「エリオット波動」を数える
FXチャートを分析するにあたり、エリオット波動理論を勉強して取り入れているトレーダーは結構多いと思います。
ですが、エリオット波動理論を詳細まで知っている人は実はそこまで多くなく、なんとなくで理解している人の方が多いのかなと。
エリオット波動理論をまったく知らない人は、下の記事を読んでみてください。
上の記事もエリオット波動理論の全てではなく、重要なところだけ抽出したものです。
エリオット波動理論によると1つの波は「1波→2波→3波→4波→5波」の小さい波で構成されているとのこと。
さて、こんなことを考えたことはないですか?
5波まで確認された後は波の終了が待っていて、それは「トレンド転換」を意味するのではないか?
トレンド転換のタイミングが分かるのではあれば、そこから転換する方向にポジションを持てば良いのではないか?
結論から言うとこのメカニズムは「機能する時もある」という感じです。
まあ、それはすべてのテクニカル分析に言えることなのですが、、、
そして、これもすべてのテクニカル分析に言えることですが、重要なのは多くの相場参加者がそれを意識しているかどうかという点です。
今回のエリオット波動を数えることに関していえば、そもそも「同じ数え方なのか?」という要素があります。
下の画像を見てください。
下降波に対して、上昇調整波が入って、上昇調整波がトレンド転換して再度下降波が伸びていった場面。
この上昇調整波を1波・2波・・・と数えてみると、まあわりかし他の相場参加者もこのように数えるのかなという感じですね。
もう1枚見てください。
同じく、下降トレンド継続の場面。
この上昇調整波の波を数えてみると、どうですかね?
完成したチャートであれば、上の画像のように5波を数えることが出来なくはないけど、、、という感じですよね。
おそらく、リアルタイムで見ている時は波の数え方が違ってくる可能性がありますよね?
上で紹介した場面以外でも、波の数え方が微妙だなという波は結構多いと思います。
同じようにエリオット波動理論でトレンド転換を狙っている相場参加者でも、5波の数え方が違えば注文の力が分散してしまいそうですよね。
これは、すべてのテクニカル分析に言えることですね。
水平線やトレンドラインだって、多くの相場参加者が同じように引いて注目しているからチャートポイントとして機能するわけです。
エリオット波動理論を利用したトレンド転換のタイミングの計り方も同じことが言えますね。
なので、誰が数えても同じ数え方になるようにはっきりと波が数えられる時にはエリオット波動理論を意識したトレンド転換の力が発生しやすいと言えます。
そもそも・・・
さて、波を数えてエリオット波動理論を意識したトレンド転換の力も他のテクニカル分析と同様に「他の相場参加者の注目度」に比例すると考えられますが、それよりも重要なことがあります。
そもそも、そのトレンド転換を狙っている波が「調整波」なのか?
実際のFXチャートを見てみればわかりますが、エリオット波動理論はあくまで理論なので、実際には5波で波が終わるとは限りません。
推進7波、推進9波と発生することも結構ありますよね。
そして、このように5波で終わらずに7波・9波・・と伸びていく波の多くは「推進波」だったりします。
つまり、その通貨ペアのその波レベルにおける「本命」の方向に進んでいる波です。
本命の方向にポジションを取りたい相場参加者は多いので、時にどこまでもトレンドが継続して伸びていきます。
なので、波を数えてエリオット波動理論を意識したトレンド転換の力をトレードに利用するとしても、まずはトレンド転換を狙っている波が「調整波」であり、転換した後の方向が多くの相場参加者が望んでいる本命の方向であるかどうかの分析の方が重要だったりします。
さて、さらに「そもそも・・・」ですが、エリオット波動理論ではそもそも調整波は3波で構成されるとなっているんですね。
上で紹介した記事の中でも説明していますが、エリオット波動理論でトレンド継続のリズムは「推進波(1波→2波→3波→4波→5波)→調整波(A波→B波→C波)」とされています。
なので、数えるなら3波まで?いや5波まで発生することが多いような、、、
という感じですよね。
これは、そもそも相場参加者の中で推進波と捉えている方向に違いがあるからですが、やはり第何波で波が転換すると決めるのは少々難しいのかなと。
ですが、エリオット波動5波のイメージが広く浸透しているのも事実だと思いますので、はっきりと第5波が数えられる場面では、「エリオット波動的にここでトレンドは一旦止まるのかな?」と考える人はある程度居ると考えられます。
ただし、トレードに組み込むなら上に書いた通り、そもそも「トレンド転換を待ち望んでいる側が多数派なのかどうか?」という点の方が大きい要素だと思います。
まとめ
エリオット波動理論を初めて学んだ時、おそらく多くの人が同じことをしたと思います。
それは、実際のFXチャートで波を数えてみてエリオット波動理論通りにチャートが動いているのかどうか?を確認してみることですね。
実際のFXチャートで確認してみた人は分かると思いますが、「エリオット波動理論通りに動いているー!!」という箇所もあれば、「全然、エリオット波動理論通りじゃないなぁ、、」という箇所もありますよね。
原著を読んでエリオット波動理論の正式な波の数え方まで詳細に理解している人は少ないと思いますが、、、
ですが、これはすべてのテクニカル分析に言えることです。
水平線や移動平均線、トレンドラインだって、初めて知識として知った時、同じことをして、同じことを感じたはずです。
どんな優れた道具も使い方次第ということですね。
切れ味鋭い包丁だって、背中で野菜を叩けば切れません。
ただ波を数えて5波が折り返したから転換と判断する、なんてのは包丁の背中で野菜を叩いているようなものですね。
エリオット波動理論がメジャーである限り、はっきりと5波が数えられる状況であれば、「転換」の力が働くというのは1つの材料としてとらえることが出来ます。
なので、トレンド転換を狙うという目的でエリオット波動を数える意味があるのか?と聞かれれば、意味はあると言えます。
ですが、それは1つの材料である考え方ですね。
エリオット波動理論とは少々違うのですが、個人的には「3度目の正直」という材料の見方をチャート分析でしていますので、また別の記事で書いてみます。