酒田五法「三兵」とは
江戸時代に活躍した相場師・本間宗久が考案したとされる相場の予測方法「酒田五法」。
本間宗久はラプラスFXが最も重要視しているテクニカル分析ツールである「ローソク足」の生みの親とも言われています。
古典的な分析方法ではありますが、現代のFXトレードにおいても参考になる部分がたくさんあります。
「酒田五法」のうち、今回は「三兵」について考察してみます。
「三兵(さんぺい)」とは簡単には、連続して3本の陰線が出現すれば売りシグナルとし、連続して3本の陽線が出現すれば買いシグナルとする分析パターンです。
ですが、このまま「三兵」を買いシグナル・売りシグナルとして使用してもなかなかうまく機能しないと思います。
そもそも、酒田五法が考案された江戸時代とは時代が全然違うので、取引環境が違いますからね。
ですが、期待値の高いトレードをする為の「本質」を含んでいたりするので、やはり参考にはなったりするわけです。
昔は「日足」だけだった?
酒田五法が考案された江戸時代に本間宗久は「米相場」で取引をして、財を成したと言われています。
つまり、「米」の価格の上下を予測していたわけですね。
江戸時代の頃に「米」はすでに「先物取引市場」として証券化されていたそうです。
ですが、今と違って情報はリアルタイムには伝わりませんから、飛脚などを使って全国に米相場の価格を伝えていたとか。
良くても「日」単位でしか米の価格の情報は入ってなかったと思うんですよね。
つまり、「日足」がベースの長期トレードをしていたと思われます。
現在のFXトレードのように、たくさんの時間軸チャートが存在して、かつそれぞれの時間軸チャートを基準にしたトレーダーが十分に存在して、価格が秒単位で変化するという環境ではなかったわけですね。
なので、シンプルに「三兵」が出現したら、世の中の動向として米の価格の動きを予測出来たのではないかと思います。
ですが、現在の環境においては「三兵」だけでは「シグナル」としては不十分な情報と言えます。
もしも、シグナルとして使用するのであれば「タイミング」を計る必要性があるわけです。
下の画像を見てください。
どちらも同じ陽線が3本連続した「三兵」ですが、買いシグナルとしてどちらの方が期待出来ますか??
上の画像だけで判断するなら、やはりサポート後の三兵ですよね。
つまり、今後上昇トレンドが発生して伸びていく初動期において陽線の「三兵」は買いシグナルとなり得るんですね。(※陰線も同様)
もしかしたら、私が酒田五法の詳細を知らないだけで、本間宗久も上のようなイメージで三兵を使用していたのかもしれないですね。
つまり、三兵を取引シグナルとして使用するには、そのタイミングも意識する必要がるということです。
そして、現代の取引環境は江戸時代と比べてもっと複雑になっていますので、マルチタイムフレーム分析する必要性があるということです。
「三兵」の本質は「推進波」
現代の取引環境において「三兵」は単独では取引シグナルとして扱うには難しいですが、「材料」として捉えることは出来ます。
陽線・陰線が連続して出現するというのは、それだけ相場参加者の注文傾向が偏っていることの証明であり、3本連続するというのは、「トレンド」の性質を帯びているとも言えます。
ローソク足3本で表現されるのは、そのローソク足の時間軸レベルにおいては「下位足のトレンド」なんですね。(※広義の意味でのトレンド)
トレンドの転換、つまり初動というのは、必ず下位足からの波及によって発生します。
例えば、一時的な下落局面において、トレンド転換からの上昇が期待できる場面では、下位レベルの上昇トレンドへの転換を察知するのは、シグナルとは言えなくても「材料」とはとらえることが出来そうですね。
この下位足レベルの上昇トレンドが、下降調整波のダウ高値を上抜けていれば、より期待が持てそうです。
上の画像はあくまでモデル図なので、ピンク色の上昇トレンドと三兵が完全にリンクしていますが、もちろん完全にリンクしないことの方が多いはずです。
ポイントは、三兵は下位レベルに落とした時に「下位レベルのトレンド」のすべてや一部を表現している可能性があるということです。
そして、それはトレードを判断する「材料」の1つということですね。
上の画像でいえば、サポートが押し目買い勢力の多くが入ってくる本命のサポートなのかどうか?また、そもそも押し目買いが成功する可能性が高い環境なのか?などの統合的判断が重要だということ。
「三兵」を取引シグナルとして使用するのであれば、「初動期」を捉えているかどうかが重要になるわけで、それを判断するにはやはりマルチタイムフレーム分析が必要になってきますよね。
まとめ
酒田五法の1つである「三兵」という取引シグナルについて。
陽線・陰線が3本連続したローソク足のパターンのことですが、現代のFXトレードの環境においては、単体では取引シグナルとしては使うのは難しい。
「下位足のトレンド」を表現している「材料」として捉えることは可能ですが、やはりどういった状況で三兵が出現したのかという「環境認識」の方が重要。
マルチタイムフレーム分析をした上でトレードプランを立てますが、その際に参考にする「材料」の1つという感じですね。
まあ、どんなシグナルと言われているものも、基本的には単体で使用して期待値の高いトレードをするのは難しいですよね。
なので、統合的判断に組み込む「材料」の1つとして使用することにはなると思います。
「三兵」に関しては、本質的には「下位レベルのトレンド」という感じです。
たしかに、押し目買いの場面で上昇推進波の発生が期待できる状況であれば、下位レベルで上昇トレンドが発生したという事実は、その後に上位に波及して上位レベルの上昇トレンドの予兆と呼べるかもしれません。
ですが、本当に押し目買いが期待できる場面なのか?調整は十分か?などの材料と統合的に判断することが肝心なんですね。
本間宗久が活躍した江戸時代の米相場は実際はどんな感じだったんでしょうかね?
本間宗久のように、ローソク足を使って価格の動向を予測していた人はどのくらいいたんですかね。
ローソク足を使って日足の流れを把握していたのであれば、今よりもずっとトレードをするのは簡単な時代だったような気がしますが、はたして、、、
ですが、「三兵」も十分「材料」として機能します。
この「材料」だけでトレードをするのではなく、環境認識・トレードプランを補完する材料として使うのがおすすめということですね。