「トレンド」が複数存在する?
「ダウ理論」を簡単にですが勉強すれば、チャートを見ればなんとなく、トレンドが判断出来るようになっていると思います。
現在、「上昇トレンド」であれば、買い注文が人気であり、価格が上昇する傾向にあるので、トレードをするのであれば「買う」のが得策だと分かりますよね。
あれ?こんな簡単なことなら、FXで利益を上げるのは簡単そうだぞ?って思いませんでしたか?(笑)
上の画像であれば、買い一択ですよね。
しかし、実際のチャートだと、下の画像のようになることもあるんです。
えっ?なんで!?って感じで「謎」ですよね。
「上昇トレンド」中は、買い注文が人気の状態なのに、なんでわざわざ「売る」人達がいるのか?
謎を解く為にも、もう一つ例を見て見ましょう。
上の画像であれば、「下降トレンド」なので「売り」一択ですよね。
「売り」が人気な状態なのに、わざわざ買うはずがありませんよね。
しかし、実際のチャートだと、下の画像のようになることもあるんです。
えっ?なんで!?って感じで、やっぱり「謎」ですよね。
「下降トレンド」中は、売り注文が人気の状態なのに、なんでわざわざ「買う」人達がいるのか?
もしかして、自分と違うものが見えているのでは?
そうなんです。同じ通貨ペアのチャートを見ているのに、全然違って見えている人達がいるんです。
そんな不思議な現象を生んでいる原因は、「時間軸」なんです。
実は、同じ通貨ペアなのに時間軸が違えば、全然違うチャートに見えてしまうので、トレンドも違ってしまうことがあるんですね。
みなさんが使用しているチャートの時間軸を変えてみれば分かると思いますが、時間軸を変えるだけで、全然違うチャートに見えますよね。
違うチャートに見えるということは、トレンド判断も違ってくるということ。
つまり、時間軸ごとにトレンドが存在しているということなんです。
同じ通貨ペアなのに、時間軸ごとにトレンドが存在している、それなのに通貨ペアの価格が1つしかないことが、FXが難しい理由の1つなんです。
さて、もうお分かりかと思いますが、次は前出の「謎」について解説しましょう。
「フラクタル構造」
FXは、同じ通貨ペアでも時間軸が違えば、違うチャートに見えるという話でした。
実は、FXのチャートは「フラクタル構造」と呼ばれる構造になっています。
フラクタル構造というのは、簡単に説明すると「小さな図形が組み合わさって、同じ形の大きな図形を形成している構造」という感じです。
チャート概略図で見てみます。
価格の動きの流れを「波」として見た時、大きな時間軸のチャートで見るということは、ある意味「大雑把」に見るということです。
より小さな時間軸のチャートで見るということは、より「詳細」に見るということです。
なので、大雑把に見ていた大きな時間軸の1つの波も、小さな時間軸にしてみると、複数の同じような形の小さな波に分解出来る、といった感じです。(※もちろん、完全なフラクタル構造ではないので、全く同じ形ではないですが)
フラクタル構造についての詳細な説明は、別の記事にありますので、「FX初心者向け」コンテンツを読み終えた後で読んでみてください。
さて、前出の「謎」の部分です。
上昇トレンドなのに、売られたり。下降トレンドなのに、買われたり。
では、もしも下の画像のように見えてたら、どうでしょう?
こうやって見ると、「謎」の答えが見えてきますね。
そうなんです。30分足で「上昇トレンド」だと認識している波の部分も、実は4時間足の「下降トレンド」の一部なんですね。
この場合、30分足だけ見ている人達は「買い注文」が人気かもしれませんが、4時間足だけ見ている人達は「売り注文」が人気ですよね。
30分足の「上昇トレンド」 VS 4時間足の「下降トレンド」
という図式にも見えますね。
そして、4時間足の「下降トレンド」の人気の勢いの方が強く、売り注文の総量の方が多い場合、価格が下降していくので、30分足だけ見ている人達には「上昇トレンドなのに、売られた!?」という「謎」が発生するわけなんですね。
もしも、上記のの勝敗が逆の場合は、4時間足だけ見ている人達には「下降トレンドなのに、買われた!?」という「謎」に見えるわけです。
この「謎」は、1つの時間軸のチャートだけを見ている為に発生していることも分かりますよね。
両方の時間軸のチャートを見ている人からすると、
30分足の「上昇トレンド」 VS 4時間足の「下降トレンド」
の図式に見えているので、もしもその勝敗が予測出来ていれば、「謎」には見えていませんよね。
以上の簡単な例からも、FXのチャート分析は1つの時間軸のチャートだけを分析するのではなく、複数の時間軸のチャートを統合的に分析することが、精度の高いチャート分析になることが、少しはお分かりいただけたと思います。
実は、その点を分かりやすく説明したい為に、上記の例はかなり簡素化されていて、実際にはもっと色々な要素を加味しないといけません。
時間軸は4時間足と30分足以外にもありますし、トレーダーごとの考え方の違い、チャートポイントの概念なども抜けています。
さらに、本当は1つの時間軸のチャートの中にだって、「上昇トレンドなのに売られる」というメカニズムは存在します。
ですが、まずは複数の時間軸を統合的に分析することの重要性を理解して欲しかったので、そこだけにフォーカスしました。
複数の時間軸を統合的に分析することを「マルチタイムフレーム分析」と言うのですが、上記の簡単な例だけでも、その重要性が伝わったかと思います。
「マルチタイムフレーム分析」についての詳細な説明は、下の記事にありますので「FX初心者向け」コンテンツを読み終えた後に読んでみてください。
もちろん、精度の高いマルチタイムフレーム分析をするには、様々な知識がもう少し必要です。
まとめ
FXのチャートは「フラクタル構造」と呼ばれる構造になっています。
その為、同じ通貨ペアでも「時間軸」が違えば、違うチャートに見える。
つまり、時間軸ごとにトレンドが存在しているということ。
時間軸ごとにトレンドが存在しているのに、通貨ペアの価格が1つしかないことが、FXを難しくしている理由の1つですね。
その為に、1つの時間軸のチャートしか見ていないと、
「上昇トレンドなのに、売られた!?」「下降トレンドなのに、買われた!?」
という謎が発生してしまう。
もちろん、その時間軸のトレンドが継続せずに崩れてしまうのは、もっと色々な理由があります。
ただ、複数の時間軸を統合的に分析する「マルチタイムフレーム分析」が、精度の高いチャート分析には重要ということ。
さて、ここで迷子にならない為にも、おさらいです。
チャート分析は何の為にするのか?
はい、「トレンド(波の流れ)」と「チャートポイント(波止場)」を把握する為でしたね。
なので「マルチタイムフレーム分析」は、複数の時間軸のチャートの「トレンド」と「チャートポイント」を把握するということが、当たり前ですが基本です。
ですが、「複数の時間軸を統合的に判断する」という部分が、言葉で書くと簡単ですが、ここが難しかったりします。
ただし、基本を念頭に置いておくことを忘れてしまうと迷子になってしまうので、ご注意を。