「証拠金」と「レバレッジ」
FXにおいて「証拠金」とはFX口座に預けている「資金」のことですね。
FXは、この証拠金を担保にして、証拠金の何倍もの取引が出来るんです。
「なぜ何倍もの取引が可能になるのか?」という問いのキーワードになるのが「レバレッジ」なんですね。
「レバレッジ」とは「てこ」の意味です。
あの理科の授業に登場した「支点・力点・作用点」のやつです。
「てこ」の原理を使うと、「小さい力」で何倍もの「大きな力」を発生させることが出来るように、FXでは「レバレッジ」という仕組みによって証拠金の何倍もの取引が可能なんです。
その仕組みとして、まずFXは将来必ず反対取引をすることを前提とした「差金決済」というシステムになっているんです。
ある通貨ペアを「買ったら」、将来必ず「売る」ことによって決済をする決まりがあります。
もちろん、ある通貨ペアを「売ったら」、将来必ず「買う」ことによって決済をします。
そして、この反対取引をした時に確定した「差益」「差損」の部分だけを決済して、FX口座内の資金の増減のやり取りがされるという仕組みなんです。
新規取引の時には、取引金額全額を用意する必要はないので、証拠金を担保にして、証拠金の何倍もの取引が可能なんです。
ただし、法律によって国内のFX業者では、レバレッジは最大25倍までと決められていますので、その範囲内ということになります。(※2019年時点、「個人」の場合)
「強制ロスカット」
ちなみにポジションを建てた方向に価格が伸びた場合、「差益」の部分が増えていきますが、決済する前の差益の部分は「含み益」と呼ばれます。
逆に、価格が逆行した場合、「差損」の部分が増えてしまいますが、決済する前の差損の部分は「含み損」と呼ばれます。
ただし、上の画像の場合でも、基本的にはFX業者としては「証拠金」を「10万円」預かっているので、問題はありません。
証拠金を担保にしてレバレッジ10倍の100万円の取引をしていますが、この時点で決済をしても、差損は「5万円」で済みますので、証拠金でまかなえるからですね。
しかし、価格の逆行がもっと進み、含み損がもっと膨らんでしまうと話は変わってきます。
例えば、含み損が「20万円」まで膨らんでしまい、その時に決済をするとなると、20万円の差損が確定するので、証拠金で決済をします。
しかし、その時に証拠金が10万円しかなければ足りませんよね。
そのような事態は、FXトレーダーとしても、FX業者としても困ります。
なので、含み損が膨らんだとしても、証拠金以上の損失にはならないように、基本的には含み損が証拠金でまかなえないとFX業者が判断した時点で、強制的に反対取引が実施されて決済されます。
これを「強制ロスカット」と呼びます。
FXトレーダーにとって想定以上の損失が出ないようにする「安全装置」のような意味合いの仕組みですね。
証拠金以上の損失が発生した場合、それをFXトレーダーが補填出来ないとなると、FX業者も困ってしまいますしね。
ただし、この「強制ロスカット」の仕組みはFX業者によって詳細が違うので、自分が使うFX業者のHPなどでしっかり確認しておきましょう。
「資金管理」は重要
最大レバレッジが「25倍」の時、証拠金が10万円であれば、レバレッジ10倍の100万円分の取引も、レバレッジ20倍の200万円分の取引も出来ます。
レバレッジが10倍であればレートの変化によって「差益」「差損」の変化も10倍、レバレッジが20倍であれば「差益」「差損」の変化も20倍。
レバレッジに応じて資金の増減のスピードが何倍にもなります。
では、資金を増やすことを考えるとレバレッジは高い程良いのか?
これについては、絶対的な正解は無いですが、ラプラスFXでは「リスクをコントロールして安全に資金を増やす」ことを推奨しています。
FXは、どれだけ期待値の高いトレードを厳選したとしても勝率は100%にはなりません。
つまり、資金を増やす過程で必ず、ある程度「負ける」想定をしておかないといけないということです。
その割合は、トレーダーごとによって違ってきますが、自分のトレードの「勝率」「損益率」の数字を把握したうえで、リスクを管理していく必要があります。
バルサラの破産確率などを参考に、1回のトレードにおける許容損失割合を設定します。
「許容損失割合」とは言葉の通りですが、1回のトレードにおいて、「この金額の損失までは許容できる」と設定するトレード資金に対する割合です。
例えば、トレード資金が「100万円」であれば、許容損失割合を「2%」に設定するということは、1回のトレードでどれだけ負けたとしても、「2万円」になるようにするということです。
許容損失割合は攻めたとしても、5%までかなと。なので、およそ1%~5%くらいで許容損失割合を設定することになると思います。
すると、エントリーする際に、トレードプラン(用語解説)における初期設定の損確(用語解説)までのpips数と許容損失割合によって、投入するロット数がおのずと決まってきます。
先程の例だと、トレード資金100万円に対して許容損失割合2%で設定した時、1回のトレードの損失は「2万円」までに抑えないといけません。
なので、例えばエントリー時の損確までの幅が20pipsであれば、ロット数は10ロットになります。(※通貨ペアがドル円、1ロットが1万通貨の場合)
またエントリー時の損確までの幅が50pipsであれば、ロット数は4ロットです。
このように許容損失割合と損確幅から計算して、エントリーするロット数を計算しておけば、エントリー直後からいきなり予想と反して価格が逆行して、ストレート負けをしても許容損失金額に損失を抑えることが出来ます。
これが「資金管理」です。
どんなトレーダーにも、運が悪い時期があったり、調子が悪い時期がありますが、その時に挽回するのが大変になるような損失を負ってしまったり、退場するようなことにならないように、常に資金管理をしながらトレードを続けることはとても重要です。
さて、ここで上の画像のケース1の場合、トレード資金100万円がすべてFX口座に証拠金として預け入れられていた時、10ロットでのエントリーというのはレバレッジ10倍のトレードとなります。
同じくケース2の場合、2ロットでのエントリーというのはレバレッジ2倍のトレードです。
つまり、資金管理をしながらトレードをしている限り、「レバレッジが〇〇倍になる」というのは結果に過ぎないということなんですね。
なので、レバレッジが20倍でも資金管理がされていれば、想定通りのリスクになりますし、逆に資金管理がされていなければレバレッジが5倍でも高すぎるリスクを負っている可能性があります。
大事なのは、資金管理と損確でリスクをコントロールしながらトレードをするということです。
まとめ
FXにおいて「証拠金」とはFX口座に預けている「資金」のこと。
レバレッジとは「てこ」の意味で、FXでは証拠金を担保にして、証拠金の何倍もの取引が出来る仕組み。
ただし、許容損失割合と損確幅から投入するロット数を毎回計算することによって資金管理をしている限り、レバレッジ〇〇倍というのは結果に過ぎない。
大事なのは、資金管理と損確でリスクをコントロールしながらトレードをするということ。
投入ロット数の計算に関しては、実際のところ、毎回厳密に計算する必要まではありません。
許容損失金額を2万円に設定しているのなら、2万1000円や1万8000円の損失になってしまうのは誤差の範疇です。
ただし、5万円の損失が出たりするのは、資金管理が出来ているとは言えませんね。
FXでは、継続的に利益を上げる為には、論理的な判断を基に、淡々と自らが定めたルールに従ってトレードを繰り返す必要があります。
資金管理もその1つです。
守ると決めたルールは守る。
当たり前のようですが、この「当たり前」が出来なくて、FXの成績が安定しない人は多いです。