【バルサラの破産確率表】FXに活かす「3つ」の具体的な手順

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バルサラの破産確率とは

FXを真剣に勉強している人なら、1度は聞いたことがあるであろう「バルサラの破産確率」。

「バルサラの破産確率」とは、Nauzer J. Balsaraが提唱した「資金管理戦略」の一部である、「破産するリスクを数学的に計算した確率」なんですね。

まあ、簡単には「そのトレードをずっと続けると、このくらいの確率で破産しますよ」っていう確率。

FXをなんとなくでトレードしている人にとっては「ギャンブル」に過ぎませんが、FXは真剣に取り組む以上、「数字」の世界とは切っても切れない関係です。

FXで継続的に利益を上げたければ「ギャンブル」ではなく「トレード」でなくては達成できません。

「数字」と向き合い論理的かつ大数的に考えることによって、FXは初めて「ギャンブル」ではなく「トレード」となります。

そして、FXを「トレード」する為には「バルサラの破産確率」は無視することが出来ない数字なんです。

単純に考えて、「そのトレードを続けていたら高い確率で破産しますよ」と数学に分かっているトレードを続けていて、資産が増える可能性が高いと思いますか?

逆を言えば、「そのトレードを続けていたら、ほぼ破産はしませんよ」というトレードを続けていれば、資産が増える可能性が高いということです。

なので、自分のトレードが「バルサラの破産確率表」において、どういう領域にあるのかを知ることは、トレーダーとして当たり前のことです。

そして、この「バルサラの破産確率」をどうやってFXに活かすのか、その具体的な「3つ」の手順を紹介します。

と、その前に最低限の「数字」を勉強しておきます。

「バルサラの破産確率」に必要な数字

ちなみに「バルサラの破産確率」を求める数式は以下の通りです。

破産確率P資金m賭金b勝率w損益率r
(式1)x = wx^(r+1) + (1-w)
(条件1)0 < x < 1 → xは1以下の数

式1と条件1を満たす時

P = x^(m/b)

安心してください。

「バルサラの破産確率」を求める数式を理解していなくても、下記で紹介する「バルサラの破産確率表」に当てはめれば、誰でも簡単に自分のトレードの「バルサラの破産確率」を知ることが出来ます。

数学的に興味のある人は、勉強してみてください。

数式を理解していなくても、「バルサラの破産確率表」を見ればよいのですが、ただし、自分のトレードにおける3つの数字を把握しておく必要があります。

それが「勝率」「損益率」「資金比率」です。

 

①「勝率」

「勝率」とは、言葉からも簡単に分かると思いますが、全体のトレード結果の中で「利益」で終えることの出来たトレードの割合のことですね。

勝率(%)=「利益」トレード数 ÷ 全体トレード数 ×100

 

(例)50回のトレードの内、30回で利益を出せた。

30÷50×100=60(%)

ちなみに「建値決済(0円)」の場合は、トレードサンプルから除いてください。

 

②「損益率」

「損益率」とは、損失の平均額と利益の平均額の比率ですね。他には「リスクリワードレシオ」とか呼ばれています。

損益率(倍) =「利益」平均額 ÷ 「損失」平均額

 

(例)「利益」が出た時は平均すると10000円だった。

「損失」が出た時は平均すると5000円だった。

10000÷5000=2 (倍)

 

③「資金比率」

「資金比率」とはFXトレードに使える全資金に対して、毎回のトレードで相場にさらす資金の比率のことです。

資金比率(%) = 毎回の「許容損失額」 ÷ FX全資金額 ×100

 

(例)現時点でFXで使える100万円だった。

トレードでは毎回、負けても損失は2万円になるようにリスク管理。

2万 ÷ 100万 × 100 = 2(%)

これに関しては、計算して「資金比率」を出すというよりも、先に「資金比率」があって、トレード毎に「許容損失額」を計算して、そこからエントリーするロット数を決めるという流れになっているはずですね。

資金比率は「1%~5%」の間くらいにほとんどのトレーダーが収まっているかと思います。

FXにおいて、「運」に左右されて退場することのないように、リスク管理はとても重要です。

トレードにおける「資金管理」が出来ていない人は、下の記事などを参考にしてみてください。

「証拠金」と「レバレッジ」と「資金管理」の話【#2】
FXの「証拠金」と「レバレッジ」の「資金管理」について。FXは「ハイリスク・ハイリターン」なんて表現される理由は、この「レバレッジ」にあるんですが、「資金管理」と「損確」によってリスクをコントロールしながら、トレードをする必要があります。

 

さて、「バルサラの破産確率」は、上記の「勝率」「損益率」「資金比率」を基に破産するリスクを計算していますが、「この数字の結果になるトレードを大数的に続ける」という前提条件があります。

なので、自分のトレードにルールが無く、トレードの判断に一貫性が欠ける場合には、「バルサラの破産確率」の信頼度も下がってしまいます。

前提として、自分のトレードにルールがあり、トレードの判断にある程度の一貫性があることが求められます。

では、次から「バルサラの破産確率」をFXに活かす具体的な3つの手順について見てみましょう。

 

手順① 「データを取る」

まずは自分のトレードルールが持つ「バルサラの破産確率」を知る為に「データ」を取る必要があります。

データを取るのはリアルトレードの結果でももちろん良いですが、「デモトレード」でデータを集める方が時間がかからず効率的なのでおすすめです。

集めるデータは「勝率」「損益率」です。

「資金比率」については、常に一定の割合で「資金管理」をしてトレードしているというのが前提条件なので、データを取る必要はありません。

資金比率を「2%」で定めたなら、毎回2%の資金管理でトレードをしているという前提ということです。(※そもそも、そうでないと定率を用いたバルサラの破産確率は計算できません)

たまに「損切り幅は毎回50pipsにしましょう」なんて記事を目にしますが、ラプラスFX的にはありえません。

損確幅を毎回同じにして、毎回同じロット数を投入すれば、許容損失額をそろえるという意味では資金管理になっているかもしれませんが、期待値の高いトレードをするという意味で論理的ではありません

毎回のチャートの形にあわせて、損確の位置を論理的に判断して変える必要があります。

つまり毎回、エントリーした際に設定する初期の損確幅は違うはずであるということです。

さて、バルサラの破産確率を知る為に必要な「勝率」「損益率」のデータの集め方は、デモトレードであれば、使っているデモトレードのシステムで集計出来ればそれでもよいですし、デモトレードのシステムなどで集計できなくても、自分がデータを集計した時に計算して分かる取り方であればなんでもよいです。

一応、システムを使わないデータ取得のおすすめの例を1つ紹介しておきます。

「損確幅(初期)」「決済幅」の2つの数字を取っていく方法です。

まずは下の画像を見てください。

バルサラの破産確率1

上の画像の中、陽線の確定で「買い」でエントリーして、そのすぐ下の安値の1ポイント下に損確を初期設定してトレードを開始したとします。

その場合、「損確幅(初期)」は上の画像のような幅になりますので、この幅を測っておきます。今回は「25.4pips」でした。

次に、デモトレードを進めていき、上のレジスタンスに到達した時点で「決済」したとします。

結果的に「利益」を出して決済することが出来たので、今回は「利確」ですね。

上の画像のような「決済幅」になりますので、これも測ります。今回は「+70.3pips」でした。

もう1つ例を見てみます。

バルサラの破産確率2

上の画像の中、陰線の確定で「売り」のエントリーをして、その上の高値のすぐ1ポイント上に損確を初期設定してトレードを開始したとします。

次に、デモトレードを進めていき、上のレジスタンスを抜けてしまった時点で「決済」したとします。

その場合、「損確幅(初期)」は上の画像のような幅になりますので、この幅を測っておきます。今回は「64.9pips」でした。

結果的に「損失」を出して決済することになったので、今回は「損確」ですね。

上の画像のような「決済幅」になりますので、これも測ります。今回は「-28.5pips」でした。

ちなみに当たり前なのでわざわざ画像は用意しませんが、エントリーした後の上の2つの例のように「利確」や「微損決済」をすることなく、「損確」まで戻ってきてしまい負けた時には、「損確幅(初期)」と「決済幅」は同じになります。

 

このようにトレードごとの「損確幅(初期)」「決済幅」の2つのデータを取得していき、Excelなどの表計算ソフトなどにまとめておくと後で便利です。

さて、この2つのデータさえ取っておけば、「勝率」と「損益率」を計算することが出来ます。

まずは、トレードごとに勝ったか負けたのかは、「決済幅」が「プラス」なのか、「マイナス」なのかで判断出来ますね。

なので、取得したデータの中から、「決済幅」が「0」のものを除いて「トレード全体数」を算出して、その中から「決済幅」が「プラス」のものを「勝ちトレード数」として計上することで、「勝率」が計算できます。(※計算式は上記の通り)

「勝率」(%) = 「勝ちトレード数」 ÷ 「トレード全数」×100 

次に、取得したデータの中から、同じように「決済幅」が「0」のものを除いて抽出したもので、トレードごとの「決済幅」を「損確幅(初期)」で割ることで、トレードごとの「損益」を出すことが出来ます。

トレードごと「損益」 = 「決済幅」 ÷ 「損確幅(初期)」

ちなみに、この「損益」に「1回のトレードの許容損失額」をかけることで、「損益額」を出すことも出来ます。

損益額 = 「許容損失額」 × トレードの「損益」

 

(例)「損確幅(初期)」が100pipsで、結果は「決済幅」が+200pipsだった。この場合、

200pips ÷ 100pips = 2

で、「損益」は「2」となります。

そして、1回のトレードの「許容損失額」が2万円だった場合は、

2万円 × 2 = 4万円

となり、このトレードは4万円の利益だったと分かる。

が、今回は「損益率」が分かればよいので、「損益」までで十分です。

そして後は、抽出したトレードの中で「決済幅」がプラスのもの、つまり「勝ちトレード」における「トレードごとの損益の平均」と「決済幅」がマイナスのもの、つまり「負けトレード」の「トレードごとの損益の平均」を比べれば、今回のトレードデータ全体の「損益率」を計算できます。

全体の「損益率」 = 「勝ち」トレードの損益の平均 ÷ 「負け」トレードの損益の平均

これで、「勝率」と「損益率」のデータが取得できましたね。

もちろん、これ以外の方法でもバルサラの破産確率を計算するのに必要な「勝率」「損益率」のデータが分かればなんでも良いです。

 

手順② 「データを照合する」

手順①においてデータを取得したことで、検証したいトレードルールにおける「勝率」「損益率」「資金比率」のデータがそろったはずですね。

次に、「バルサラの破産確率表」に照らし合わせて、バルサラの破産確率を調べます。

まずは「バルサラの破産確率表」をお見せします。

資金比率によって、バルサラの破産確率は変わってきます。安心できるかどうかのエリア分けはさほど変わりませんが、「1%~5%」の範囲で資金比率ごとに、バルサラの破産確率表を下に載せておきます。

「資金比率1%」
バルサラ破産確率1

「資金比率2%」バルサラ破産確率2

「資金比率3%」バルサラ破産確率3

「資金比率4%」バルサラ破産確率4

「資金比率5%」バルサラ破産確率5

上の画像において、「0.0%」なのに色分けが違うのは、表には「小数点」を切り捨てて表示されていないけど、微妙に違うということです。

「緑色」「黄色」「オレンジ色」「赤色」の順番で破産確率が高まっています。

また、世の中にはバルサラの破産確率表のデータが微妙に違うものが存在しますが、それは破産確率を計算する時の「変数」が違う為です。

では、下の例を参考にして、手順①で取得した自分のデータを基に、上の「バルサラの破産確率表」を見てバルサラの破産確率を確認してください。

例では、資金比率が「3%」、勝率が「45%」、損益率が「1.5」の場合のバルサラの破産確率を見てみます。

バルサラの破産確率例

 

破産確率は「0.4%」の少し危険ゾーンですね。

もしここで、「緑色」の安全ゾーンに入っていれば、十分優秀なトレードルールと判断して大丈夫です。(※もちろん絶対大丈夫ということではないので、油断は禁物ですが)

バルサラの破産確率が「緑色」以外のゾーンであった場合は、「改善」する必要があると判断できますね。

 

手順③ 「PDCAを回す」

バルサラの破産確率表で確認した際に、緑色以外のゾーンであった場合は「改善」をしたいですね。

トレードルールを「改善」するのに意識したいのが「PDCAサイクル」です。

「PDCAを回すのなんて当たり前」

と思われる方が多いでしょうが、念のために簡単に説明すると「Plan(計画)」→「Do(実行)」→「Check(評価)」→「Action(改善)」→「Plan」→「Do」→・・・(以下繰り返し)という「物事を改善していく流れ」のことです。

PDCA1

 

よくビジネスシーンで使われるワードですが、何事においても「上達」する為に必要な要素です。

自分のトレードルールを「改善」していくというのは、トレードルールを変えることです。

トレードルールのここを変えたら、成績が良くなるのでは?という改善点を見出しては、それをデモトレードなどで検証してみる。

また、その結果を踏まえて、改善点を見出す、、、というサイクルを続ける感じです。

そして、このPDCAを回す際のコツとしては、「トレードルールは1つずつ変えていく」ことです。

そして、当たり前ですがデータを取りながら、検証をしていきます。

トレードルールを変える前と変えた後で成績がどうなったのかを把握しないと意味がありませんね。

その時に、複数のポイントでルールを変えてしまうと、結局どの点は変えてよくて、どの点は変えたらいけなかったのか?が判断つかなくなってしまいます。

ただし、FXで難しいのは単純に「トレードルールが悪い」ことが原因で成績が出ないというわけではないことなんですよね。

トレード成績が安定しない理由の多くは、

①知識・理解が不足している

②努力・練習が不足している

この2つのどちらかであることが多いんですよね。

①のケースは「トレードルール」が悪いパターンも多分に起こり得ると思います。

ですが、実は多いのは②の「努力」が不足しているパターンですね。

もちろん、成績が安定しない理由はデジタル的なものなわけがないので、厳密には両方の要素だと思います。

ですが、割合として「努力」を軽視して、「勝てる情報・手法さえ知れば、すぐに勝てるようになる」と考えて、FX迷子になる人が多い気がします。

バルサラの破産確率表で緑色以外のゾーンであった場合、もし自分が②の「努力軽視パターン」に陥ってると感じた人は、同じトレードルールのまま、デモトレードをたくさん実施するのも1つの手だということを知っておいて欲しいです。

もちろん、そもそも「知識・理解」が不足していて「トレードルール」自体に問題がある場合は、その改善も必要なので、そういう意味では勉強は必要ですね。

まとめ

「バルサラの破産確率」とは、Nauzer J. Balsaraが提唱した「資金管理戦略」の一部である、「破産するリスクを数学的に計算した確率」

「勝率」「損益率」「資金比率」を元に計算する。

FXで継続的に利益をあげる為には、論理的に考えて、期待値の高いトレードをする必要があるので、「バルサラの破産確率」とも向き合う必要がある。

「バルサラの破産確率」をFXに活かすには、デモトレードなどで「勝率」「損益率」のデータを取得して、バルサラの破産確率表からデータを照合する。

自分のトレードルールが「安全」ゾーンでなかった場合は、「PDCAサイクル」を意識して、改善する。

①知識・理解が不足している

②努力・練習が不足している

の観点も意識して、「努力不足パターン」に陥っていると感じたら、デモトレードをたくさんすることをおすすめします。

「正しい知識」を得て、「正しく理解」をして、「正しく努力」をすれば、FXでは継続的に利益をあげることが出来るようになります。

多くのトレーダーが「知識」を「技術」に昇華させる努力を避けてしまい、「勝てる情報探し」のFX迷子になりがちな気がします。

「情報」は確かに重要ですが、「情報」があれば「すぐに勝てる」という、「情報偏重」の考え方がFXの世界では蔓延っています。

かくいう私もその1人でしたので、気持ちはすごく分かります、、、(笑)

もちろん、勝てる情報を追い回していくことが絶対駄目だとは言いませんが、「努力をする」という遠回りのような気がするこの道こそ、実は近道だったりします。

 

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