということ。
トレンド転換の場面は色々なチャートの形が存在しますが、「チャートパターン」という認識があるからこそ、その形になりやすいという側面もあると思います。
ですが、その波1つ1つの意味をくみ取っていけば、本質的なところはいつでも同じだったりします。
なので、チャートパターンの本質を理解していれば、チャートパターン意外のチャートの形にも対応出来たりしますので、本質的なところまで理解しながら、FXの勉強をするのがおすすめです。