ワイルダーの定義「複雑な場面」
前に「ワイルダーの定義」を少し深堀りした記事を書きました。
元々、FX相場を想定して考案されたものではないのですが、やはりワイルダーの定義の本質に目を向けてみると、現在のFX相場でも十分使える考え方であることが分かると思います。
「上昇相場であれば守られるであろう安値(チャートポイント)に着目して、そこが守られている状況なのかどうか」という目線で相場を分析しようとしているところにワイルダーの定義の本質を感じます。
さて、今回はワイルダーの定義でFXチャートを見た時にどう考えればよいか悩むであろう複雑なローソク足の並びについて考えてみます。
さっそく、下の画像を見てください。
「ワイルダーの定義」で上の画像のローソク足の並びを分析する時、どのタイミングで上昇相場が終了と判断されるか?少し考えてみてください。
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こんな風に考えた人は居ると思います。
一見、⑤の陰線の終値が前の足の安値を下回ったタイミングでワイルダーの定義で分析すると、上昇相場の終了と判断出来そうですよね。
ワイルダーの考えを詳しく理解しているわけではないので、ワイルダー自身の考え方と違うかもしれませんが、現代のFX相場に当てはめて考えてみると、違う考え方もありますよね。
下の画像を見てください。
ローソク足の中身、下位レベルの流れが上の画像のようであった場合、⑤の陰線の時点では「押し目買いの再調整」に過ぎず、ダウ安値はまだ割っていないので、ダウ理論ベースではまだ上昇トレンド中とも捉えることが出来ますよね。
③のローソク足で押し目買いが一旦入り、押し安値候補が出来上がり、④のローソク足で伸び切れず、⑤のローソク足で「再調整」の展開、という感じですね。
上の画像のように⑥の終値がダウ安値である②の安値を下回った時、上昇トレンド終了と判断できます。
また、別の見方をすれば②の陽線に③④⑤は包まれていると捉えられます。
「はらみ足(インサイドバー)」の状態ですね。
「はらみ足」の記事にも書きましたが、はらみ足の本質は「持ち合い」です。
上の画像でいえば、③④⑤のローソク足はまだ「持ち合い中」の状態と考えることが出来ますね。
はらみ足である②の安値を下抜けて、初めて「持ち合い」をブレイクしたと判断出来ます。
では、⑤の陰線がワイルダーの定義を崩しているのは、何も意味を持たないのか?と言ったら、そういう訳でもありません。
やはり、③や④の安値は「サポート」です。
上昇相場であれば、買い注文が集まってサポートされて上昇反発してもおかしくないわけです。
そのサポートで買いが入らずに下抜けてしまうというのは、買い側にとっては「負の材料」ですね。
ただし、②の安値(ダウ安値)を下抜けるという材料よりかは小さい材料ということです。
場面によっては、この小さい材料で早仕掛けをするなんてことも考えられます。
②の高値に強いレジスタンスがあって、ここから上位の強い戻り売りが入ってくると想定される場合、⑤のワイルダーの定義が崩れた時点で、小さな材料を根拠に早仕掛けをするという考えもあると思います。
その為には、④の高値が上の画像よりかはもっと高い位置まで伸びているとなおさら好都合だと思いますが、、、
まとめ
今回は、ワイルダーの定義でチャートを分析する時に悩むであろう複雑なローソク足の並びについて見てみました。
⑤の陰線でワイルダーの定義が崩れて上昇トレンド終了とする見方、⑥の陰線でワイルダーの定義が崩れて上昇トレンド終了とする見方、両方あると思います。
そもそも、ワイルダーの定義は当時の株式相場などを想定されていますし、ワイルダーさんの真意までは分かりません。
現代のFX相場に当てはめて考えてみると、買い側からすると⑤の陰線は「小さな負の材料」、⑥の陰線は「大きな負の材料」となることは分かると思います。
⑥の陰線の終値が②の安値(ダウ安値)を割ったタイミングが、ワイルダーの定義としてもダウ理論ベースとしても、両方で上昇トレンド終了と判断出来るタイミングなので、より多くの相場参加者が上昇トレンド終了と判断する為、大きな負の材料になるわけですね。
③→⑤の流れは、「押し目買いの失敗」なわけで、売り側からすると強気になれる材料なわけですね。
③→⑤の流れを「押し目買い失敗→再調整→再度押し目買いが入って上昇トレンド継続」とイメージするか、「押し目買い失敗→ダウ安値も割る→トレンド転換して下落」とイメージするかは、環境認識次第ですね。
環境認識次第では、⑤の陰線の時点での小さな材料も使いようがあるということです。