チャート解説 『USDJPY』2018/5/2頃
2018年5月2日頃の『USDJPY』のFXチャートについての解説です。
M15レベルの上昇トレンドに押し目買いが入って、さらに上昇していく場面ですね。
上の画像は、M5のチャートですが、赤線のように大きな波(M15レベル)で見ると、単純に上昇トレンドが継続している場面ですね。
「上昇(推進)→下降(調整)→上昇(推進)」を繰り返しているだけに見えますが、、、
FXのチャートというのは、「フラクタル構造」になっていますので、時間軸レベルを下げて見ることで、より詳細な「攻防」が見えてきます。
上の画像の最後の押し目買いが入り始めた辺りから、下位時間軸レベルで詳細に見てみます。
30分足まで時間軸をあげないと、見つけづらいサポートゾーンですが、深いサポートゾーンまで下降調整波が調整してきたところから、押し目買い勢力が入ってきます。
この押し目買いから、しっかりと上昇していますので、押し目買い勢力の本隊が入ってきたと思われ、はっきりとした押し安値候補が出来たので、この安値は買い勢力側にとって「重要な砦」となりました。
この上昇波はM5レベルのレジスタンス付近で止まっていますが、このレジスタンスは下降調整波にとってダウ高値になっている重要なレジスタンスであり、やはりこの上昇波を抑えて反転させたことからも、売り勢力側にとって「重要な砦」であることが分かります。
この時点で、「サポート(城)」と「レジスタンス(城)」の攻防は、「サポート(砦)」と「レジスタンス(砦)」の攻防という捉え方も出来るわけですね。
お互い、「これ以上は退かないぞ」と意思表示が出来たラインが重要な砦になるのですが、この重要な砦までが各勢力側の陣地なわけですね。
なので、どちらでの陣地でもない価格帯というのは「日和見な土地」なので、その時に勢いのある方向について価格が流れていくわけですね。
さて、その後M5レベルでまた押し目買いが入っていきます。
このサポートゾーンも15分足で見ないと見つけづらいサポートゾーンですが、2回買い支えが入り、しっかり上昇波が発生したことで、このサポートゾーンも買い勢力側にとって「重要な砦」となります。
この間に売り圧力が加わり売り勢力側にもレジスタンスが出来上がっていますが、このレジスタンスを重要な砦と見なすかどうかは、トレーダーによっても意見が分かれるところだと思いますが、元からある売り勢力側の重要な砦とほとんど同じような価格帯が意識されて出来たものだと思いますので、売り勢力側の陣地は変わらずといったところでしょう。
ここまでの展開でも、買い勢力側の陣地がぐいぐいと広がってきており、「このエリアでの攻防は買い勢力側が優勢なのでは?」と判断することが出来ます。
その後、上昇波が売り勢力側の砦(レジスタンス)と重要な砦(レジスタンス)を一気に上抜いていきます。
このエリアでの攻防の重要な砦となっていたレジスタンスを上抜かれてしまったので、城(レジスタンス)も結果的に上抜かれてしまう展開でした。
詳細に見ると、城(レジスタンス)が上抜かれる時に少し揉むような抵抗を見せてはいるのですが、これしか抵抗の売り勢力が集まらなかったのは、その前に重要な砦が崩されているのを相場参加者が見ているからですよね。
このように見ると、やはり背景として上位の時間軸が上昇トレンド中ということなので、買い勢力側が優勢なのはテクニカル分析通りなのですが、細かい展開を追っていっても、買い勢力側が少しずつ陣地を広げていく展開が分かったかと思います。
優勢な側が陣地を広げていき、最後はその重要な砦から発生した波が相手側の需要な砦や城を崩していくことで、この一帯のエリアの攻防に決着がつきます。
そして、勝利した側の勢力が次の抵抗となるチャートポイントまで進軍することで、次の戦場に移り新たな攻防が始まるんですね。
まとめ
今回は、押し目買い勢力によって、上昇推進波が高値抜けしていく展開を「陣取り合戦」のような捉え方で見てみました。
FXは捉え方によっては、「買い勢力」と「売り勢力」のたった2つの勢力による攻防がひたすら続いているだけと見ることが出来ます。
ポジションを持っていない相場参加者もどちらかの陣営についている潜在的な戦力だったりします。
両陣営の戦力(注文の力)によって、価格は上下するわけなので、価格の上下の様子をつぶさに観察することで、この戦場においてどちらが優勢なのかが分かったりします。
さながら、戦国時代の戦を高い山から見渡しているかのような感覚ですかね。
戦場を俯瞰で見ていれば、どちらの軍が押しているか、どこに強い軍隊が構えている拠点・砦があるのかが分かったりするはずです。
今回、紹介した場面は上位時間軸の上昇トレンドが強い場面だったので、その中の攻防も比較的素直な展開でした。
素直な展開というのは、優勢である買い勢力側が陣地を順調に押し広げて、そのままじり貧となった売り勢力側の重要な砦・城を落としていくという流れですね。
この戦力差が拮抗している時は、買い勢力側がせっかく広げた陣地を一度奪い返されてしまったり、それでもまた奪い返して、というような展開になる時もありますよね。
上昇トレンド中の場面であれば、到達したレジスタンス(城)に対して「ここまでは上昇トレンドだったけど、このレジスタンス(城)でトレンド転換するのでは?」と期待を持つ相場参加者が多ければ多い程、拮抗した戦いになるわけですね。
これが「環境認識」だったりするので、やはり重要なのですね。
もちろん、環境認識はそれだけではありませんが、上にも書いた通りFXのチャートはフラクタル構造で出来上がっています。
なので、「大きな戦いの中に小さな戦いが存在する」という構造が多数の入れ子になっています。
今分析している戦場は、もっと大きな視点でどのような戦場の中にあるのか?
戦場を俯瞰で見ることが重要なんですね。