FXで「プロスペクト理論」が損確の設定に及ぼす影響について

アイキャッチ画像トレード手法

「プロスペクト理論」と「損確」

FXで継続的に利益をあげるのが難しいとされる理由の1つに「プロスペクト理論の壁」というものがあります。

プロスペクト理論とは、人がある確率で事象が起きる状況において、損得をどのように考えて意思決定をするのかということに言及した理論なのですが、詳しくはネットで検索してみてください。

簡単に説明してしまうと、FXにおいてプロスペクト理論とは「損確はずるずると先延ばしにしてしまい、利確は伸ばすことが出来ずにすぐに決済してしまう」という心理的な傾向が人間にはあるということです。

「プロスペクト理論」について深堀した記事がありますので、読んでみてください。

FXにおける「プロスペクト理論」の影響を考察してみる
FXにおける「プロスペクト理論」について深堀。「損小利大」が良いというけれど、、、利確は絶対伸ばさないといけないのか?

前回はあまり言及出来なかった「プロスペクト理論」が損確の設定に及ぼす影響についてです。

ちなみに、上で紹介した記事にも書きましたがプロスペクト理論に陥って「当初に決めた損確を破るトレード」は論外です

今回は、その最初に損確を設定する時の話です。

「損確」とは、トレードを開始するにあたって最初に決める「デッドライン」ですね。

予測に反して価格が逆行してしまい、含み損が膨らんでしまった場合、最悪でもこの価格に到達したら撤退しようと決めておく価格のこと。

一般的には「損切り」と呼ばれていますね。

ラプラスFXではなぜ「損確」と呼んでいるかについては、下の記事を読んでみてください。

FX用語解説「損確」
ラプラスFXの用語解説。「損確」について説明。「損切り」に無駄に悪いイメージを持たせる必要なんてないんです。自分が取るべき行動なのに、悪いイメージを持たせる「名前」をつけること自体が論理的じゃないなって思います。

さて、この「損確」を設定する際にプロスペクト理論がどのように影響しているのか?

「上昇トレンド」において「押し目買い」を狙うトレードプランについて考えてみましょう。

早速、下の画像を見てください。

プロスペクト理論2-1

「押し目買い」のトレードプランの核(コア)は、「上昇トレンドが継続する」という点にあります。

押し目買いをした後に、上昇トレンドが継続するのであれば、また価格が上昇していくだろうということですね。

しかし、予測に反して価格が下降してしまい、ダウ安値を下抜けてしまっては、上昇トレンドがダウ理論ベースでは終了してしまうので、トレードプランの核が無くなってしまいます。

上昇トレンドの力による価格の上昇に期待していたトレードプランにも関わらず、上昇トレンドが終了しているのに、買いポジションを持っているというのは論理的に考えて効率の良いトレードとは言えませんよね。

なので、この場合には「ダウ安値」に損確を設定しておくというのは理に適っているわけです。

さて、ここまでは基本の話なので問題ないかと思います。

次に下の画像を見てください。

プロスペクト理論2-2

 

先ほどの画像の場面を下位レベルでも把握した時、上の画像のような感じであれば、ダウ安値(下位)に損確を設定するのも1つの案ですよね。

押し目買いは、一時的な「押し」である下降調整波の後に上昇推進波が発生して、価格が上昇していくという予測がトレードプランの核になっています。

なので、下降調整波の反転を捉えて、上昇推進波が発生した場面とするならば、上昇推進波の急所であるダウ安値を下抜ける展開にはなりづらいと考えることが出来ます。

ダウ理論ベースで考えた時、下降調整波を構成している下位のダウ高値を上抜けた時は厳密にはまだ安値の切り上げが確定しているわけではないので、「上昇トレンド?」の状態とも言えますが、上位が上昇トレンドの環境であれば、この「ダウ安値(下位)」はやはり割られづらいチャートポイントであると言えます。

ですが、上位が上昇トレンドの環境であっても「再調整」というリスクが確かに存在します。

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FXの損確を「押し安値候補」に入れるかどうかの「3つ」の判断基準
押し目買いの場面で、「ダウ安値」と「押し安値候補」の2つを損確の候補として使い分ける時の3つの判断基準について。

詳細については、上の記事に譲りますが、「戻り深度」「チャートポイント」「形」という要素などを分析することによって、十分に押し安値候補に損確を設定できる場面があるということですね。

プロスペクト理論2-3

もし「押し安値候補」を下抜けずに上昇推進波が再開していくイメージが的確な予測であれば、上位のダウ安値に損確を設定するよりも、押し安値候補に損確を設定した方が損確幅が狭くなり効率的だと言えますよね。

余計な費用を払わずに済み、損益率の高いトレードが出来るというイメージですね。

ですが、やはり数学的な背景により、損益率を高めることは勝率を下げることになります。

上の画像のような押し目買いの場面であれば「再調整」の展開などですね。

プロスペクト理論2-4

このようなケースは、「押し目買い」という狙いは良かったわけであり、上昇推進波が再開していくという大筋の予測が当たっていただけに、押し安値候補に損確を入れていた場合は、悔しい負け方だと言えます。

なので、このような負け方を避けたいという気持ちがプロスペクト理論に陥る要因なんですね。

「押し安値候補」からの上昇推進波の本格化が十分に期待できるという自分の分析があっても、「でも、再調整の展開で結局上に伸びていったら嫌だな、、、」という不安な気持ちに負けて、「安心する」為に損確を1段階大きく設定しおこうというのもプロスペクト理論の心理です。

本来のプロスペクト理論が提唱している心理とは厳密には違うかもしれませんが、FXトレードにおいて「損確が大きくなってしまい、利確が小さくなってしまう」という心理には当てはまります。

「人は損失が確定することを嫌う」という心理傾向です。

さて、上に紹介した記事にも書きましたが、プロスペクト理論に陥って期待値を失うかどうかは、「チャート分析が的確かどうか」と関係があります。

上の画像の場面であれば、そもそも「押し安値候補から上昇推進波が本格化する」とう分析が的確かどうかということです。

この分析が的確でなければ、プロスペクト理論に陥って、念の為に上位のダウ安値に損確を設定しておいたことが功を奏しますよね。

ですが、分析が的確であればある程、押し安値候補(ダウ安値下位)とダウ安値の間の幅の分だけ、プロスペクト理論によって失っている「もったいない」分であると言えます。

プロスペクト理論2-5

これは、自分の予測と実際の結果をデータで取得して評価することで確認することが出来ます。

押し安値候補から上昇推進波が本格化していくという自分の予測があるにも関わらず、精神負担を減らす為に「ダウ安値」に損確を設定していて、結果として自分の予測が正しいことが多かった場合、押し安値候補からダウ安値の間の分だけ「もったいない」と言えます。

そして、これは「伸びしろ」であると言えます。

現時点で、トレード成績がトータルで十分プラスになっていれば良いですが、そうでなければ、これは改善点の1つであると言えます。

まとめ

「損確が大きくなりがち、利確が小さくなりがち」という人の心理傾向はFXを難しくしている要因の1つです。

このプロスペクト理論は「損確」を設定する際にもトレーダーに影響を及ぼします。

少しでも「負け」の数を減らしたいと考えて、精神負担を減らす為に、余計に大きく損確幅を取ってしまう傾向に、心当たりのある人もいると思います。

自分の予測と実際の結果をデータで取得して評価することで確認することがおすすめです。

もしも、自分の予測が正しいことが多いのであれば、プロスペクト理論に陥ることによって「期待値」を減らしてしまっている可能性があります。

これは「伸びしろ」でもあるので、トレード成績を向上させる改善点の1つかもしれないので、取り組む価値はあると思います。

さて、チャート分析によって損確幅を狭く出来る場面があるというのが1つのポイントでした。

ですが、見方を変えれば、「損確幅を狭く出来る場面」をなるべく選んでトレードするのが効率的だとも言えますよね。

これは「利確」の時にも書いたことですが、自然と「損小利大」が期待できる場面ということなんですね。

よく耳にする「損小利大のトレードをしましょう」というのは個人的には言葉足らずだと思っていて、「損小利大が期待できる場面でトレードしましょう」という方がより本質を捉えているのかなと。

そして、「できれば、プロスペクト理論に負けることなく、損小利大を活かしきることが理想ですね」という感じ。

ここが複雑な点ですが、「損小利大が期待できる場面をしっかり選び、精神負担を軽くする為に、結果的に損大利小のトレードになっても、トータル成績で十分にプラスになっていればアリ」ということです。

人によってプロスペクト理論に陥って失っている期待値があれば、それは「伸びしろ」かもしれないし、「改善点」かもしれません。

「損小利大」にこだわり、損確幅を小さく、利確幅を大きくすることに固執して、精神負担が大きくなりすぎて、トレードを正常に継続させていくことに支障をきたしては意味がありません。

一番重要なのは、トータルで考えた時の「期待値」であり、また淡々と論理的な考えを持って同じように判断をしてトレードを繰り返すことが出来るかという点ですね。

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