FX用語解説「大数・勝率・損益率・期待値」

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「大数」とは

FXトレードにおいては、「大数」は「とっても大きな数」という大雑把な認識で問題ないです。

ラプラスFXで「大数」という言葉を使う時は、「大数の法則」を意識して使われています。

「大数の法則」とは、「試行回数を極限まで増やした時、標本平均が平均に収束する」というものですが、、、なんのこっちゃという感じですよね。

FXトレードに必要な部分だけ、理解出来ればいいので、FXトレードの場合で説明します。

FXトレードにおいては、「そのトレードシステムが持つ期待値が、十分に収束するのに必要なトレード回数」という感じで、多ければ多い程、収束しやすくなります。

例えば、勝率65%損益率「1:1」を実現出来るトレードシステムがあるとします。(※トレードシステムとは、デジタル的なルールとかではなく、そのトレーダーのトレードの仕方・考え方のすべてを指してます)

このトレードシステムであれば、トレードを繰り返せば繰り返す程、資金が増えていく確率が高いのは、容易に分かるかと思います。

ですが、トレード回数が2,3回程度であればどうでしょう?

運が悪ければ、2連敗・3連敗ということはありそうですよね。

つまり、この時点では「まだ収束していない」ということです。

しかし、トレード回数が10000回であれば、どうでしょう?

途中で運が悪い時もあるでしょうが、資金が増えている確率は極めて高いです。

資金が増えているだけでなく、トレード回数が多ければ多い程、増えている金額の値も計算通りの数字に近づきやすくなります(※この部分が「大数の法則」ですね)

つまり、「運」の要素を限りなく小さくして、トレードシステムの本来のポテンシャルを発揮させるのに、トレード回数は多ければ多い程良いんですね。(※もちろん、トレードシステムの質を落とさずにという前提)

ただ、ラプラスFXの記事で「大数」という言葉が使われる時は、どちらかと言うと、もう一つの側面を意識して欲しい場合に使われることが多いです。

それは、「大数的にはどうなの?」っていう意識ですね。

FX初級者の人にありがちな考え方で、どうしても毎回のトレードの勝ち負けに意識が集中しがちなんですね。

今回は、その判断でもしも良い結果だったとしても、その判断をこれからも「大数」繰り返した場合、どんな未来が待っているの?

この意識が欠如しがちなんですね。

なんとなく、上昇していくと思ったから買ってみた。

なんとなく、もう反転すると思ったから決済してみた。

もし、今回良い結果が得られたとしても、そのトレードを今後も続けていって、継続的に利益を上げ続けることが出来るのか?

これをラプラスFXでは「大数的にどうなの?」って問い掛けています。

これは、その判断に「根拠が無い」なんてのはもちろん、「根拠が弱い・乏しい」というのも含まれます。

もちろん、FXトレードとは「サイコロを振る」ような、毎回同じ条件になるようなシンプルな事象ではないので厳密には違いますが、「大数の法則」を意識しないと、継続的に利益をあげ続けることが出来る論理的なトレーダーになることは出来ません。

「勝率」「損益率」「期待値」とは

上に登場した「根拠が弱い・乏しい」とは、FXトレードにおいては、「期待値が低い」ことに繋がってきます。

さて、そもそも「勝率」「損益率」「期待値」とは?についてまとめておきます。

「勝率」とは、トレード全体の中で、「利益」で終えることの出来たトレードの割合です。

勝率(%)=「利益」トレード数 ÷ 全体トレード数 ×100

 

(例)50回のトレードの内、30回で利益を出せた。

30÷50×100=60(%)

「損益率」とは、損失の平均額と利益の平均額の比率ですね。他には「リスクリワードレシオ」とか呼ばれています。

損益率 =「利益」平均額 ÷ 「損失」平均額

 

(例)「利益」が出た時は平均すると10000円だった。

「損失」が出た時は平均すると5000円だった。

10000÷5000=

一回のトレードにおける「期待値」とは、そのトレードをすることで得られる、もしくは失うと「見込める平均の金額」のこと。

1回の期待値 =(「利益」平均額 × 勝率 ÷ 100)- 

       (「損失」平均額 ×(100-勝率) ÷ 100)

 

(例)「利益」が出た時は平均すると10000円だった。

「損失」が出た時は平均すると5000円だった。

「勝率」は60%だった。

(10000×60÷100) – (5000×(100-60)÷100)= 4000円

上の例なら、1回トレードをする度に、「平均4000円」の利益をあげることが「期待できる・見込める」ということ。

ただし、あくまで「平均」なんですね。

トレード回数が少ないと、勝つこともあれば、負けることもある、という「運」の要素が大きく影響します。

なので、この「平均」を現実化する為に、多くのトレード回数が必要になってくるわけですね。

さて、「期待値」は別の見方をすると、このようにも表現できます。

「期待値」=「勝率」×「損益率」

これは、数学的イコールというわけではなく、このような相関関係にあるという意味です。

つまり、「勝率」が高くなれば、1回のトレードにおける期待値は高まりますし、「損益率」が高くなれば、また期待値は高まります。

逆に「勝率」が低くなれば、1回のトレードにおける期待値は低くなりますし、「損益率」が低くなれば、やはり期待値は低くなります。

「根拠が弱い・乏しい」トレードは、勝率が低くなったり、利益が延びづらく、損益率が低くなってしまいがちです。

つまり、「期待値」が低くなってしまうということです。

「期待値」が低くても、まだプラスであれば、トレードを繰り返しても資産が少しずつ増えていくかもしれませんが、期待値がマイナスの場合は、トレードを繰り返せば繰り返す程、資産が減少していくことになります。

では、どのくらいの期待値があればよいのかと言えば、それはトレーダーがどのくらいの成績で良しとするかによりますが、FX初級者の人にとって大事なのは、まずは破産しないことですよね。

その時に、目安になるのが「バルサラの破産確率」です。

「バルサラの破産確率」とは

「バルサラの破産確率」とは、ナウザー・バルサラという数学者が考案しました。

一定の条件で継続的に投資活動を続けた場合に、破産する確率を数学的に計算したものです。

破産確率P資金m賭金b勝率w損益率r
(式1)x = wx^(r+1) + (1-w)
(条件1)0 < x < 1 → xは1以下の数

式1と条件1を満たす時

P = x^(m/b)

このような小難しい計算式で破産確率は計算されますが、数式の内容は分からなくても、表にまとめたものを見れば、分かります。

まず「バルサラの破産確率」を計算する為に必要な要素が

①資金比率

②勝率

③損益率

の3つですね。「資金比率」とは、1回のトレードで負けた時の損失が資金全体の何%かということです。

つまり、100万円のトレード資金があるトレーダーであれば、1回のトレードで負けたとしても、3万円になるようなロット数と損確でトレードした場合は、「3%」という感じですね。

さて、資金比率が「3%」、勝率が「45%」、損益率が「1.5」の場合の破産確率を見てみましょう。

バルサラの破産確率例

破産確率は「0.4%」の少し危険ゾーンですね。

なので、もしこのトレードシステムであれば、安心してトレードを続ける為に、「勝率」か「損益率」を向上出来るように改善しよう、という感じで判断できます。

ご自身のデモトレードの結果などから、「勝率」「損益率」を把握して、バルサラの破産確率の表から、どのような位置にあるのかを確認しておきましょう。

なるべく緑色ゾーンに入っていることが望ましいです。

資金比率によって、破産確率は変わってきます。安心できるかどうかのエリア分けはさほど変わりませんが、「1%~5%」の範囲で資金比率ごとに、バルサラの破産確率表を下に載せておきます。

「資金比率1%」
バルサラ破産確率1

「資金比率2%」
バルサラ破産確率2

「資金比率3%」
バルサラ破産確率3

「資金比率4%」
バルサラ破産確率4

「資金比率5%」
バルサラ破産確率5

バルサラの破産確率を見ていただくと、「勝率」と「損益率」のバランスが大事なんだということが分かるかと思います。

「勝率50%のトレード手法!」なんて見出しを見ても、特段凄いと思わない人が多いと思いますが、もしも損益率が「2」もあれば、十分優秀なトレードシステムであることが分かると思います。

逆に、「勝率70%」であったとしても、損益率が「0.5」であれば、資金比率次第でちょっと危険なトレードシステムだということですね。

大事なのは、「勝率」と「損益率」のバランスであり、そして「期待値」がどのくらい高いかということなんですね。

そして、期待値が高いトレードをする為には、様々な要素を「論理的」かつ「統合的」に判断する必要があるんです。

まとめ

FXトレードはどこまで行っても「確率」の世界とは切っても切れない運命です。

なので、トレーダーは常に「数字」を意識する必要があります。

期待値の高いトレードシステムを構築して、その期待値を現実のものにする、つまり収束させる為に、ただ淡々とトレードを繰り返すのがトレーダーの仕事です。

その為に、トレードでは常に「大数的にどうなの?」と問い掛けながら、論理的な判断を積み重ねていきます。

その判断が「良い判断」だったのか?は、1回のトレードからは判断出来ません。

なので、1回のトレードの結果に一喜一憂するなんて、まったく意味がないんですね。

論理的な判断の積み重ねは「結果・数字」として表れます。

トレーダーはその「数字」を通して「良い」「悪い」を判断するしかないんです。

期待値の高い判断・トレードが出来ていれば、「期待値の高い結果(勝率・損益率)」が出てくるはずです。

逆に、期待値が低い結果が出たのであれば、それは論理的に良い判断が出来ていなかったということです。

またデモトレードなどを通して、トレードを改善する必要があります。

成長していく期間も、成績が安定してきた後も、自分のトレードに対して、常にPDCAを回す姿勢は変わりません

その時に、「勝率・損益率・期待値」といった数字を通して、自らのトレードと常に向き合っていくのもトレーダーの仕事です。

 

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