「2つの調整」について実際のFXチャートで解説

アイキャッチ画像トレード手法

「縦の調整」について

FXの価格の波は「推進→調整→推進・・・」というリズムで伸びていきます。

そして、調整には「縦の調整」「横の調整」の概念が存在します。

詳しくは、下の記事を読んでみてください。

FXには「縦」の調整と「横」の調整がある!?
FXにおいて推進波が再開する為には「縦の調整」と「横の調整」という概念があります。調整波がどのようになったら推進波が再開するのか?という視点は重要です。

さて、今回は2つの調整の概念について、実際のFXチャートでも見てみましょう。

まずは「縦の調整」について。つまり「価格の調整」ですね。

早速、下の画像を見てください。

調整2-1

上の画像は「上昇トレンド」の場面。

「上昇推進波」がどこかのレジスタンスに到達して、注文のパワーバランスが逆転して、「調整」に入ります。

上昇推進波を構成している下位レベルの波の「ダウ安値」を下抜けたことで、「下降調整波」が発生したと判断出来ますね。

その下降調整波によって価格が下がっていき、FIBO61.8%程まで調整が進みました。

「戻り深度」としては十分深いと言えますし、上昇推進波の中に注目度の高いサポートゾーンにも到達しています。

なので、この辺りから「十分に安い」「上昇が再開する」「乗り遅れないように買いポジションを持ちたい」と考える相場参加者が増えました。

結果として、買い注文の勢力が増えたことによって、下降調整波の勢いを反転させていきます。

下降調整波を構成している下位レベルの波のダウ高値を上抜けた時点で、「下降調整波→上昇推進波」に転換したと考える人達も発生しますので、さらに買い注文が増えていきます。

その結果、上昇推進波が本格化して、高値を抜けていきます。

つまり、先程のFIBO61.8%辺りで「縦の調整が完了していた」ということですね。

これは、「上昇トレンドという背景が変わらなかった」というのも重要なポイントです。

上昇推進波が到達した「レジスタンス」が一時的な調整である下降調整波を生む程度の「注目度・強さ」であったから、「上昇トレンド」という見立てを変える相場参加者が少なかったわけです。

なので、上昇トレンドという背景が変わらなければ、「押し目買い」を狙う相場参加者が多いということなので、上昇トレンドが継続する展開になるわけですね。

調整2-2

今回の場面は、波の形的にも上昇トレンドの継続がイメージしやすい、比較的オーソドックスな「縦の調整完了」からの上昇トレンド継続の場面でした。

ですが、波の形はいつも違いますし、波の認識の仕方もアナログ的で微妙な場面もあります。

次も「縦の調整」の場面ですが、少し微妙なケースも見てみましょう。

調整2-3

上の画像で「H&S」のネックラインを下抜けた場面を見てください。

このネックラインは、緑色レベルの波認識においても上昇トレンドの急所のダウ安値にもなっています。

なので、下抜けたら「下にトレンドが発生して、ぐいぐい価格が下げていくのでは?」とイメージしてしまいますよね。

ですが、勢いよく下抜けたにも関わらず、その後は下降波が継続せずに、むしろ上昇反転して高値を上抜けていきました。

なぜ、こうなったのか?

これも「縦の調整が完了したから」なんですね。

調整2-4

緑色レベルの上位レベルにおいては、上昇トレンドが「縦の調整」が完了して、上昇推進波が再開したという絵なんですね。

上位の時間軸が下位の時間軸を倒したという構図なので、なんら不思議ではありません。

実は、環境認識において、さらに上位は「下げ目線」だったり、ネックラインを下抜いた下降波の要因は「経済指標」だったりと、難しい場面ではあります。

なので、「今回のような場面は上位レベルで押し目買いを狙える」という事を言いたいのではなくて、自分が注目している時間軸に意識が行き過ぎると、今回のような上位レベルの「縦の調整」が完了したことによる「買い注文勢力」の存在を見落としてしまいがちなので要注意ってことです。(※下降トレンドも同様)

環境認識次第では、今回のような押し目買いが狙える場面もありますし、少なくともこのようなケースを頭に入れておくことで、環境認識の際にシナリオの1つとして考慮することで手堅い利確の判断に使えたりします。

「横の調整」について

さて、次は「横の調整」です。つまり「時間の調整」ですね。

「横の調整」になってしまった場面をいくつか見てみます。

調整2-5

戻り深度が浅いところから押し目買い勢力が入ってきて出来た押し安値候補から一度高値抜けを目指します。

が、高値抜け出来ずに、もう一段階安いところまで調整が進みます。

止まった所も、FIBO50%に到達していない浅い所ですが、結局この押し安値候補から高値抜け。

再調整から「縦の調整」が完了して推進波が再開、という見方ももちろんできます。

が、FXチャートを見た時に「横の調整」が推進波の再開を後押ししたという見方もまた自然に見えます。

さて、次の画像を見てください。

調整2-6

FIBO61.8%近くまで調整が進み、戻り売りが入ってきましたが、押し目買い勢力も同じくらい存在していたことから、拮抗して横の展開に。

「横の調整」が完了して、戻り売り側が勝利する展開でした。

次の画像です。

調整2-7

上の画像も「戻り売り」の場面ですが、FIBO38.2%程の戻りから戻り売り勢力が入ってきて、下降波が再開します。

ですが、青点線のように素直には抜けていかずに、横の展開に。

横の調整が完了した後に、持ち合いの下限を抜けてから、下降推進波が本格していく展開でした。

これも、単純にFIBO38.2%のところで「縦の調整」が完了していて、その後下降トレンドが継続していったという様な分析でも大枠では同じです。

ただし細かい分析を入れると、持ち合いの絵が見える安値に初回到達時に上昇反発した場面なんかでは、「FIBO38.2%」の戻り深度からの戻り売り勢力なので、「再調整」の展開が不安なんですよね。

つまり「縦の調整」だけだと「戻り深度」が不十分で下降推進波が本格化しないのでは?ということですね。

ですが、横の調整が進むにつれて「縦の調整 + 横の調整」となり、「横の展開になったし、再調整ではなくて、下にいくきっかけさえあれば、下降推進波が本格化するかな」とイメージ出来るようになるんですね。

もちろん、環境認識次第ではありますが、「横の調整」は「縦の調整」に対する「後押し」のような感じなんですね。

最後にもう1つ。

調整2-7

横の展開から、持ち合いを下に抜けたけど、トレンド方向では無かったパターンですね。

つまり、横の持ち合いを下抜けたのは再調整による「下降調整波」に過ぎず、上昇トレンドと考えている相場参加者が多かったわけです。

なので、持ち合いを下抜けた下降波に対して、押し目買いが入り、結局上昇推進波が再開して高値を上抜けていく、いわゆる「ダマシ」の展開でした。

FXでよくある「ダマシ」の見分け方!もう騙されない為の対策!
FXでよくある「ダマシ」の見分け方に関する話ですが、実は期待値の高いトレードをする為の「基本」の話だったりします。

「横の調整」に入った場合、その後に「持ち合い」の上限・下限を抜けると、いわゆる「ブレイクアウト」と呼ばれる強い波が発生する展開になりやすいです。

ですが、環境認識が出来ていないと「ダマシ」にあう確率が上がってしまいますので、要注意ですね。

まとめ

FXの価格の波は「推進→調整→推進・・・」のリズムで伸びていきます。

その調整には「縦の調整」「横の調整」の2つの概念があり、今回は実際のFXチャートで見てみました。

実際、調整波には「利確する人」「利確により発生する一時的な波を取る人」「トレンド転換すると予測している人」の大きく3つの勢力の注文の力によって発生しています。

ですが、トレンドが転換する程の環境でなければ、やはり「トレンド継続派(戻り売り・押し目買い)」の勢力の方が強くなるはずですね。

ただし、調整波も下位レベルに落としてみれば、立派なトレンドだったりしますので、どこでそのトレンドを反転させる程の「トレンド継続派」の注文が本格的に入ってくるのか?というのが「調整」の一番の考え方です。

そして、「縦の調整」でスムースに推進波が再開するケースもあれば、横の展開になって「横の調整」が加わってから、推進波が本格化するケースもあるということ。

どういった「調整」の形になるかは、なかなか事前に判断出来るものではありませんが、この波の形が「調整十分」なのか「調整不十分」なのかを精度良く判断出来るようになれば、それはそのままチャート分析の力に直結します。

もちろん、今回の記事の内容だけで判断できるものではありませんが、「価格の調整」「時間の調整」の要素は重要なポイントなので、そこに意識してチャートを見るだけでもだいぶ違うと思います。

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